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電気回路要素Lの機能とエネルギー感覚

電気回路問答を見てどのような解釈をしたでしょうか。この記事の最後にその解釈を載せる。電気回路で、エネルギーの存在を強く意味付けるものに電気回路要素のコンデンサ・静電容量C[F]とインダクタンス・誘導容量(?) L[H]がある。その内のコイルのL[H]について、その機能を考え直してみようと思う。この事を考える切っ掛けが有る。原因となった、不図突然浮かんだもの、それは直流回路の電圧・電圧計の計測器の意味である。同じ様なことばかり書いているようにも思うが、何かまだ気付かない捉え方が有るように感じる。過去の記事を挙げておく 電圧計が計るもの など。

エネルギー感覚 空間に存在する実在物理量である「エネルギー」をどのように認識しているかが分からない。科学技術の分野では、技術者はある程度感覚的に捉えていると思う。しかし、とても気掛かりな分野に思うのが理論物理学関係の専門家である。難しい数式・数学を操る理論家の意識に、空間に存在する質量に無関係なエネルギーがどのような形で映っているかである。そのような専門家の方々に、具体的で、基礎的な例として、簡単な電気回路の中のエネルギーを意識して頂ければと思って取り上げたい。コンデンサもコイルもその解釈には、電荷(コンデンサの)か電流(コイルの)概念を使って、その要素の中のエネルギーを理解することになっている。何も電荷や電流等の中間概念量を使わなくても、エネルギーそのものがその要素の中に貯蔵・放出される現象なのである。負荷抵抗はエネルギー消費の回路要素と看做されよう。しかし、エネルギー損失あるいはエネルギー消費と言うより、抵抗はエネルギーの形態変換器でしかないのである。例えば白熱電球を取上げて見よう。それはタングステンヒラメントの金属近傍空間内にエネルギーを貯蔵し、そのエネルギー量が増加して熱エネルギーとなると同時に光エネルギーに変換されて放射される現象であり、その電気要素が抵抗である。電気モーターを取り上げれば、旋盤の金属加工では、バイトで金属を削り取り、その切削の力学的加工摩擦などのエネルギー変換の機械要素で、等価的には電気抵抗で置換できる。

R-L回路 抵抗RとインダクタンスLの直列回路は代表的な電気回路だ。基本回路だから、少しでも電気を学んだ人には、誰もが馴染みの有るものだろう。筆者も電気回路の事は良く理解している心算でいた。しかし、気付かないで過ごした深い意味が有ることを知った。それはコイルとして空間に局部的に高密度の電線の巻線構造体の電気要素インダクタンスL[H]である。それは一本の電線とは異なる特別の意味を持っている。電気現象で、エネルギーの貯蔵機能が特徴的に現れる。

Lの機能Lの機能

直流回路で、電線路にある要素Lは殆ど回路要素としての意味を持たないと看做す。負荷が変動する時に、その急激な変化を抑制して、時間的に変化を引き延ばす作用を持つ位の意味で捉えていた。電源電圧もコイルには影響されずに、直接その電圧が負荷抵抗に掛かる。負荷の抵抗値がRなら、負荷電力P=V^2^/R [W] となる。

Lの機能 コイルに貯蔵されるエネルギーWは回路図のコイルに添えて示した。W=(1/2)LI^2^[J] と、回路電流Iで計算する。それが負荷特性値(P/R)[J/H](電流概念[A]の2乗の次元)で決まったエネルギー量を貯蔵しているのだ。『Lとは、回路のエネルギー消費率(電力)Pに比例したエネルギー貯蔵機能を備えた要素だ。』と言えよう。

負荷抵抗の意味 Lのエネルギー貯蔵機能を考える前に、負荷抵抗の意味を考えておこう。抵抗で電気エネルギーを消費すると言うが、消費と言うより、エネルギーを変換する機能を抵抗で表現したと考えられる。単純な抵抗だけの電気回路でも、考えるとその意味は深い。

エネルギー変換と電力負荷抵抗の意味

スイッチSを投入して、負荷抵抗に直流電圧Vを掛けた。その瞬間から電気エネルギーが負荷抵抗に供給される。負荷抵抗でのエネルギーをどのように解釈するか。負荷電力はP=V^2^/R[W]となる。この抵抗で、エネルギーを変換する訳だが、瞬時的なエネルギー量[J]を捉えることが出来ない。電力は単位がワット[J/s]で、ある時間間隔のエネルギー変換量でしかない。即ち、極限値をとってもlim dt→0(dW/dt) は上の図のとおり、一定勾配の値しか得られない。エネルギーの変換率しか認識できない事になる。抵抗でのエネルギーの考察では、電源から供給されたエネルギーの時間積分値としてしか認識できない。そのエネルギー変換の強弱が負荷電力P[W]となる。以上当たり前の事であるが、エネルギー感覚の意味の補足として取り上げた。

エネルギー貯蔵機能 負荷特性値(p/R)は負荷電力p(t)[J/s]の瞬時値に対応した値である。負荷変動の一つに電源投入時の過渡現象が有る。その時のコイルLの貯蔵エネルギーw(t)はどうなるか。

R-L回路の過渡R-L回路の過渡

一言付け加えておきたい。電流値の(2)式が示す意味は、時間tが無限時間経過しても定常値I=V/R[A] には成り得ない。どれ程の時間後に定常値になるかに答えられない。この単純な回路だから、ある程度電気現象を理解していれば、微分方程式など立てなくても(2)式となる。自然界の現象では、その空間に展開されるエネルギーの振る舞いが衝撃波で指数関数的な減衰波となると言うエネルギー感覚が身についているから、そのような波形認識で納得できるのだ。しかし指数関数は最終値の定常状態に達する時間に対する数理的確定性が欠けている。物理量が零になる時間が確定できない。この問題の解決は衝撃波の周期関数表現(ゼロと最大値の繰り返し現象)への道を開く意味で、重要と考える。

Lの貯蔵エネルギーw(t)は過渡状態においても、負荷電力p(t)に直接追従していることが分かる。w(t)=(1/2)T p(t) [J] である。

交流電源のR-L回路 直流電源に対して、次に交流電源の場合を取上げて見ましょう。三枚のファイルに採りまとめました。

交流回路の過渡現象交流過渡現象

解答例解答例

解答例の吟味解の吟味

一通り交流電源でのR-L回路の過渡現象を取り上げた。元々電流概念を否定していながらの解法についての話である。それにしても、考えれば不思議でもあり、やり切れない話である。インピーダンスZ= R+jωLまで、切り捨ててしまっては、全く立つ瀬が無い。

θ=tan^-1^ωT  この表現も数学の基本計算法の原則です。θは単位radですが、次元としては意味が見えません。ωTも単位はradです。さてこの式の左右の単位はちょと?です。コイルLのエネルギーなど、他にも議論すべき問題も有りますが、一応限りとしたい。

過渡現象と交流条件 過渡現象はどんな場合にも電気回路投入時に起こる。しかしその電源電圧に対する投入時間の影響は直ぐに無くなる。電流波形は正負で対称な波形、あるいは波形面積が等しくなる。その意味が際立つのが、整流回路負荷などと変圧器の組み合わせで起きる。その現象は「交流条件」と言うことで説明される。その事を教えられたのが名著 大学講義 最新電気機器学 宮入庄太著 丸善株式会社 p.223. 交流条件と直流偏磁 である。変圧器の直流偏磁現象について、新潟県工業教育紀要第7号(昭和46年3月) 静止電力変換回路の基礎(1) (電力用半導体整流回路)で解説した。実は新潟県工業教育紀要の全てを無くしていたので、その投稿した資料の内容は殆ど忘れていた。今回複写で手に入れた。その中の直流偏磁現象についての解説記事を示す。三相半波整流回路の直流偏磁現象写真134

自然現象表現法としての数学的手法の有効性 現代物理学の基本手法が数学的解釈に偏極している。

『電気回路問答』を考える 簡単なエネルギー考であるが記す。

写真072コイルエネルギー

問答を考える(2) 短絡事故までの短時間の現象であるが、空間エネルギーとしてもう少し考えて見た。

『・問答』を・(2)コイル空間エネルギー

コイル空間に蓄えられたエネルギーが磁気現象の全ての基になっている。磁石の吸引力もそのエネルギーが示す現象である。そのエネルギーは質量を必要としない。

電気(R-L)回路の解剖

(2015/09/12)謝罪追記。ここに述べた記事についてやはり間違いであったように思います。原因は電流微分式の解釈(三角関数の微分計算)に有ります。お読み頂いた方に誤った解説を示したことをお詫びいたします。ご勘弁下さい。今少しその考えた過程を自己分析し、その結果を示したいので猶予願います。済みませんでした。電気工学の微分計算問答の冒頭に(2015/09/13)追記として、幼稚な誤りの原因を記しました。以下の誤りの記事もそのまま恥ずかしい記事として、削除として残しておきます。

電気工学は科学技術を支える大きな分野を担ってきた。特に電力部門は送配電系統によって、生活のエネルギー源供給の基幹産業としての役割を果たした。電気工学を習得するには、電気交流回路解析が必須と成る。しかし、今その基礎解析の論理的手法、計算手法が自分には理解できない迷い道に入り込んでしまった。回路解析の手法を解剖してみよう。
R-L回路 迷い道を彷徨う技術者のはしくれが『回路解析論』を解剖しようと試みる。交流回路の最も基本の回路がR-L回路だ。

R-L回路と時定数R-L回路と時定数

R-L回路を取り上げ、その電気工学の解析手法を解剖しよう。折角破棄した物理概念の『電流』と『電圧』を使わなければ解析手法の解剖も出来ない己の無能さを曝すけれども、目をつむって御勘弁ください。①に示した回路図も少し観方を変えて、単位を『次元』で書き記した。電気回路解析も、最近は電源が太陽光発電等になり、また負荷もインバーター制御される電気製品が増え、正弦波解析だけで対応できない傾向になっているのではないかと思う。しかし、教科書では正弦波解析しか指導法が無いのではないかと考えれば、正弦波解析でも御勘弁いただきたい。『温故知新』の諺にあやかって、その中から新しい解釈法に辿り着ければ有り難いと思う。

ベクトル図 回路解析の基本手法はベクトル図による解釈が基本になっている。②に一例を示した。相当インダクタンスLの値が大きい場合で、実際の回路条件と異なる図で申し訳ない。このベクトル図の電圧関係の直角三角形表現が、どんな意味を表現したものであるかが問題となる。回路の力率cosθの角度θの意味を解剖してみよう。ここから先に書き記すことは、自分自身の過去の電気技術者としての認識を否定することになる。回路インピーダンスはZ=R+jωL と複素表現で認識する。虚数記号j を用いる。本当はこの虚数表現が、言ってはいけないと思うが大嫌いなのである。ベクトルE=E_r+E_l  の直角三角形表現は正弦波であれば、正しかろう。その訳はRとLの時定数T=L/R [(HF)^(1/2)]=[s] の正接tanが角度θの基を決めると解釈できるから。

時定数と位相位相と時定数 (注意)di(t)/dt の波形は電流に見えるが、次元は[(J/H)^1/2^/(HF)^1/2^]で、[A/s]=[V/H]である。(訂正)上の図の電流i(t)が零点での時間表記で、T=L/Rは誤りである。Tは時間の次元でありながら、時間の物理的意味を持たない。電気回路の角周波数ωの意味は?に指摘した。

電流を公開した。その内容の結果責任に、とても恐ろしく迷いながら過微分di(t)/dt ③図に示した電流微分の解釈。三角関数の数学公式に従わない微分計算式を提示した。数学等の理屈は好きであるが、歴史に認められて来た三角関数の微分公式に疑念を呈する等、専門家でない素人にとっては、歴史的重圧に潰されそうであった。夜中の『便哲』という不図した思い付きに安堵を得た。そこで、続きのこの記事を図面で投稿することにした。結論は、数学の三角関数微分公式が電気工学に役に立たないことが明らかになった。それが上の③図に示した結論である。電気工学のベクトル図は回路インピーダンスZ=R+jωL [Ω]の角速度ωが不可欠で理論付されて来た。それを否定する事がどんなに恐ろしいことかは、電気工学に携わってきた方々にはお分かりいただけよう電気主任技術者の回路解析理論も全てが怪しくなる訳であるから。自分が恐ろしいのである。感覚的僅かな疑念を取上げて論じ始める冒険の自己流論考が恐ろしい。結論の出る前から始めて、後から自分を追い詰めるやり方が恐ろしい。今回は運良く収まりそうなので、記事を公開しながら書きすすめて行く。そのヒントは、e(t)=Ri(t)+Ldi(t)/dt の数値が成り立つことを確認できたことである。

R-L回路計算 計算式から電気工学の回路計算を解剖してみよう。

R-L回路の計算R-L回路計算伝統解釈法の否定削除

次元の『問答』削除

ベクトル図表現の合理性は上の次元問答の解釈に掛かっている(この部分も削除)。

先ずは次元問題を解決しておこう。次元矛盾の解答次元矛盾の解 次にベクトル表現の意味を解剖したい。

4次元空間ベクトル 先程出来上がったベクトル図。

四次元空間ベクトル4次元ベクトル(実在空間でなく抽象的仮想空間)

3次元空間に時間をも導入した4次元ベクトルである。リアクトルの電圧ベクトルElを虚数記号jを使わないで表現したかった。その結果が上の図である。定常状態であれば、電圧、電流のベクトルが三角形を保ったまま、回転角速度で時間tに連れて回転する意味の図である。電圧ベクトルの直角三角形の関係が決してEl=jωLのようなω倍ではない事を指摘した点が重要な論点である。電気工学の微分計算問答の具体的解答でもある