前記事、電気工学から物理学を問う の問題意識を説明したい。
電線路と電力密度 電気回路の基本となる単相交流回路である。電気工学技術理論が誠に合理的に非の撃ちようが無く完成されている。実用的には何も困ることが無い。昨年の電気主任技術者第一種の問題(理論)にも、球状電極の電荷分布の問題があったようだ。それ程『電荷』は電気現象解釈の基本的概念となっている。その電気技術論に異論を唱えるなど社会的常識からは正気の沙汰でない。だからこそ電気技術理論がそのまま自然界の『真理』であり、物理学理論の根幹として疑われることなど何もないとなる。自然科学で『電荷』を自然界の基礎としての実在物理量と社会的合意の形成を成して来た。電磁界という電界と磁界で理論構築した原理原則は完璧と見られている。学術理論にとって、それは『電荷』の御蔭でもあろう。『電荷』を否定したら、電気力線を描く論拠を失う。『電荷』を否定したら電流の論拠を失う。電流の論理構築が困難になれば、磁界、磁力線を描く論拠も失う(電気技術の理屈からすれば本当は電圧時間積分で良いのだが)。しかし自然は誠に巧く出来ている。『電荷』など無くても電線路は『エネルギー』を電源から負荷までチャンと送り届ける。
魔術的電線路解釈 自然科学理論の常識論からかけ離れた論を呈すれば、魔術の論理と見られるかもしれない。たった一つの『エネルギー』を頼りに考えて来た。殆どすべてを捨てて来た。春の新学期も始まる教室では、皆さんが電気の授業を行うに『クーロンの法則』の原理原則論をとても高度の数式に因る厳密な論理性を持って話され、展開する時期かもしれない。しかし、電線路空間内の『エネルギー』の挙動を教えた方が自然の意味を理解し易かろうと思う。私が解釈する先に進んで頂きたい。目に見えない現象だから、解釈法は千差万別であろう。電圧は電線路空間のエネルギー分布によって決まる技術的評価・計測量である。そんな感覚で捉えるまでにはいろいろ考えた。そんな経過を記事にして来た(参考記事#1,2,3,4)。そのエネルギー分布が電線導体と空間の間でどのように分布するかはその人の感性によって解釈するより方法が無いかもしれない。一応、図には電界と磁界の意味を空間のエネルギー分布密度δ(r,t)との関係で解釈して示した。電界、磁界を理論構築に欠かせないと言うならばという意味で、一応解釈を式で表現しただけである。その式の根拠は、空間をどのような捉え方ですべきかという哲学的な解釈が必要であろう。真空空間の定数に真空透磁率と真空誘電率がある。真空の解釈をどうするかは、如何にも哲学的である。平成2年頃電磁気現象を家に引きこもって、遣る瀬無い人生をぶつけていた頃の思索のテーマであった。その次元はヘンリー[H]とファラッド[F]である。真空にコイルとコンデンサをどのような意味で捉えれば良いかと考える愚かな毎日である。しかも単位長さ1[m]当たりである。やっと今頃になって、その距離の意味を捉えたと思う。L[H/m]やC[F/m]の単位長さ当たりという意味の長さの空間的方向を。電線路で言えば、電線路の『エネルギー』の伝送方向であるとはっきりした。それは『エネルギー』伝送速度即ち光速度の方向の長さであると成る。実際に真空中に導線を張ってエネルギーの伝送実験をした訳でないから、科学論としての証明は出来ないが空間の『エネルギー』伝播解釈は『電荷』否定の具体的な視点となろう。電線は一般に絶縁被覆電線を使うから、エネルギーはその絶縁材料部分を通って高い密度で伝送されるだろう。物理学では『エネルギー』は質量をその拠り所としているが、ただ電界、磁界についてはそのエネルギー空間密度は認識して解釈しているようだが、実際にその『エネルギー』が空間に実在していると解釈するかどうかになると、極めて曖昧である。空間に『エネルギー』が実在すると解釈すると、その『エネルギー』は何が保有する『エネルギー』なのかを述べなければならなくなる。その理屈を論じることが難しいから、曖昧にしているのだろう。電子のエネルギー無限大の問題を指摘したのはP.A.M.ディラックであったと思う。視点が違うかも知れないが。『エネルギー』の単位ジュール[J]と[H,Fおよびm]の単位からすべての物理量を評価したのが、エネルギー[J(ジュール)]とJHFM単位系である。
電力密度 ※の理論的解釈の1/2の係数を絶対的なものと理解できる訳ではないのだが、一応常識に従えば、空間の座標r点の電力密度prは2倍の・・となる。それはその空間点のポインティングベクトルS [J/sm^2]でもある。単位面積当たりの1[s]当たりに通過する『エネルギー』量でもある。その伝送空間全体に亘って積分すれば瞬時電力になる。そのエネルギーの挙動を電圧分布分と電流分とに分けて捉える捉え方にははっきりと結論を得ていない。電圧分布は電源周期によって光速度でエネルギー分布に対応する筈であるが、負荷吸収のエネルギーに因るエネルギー分布欠損は電圧分布エネルギー全体がその電圧維持のために流れて負荷への電力供給を賄うと解釈すべきとは思うが。以上先の単純な電気回路問答、電気工学から物理学を問う を取上げた物理学の参照基準との意味の説明を兼ねて述べた。
(参考記事)
- エネルギーで見る線路電圧 (2015/04/19)
- 電気の眞相(2)-電圧とは何かー (2015/07/29)
- 電気抵抗のエネルギー論 (2016/06/15)
- 電気回路のエネルギー (2016/07/02)