きっと自然の命を教えてくれた、それが信濃川だった(2020/09/09)。
信濃川。
それは故里
我が心
紺碧の空
水面に輝く
白い雲
水飛沫
銀鱗の跡
山肌の緑陰
嗚呼大河
永遠なれ
思い出を連れてくる信濃川。思い出せば、不思議がいっぱい。人はみな、人類を『霊長類』と誇りにしているかも知れない。近頃、運動能力が落ちて考える。当たり前と思っていたことが、不思議に思える。以前も考えたかも知れない、『二足歩行』のことを。当たり前が当たり前に思えなくなる。爪先立ちになっても歩ける。100m10秒以下で走り切るスーパー能力の持ち主もいる。長い荷物に二本の支持棒を付けて、立たせようとしても力学設計が難しい。接地面積と重心の位置の関係が平衡の要だ。歩くとなれば、一本足での平衡力学だ。爪先立ちで階段を昇るなど、ロッボト工学の研究対象かも知れない。不思議な夢の中にある。『霊長類』の話は、生物間のコミュニケーションのことだ。人と人以外の生物との。
信濃川での鯉とのコミュニケーション。鯉の思いを自分が受け止められなかった後悔が何時までも残る。『霊長類』などと人を思えないのだ。高校生の頃か、浪人の頃か定かではない。夏は毎日『古淵』と言う崖の深い水辺で、一人泳いでいた。誰もいない毎日だった。岩の張り出しから底の深さが知れない深みに飛び込んで、過ごした。欠かさぬ毎日の日課のように。ある日もそこに行って、さて泳ごうかと思ってその深みに目をやった。直ぐ足元のその水面に大きな鯉がじっと動かずにいる。当然鯉は自分がそこまで歩いてくる足音の響きを知っていた筈だ。深い水の中ならいざ知らず、水面でじっと待っていたかのようにしか考えられない。その水面で手を伸ばせば、すぐに触れる近くである。じっと動かないのだ。その大きな鯉を見て、一瞬たじろいだ。体長30㎝以上は有った。少し眺めてから、足でその足元をトンと突いた。するとゆっくりと向きを変えて、深みに静かに入って行った。少しも逃げる様子もなく、ゆっくりと諦めて去った感じである。その日は泳ぐことが出来なかった。思い出せば、その時何故、鯉と水中でハイタッチでもやれなかったのかと後悔が残る。もしもの話で、ひょっとしたら、毎日鯉と戯れていたかも知れない竜宮城の例えにと。
別にも、雀の稲穂の恩返し。プールサイドの揚羽蝶。助けたカラス。雨蛙。みんな不思議なお伽の世界。