人が生活する場は「4次元空間」である。物の存在を認識する事は最低でも3次元である。物差しで長さを計ると言う事も、長さだけでは物の存在は認識出来ない。長さは物ではない。物の或る一面の寸法を計るのである。長さと言う概念はあくまでも空間を占有する実態を伴はない。長さは空間のゼロの概念である。日常生活は、目の前の空間で速度や広さ、長さを考えれば十分である。例えば、東西南北で「南向き」、「東向き」そして天上天下の「天の向き」の3つの方向で座標を考えれば目の前の空間の全体を把握し、規定できる。しかし、光の物理学的論理を展開しようとすると、日常の目の前の空間で考えることでは無理である。3次元空間の座標が、ある基準点を原点O点として仮想し、そのO点に直交する3本の座標軸で考えて得られる。その座標は空間の位置の距離寸法と方向を規定することで初めて役立つ。「大きさ」はx、yおよびzで決め、「方向」は「単位ベクトル」 i、jおよびkを使う事にする。ベクトルは太字の斜体文字で表そう。この単位ベクトルが空間のベクトル計算や表示にとても便利であると同時に重要な量となる。その辺の関係を基本的なベクトルを基に少し考えてみる。右の図で、ベクトルaと bおよびそのベクトルとしての意味を簡単に説明しておきたい。
それは光の速度と空間特性で、今後記事を追加するに当って、運動物体と相互間の光伝播特性を考える為の基本的事項を纏めておこうとした。
それは右のベクトル図の関係を理解する程度の基本的内容にとどまる。その図のベクトルa、bおよびベクトル積[a ×b]だけを取り上げてみる。各ベクトルがn_a_および n_b_なる単位ベクトルを持つとする。考える対象は目の前に描く空間でのベクトルであり、抽象的な高度の数学論とは異なる事をご承知いただきたい。ベクトル計算には「スカラー積」と「ベクトル積」の二つがある。図で考えると、ベクトルaをベクトルbに掛ける場合の計算を取り上げてみよう。その時の基礎事項はベクトル間の角度γ(ガンマ)とベクトルaのb方向成分a_b_とそれに直交した成分a_?_(単位ベクトルの方向性をどう表現すれば良いか難しくて添え字?とした)の二つに分解する必要がある。bにaの「スカラー積」を取れば、ab cosγの大きさが得られる。しかしそれは空間的な意味は失われてしまう。bにaの「ベクトル積」を取れば、[a ×b]でaとbの成す面に垂直な方向の新たな空間ベクトルとなる。このベクトル図の上で、スカラー積とベクトル積の計算を下に示す。
「スカラー積」の意味。ベクトルaとbのスカラー積とは何かを考えておきましょう。数学的意味と言うより、空間ベクトルの日常的な物理的実在性の意味についてである。二つのベクトルのスカラー積には空間的なベクトルの意味が全く失われてしまう。よく電気工学などでベクトル計算が使われる。そのベクトルは全く「抽象的ベクトル」で、実在空間とは相容れない概念の論理である。だから『光伝播特性』を論じる場合の空間ベクトルは『実在空間』を対象にした生活感覚に近い論理を展開する必要がある分野と考える。電気工学での「スカラー積」は抽象概念の『電圧』や『電流』を空間上に表示して解釈する場合に当たり、その場合も空間ベクトルの意味は失われる。スカラー積で得られた結果は「電力」や『熱エネルギー』等の空間概念から外れたものを表す事になる。『熱エネルギー』もエネルギーの少ない方向に自然に流れるから、伝導するから、その時は実在空間での方向性を持った『熱エネルギーベクトル』と看做す必要がある。微分演算子でグラデュエントgrad等で表現し、解釈する事になる。大体『エネルギー量』関連になり、空間的ベクトル性は失われるのが「スカラー積」の特徴と看做せば良いのかな。
「ベクトル積」の意味。 スカラー積に対して、「ベクトル積」は空間上で大きさと方向が明確に規定される為、意味も分かり易い。ただその方向と物理的意味についての解釈には独特の習慣に慣れることが要求されるかもしれない。こんなところに、学問と言うある種の専門性には、『特殊な性質』が有るのかもしれない。所謂『専門性』と言う意味の中身が、一般生活常識では理解し難い難しさの領域の事になるのかもしれない。
単に空間にベクトルを設定しても、その方向性や計算が明確に規定し、理解するのが困難である。そこで最初の図のように、三次元の基準となる空間座標が必要になる。xi-yj-zkの3次元に更に1次元の時間を加えた4次元座標で、光の伝播特性などを考察するのである。ここにその『単位ベクトル』の意味を示す。
右ねじ系軸ベクトル 空間ベクトルで、角速度ベクトルω[rad/s]が有用である。角度ではあるが、空間で回転する角速度ωはその方向性を回転角の平面に対して、垂直な軸方向に定義する。
その事に論理性があるかどうかは分からない。ただ空間ベクトルの取り扱い上便利であると言う事であるこれも技術的観点からの有用性だけなのかもしれない。右の回転運動のベクトル図で、動径 r の先端の座標が回転速度ベクトル v [m/s]で回転する。その図の各ベクトルの取り扱いと考え方を纏めておきたい。特に、角速度ベクトルωの意味には特殊な解釈が含まれると思う。それは角度θやωの単位[rad]の次元解析上の意味が一般的に見失われると言う事である。次元解析で角度[rad]は消えてしまうのである。その点をも考慮して、纏めてみた。それが今後どのような意味を持つかはまだ明確ではない。以上で、単位ベクトルの意味について少し考え方を述べた。蛇足かも知れないが。Follow @energykana