哲学とは(2020/02/23)。「明解 国語辞典 改訂版 金田一京助監修 (三省堂)昭和29年4月5日。これは高校1年生の時から、今でも大切に使っている大事な辞書だ。そこに哲学:あらゆる仮定を排して根本原理を扱う学。とある。
電流とは何か?『電荷』とは何か?電子とは何か?磁気とは何か?その空間事象は如何なるものと解釈すべきか?それは自然科学の最も根源的即ち哲学的課題だ。電気工学理論では自然の真相は説明できないのだ。電子は流れず (2019/06/06) 。
科学への不信。 最近こんな言葉が有るようだ。誠に我ながら情けない。初めは電気工学の勉学の役に立てればとの思いもあって、己の認識を確認しながら時を重ねてきた。日本物理学会に参画させていただき、日頃の思いも発表させて頂いた。しかし辿り着いてみたら、そこには初めの思いと異なる結果に次々と遭遇し、己自身を題材にして知らず知らずに「哲学」の深みにはまってしまったかも知れない。何か深く考究を積み重ねているうちに、科学への不信などと言う風潮を生み出すような結果になってしまったのかと申し訳ない思いもする。筆者本人が信じられない程、物理学理論の矛盾の多さに困惑している。それも電気回路現象の本質が見えた結果としての結末でもあった。実は今ある磁場の意味を考えて、新しい磁気現象・マグネット磁場の記事を書き始めた。しかしどうしても、電気磁気学理論の根本法則である「アンペアの法則」についてもう一度その根本原理の意味をかみ砕いで自身で整理しておこうと思った。科学への真の信頼を取り戻すためにも。
アンペアの法則と磁気の概念
図1.直線電流と磁界 アンペアの法則を直線電流 I[A] によって表現してみた。電流ベクトルを直交座標 r = xi+yj+zk で表現する。単位ベクトルをそれぞれ i 、j および k とした。p 点の座標 r の方向単位ベクトルは r/r となる。無限長直線電流による電流周辺空間に磁場が生じる現象を数式によって評価する基本概念として、アンペアの法則を捉えて良かろう。実際の技術的認識には極めて理解しやすい表現の法則である。その現象の物理的意味を考えるとき、何故電流の位置から離れた空間に磁界が発生するのかと言う疑問が浮かぶ。なお、電流は少なくとも往復2本の電線で囲まれた空間回路でなければ、電流概念も成り立たないことを付け加えておく。実はまたこの電流と磁界のことを考えると昔を思い起こす。昭和61年春のこと、高専の電気科4年生の電気磁気学の授業中に、電流の磁界Hの空間磁場模様を rot H [A/㎡] = J の電流密度空間として計算例題に選んでいた。と記憶している。その時廊下の窓から黒板の板書内容を写真に撮って行かれた。それは中曽根臨教審の関係の出来事と後で理解した。
電流はアンペアで、電荷の時間微分の概念である。それはあくまでも『電荷』の流れが離れた空間点の『磁束』即ち磁束密度(μH[Wb/㎡])の発生原因となる意味である。「クーロン[C]」が「ウエーバー[Wb]」を発生することになる、基本的に「次元変換」の自然現象解釈となる。『電荷』が『磁束』の意味を内包しているとは定義されていない。『電荷』は、その存在空間に如何なる物理的空間像で表現されるのかと言う疑問に答えていない。それは空間に描く『磁束』の空間像と結び付く『電荷』概念像でなければならない筈だ。物理的な基本概念で、その理解し易い物理的空間像が明示されなければならない筈である。それが論理性を基礎にした科学論を展開する場合の基本姿勢でなければならない。離れた空間座標点に何故『電荷』の運動で、『磁束』が発生するのか?磁束密度B=μH[Wb/㎡] は電流が磁界を発生すれば、自動的にそれは磁束と解釈する。空間は透磁率μ[H/m]の場と捉えている。何故か?と疑問を抱くこと、その疑問を子供たちに伝えることが教育の姿勢であるべきだろう。そんなに自然のことが解っている事ばかりではない筈だ。殆ど分からないと考えるべきじゃなかろうか。
電子と磁気。 
図2.電子と磁気 いろいろの解説記事で磁束の発生に電子スピンと言う用語が現れる。磁束の発生原因に電子スピンを唱える方は、電子のスピンと言う現象をどの様な空間像で捉えておられるのか?電子がスピンすると何故磁気が生じるのか。電子は空間的にどのような像で捉えているのか?電子は『電荷』と『質量』を備えた基本粒子となっている。『電荷』がどのような速度 v[m/s] の運動をするとそれが『磁束』に変換されると言うのか。
マグネット磁気。
図3.マグネット。マグネットの機能は磁束で解釈される。磁束は磁力の機能を何故発揮できると考えるか。実際マグネットはとても強力な磁力を発揮する。
図4.磁束と磁力 F(φ)?
何故磁束が磁力の基になると考えるのか?磁気のクーロン力には磁束は関係していない。磁気のクーロン力に表現される変数の『磁荷』は存在しないことで一般に解釈されている。マグネットは近付けると磁力が増す。磁束が変化するのか?磁束が磁力の機能を発揮するとの解釈はどこにも示されていない。それなのに何故磁束が磁力の重要な基の如くに考えるのか。
磁力の原因は何か?
何故マグネットは磁気を保持したまま、その磁力が弱まらないのか?磁性材料の代表が鉄である。何故鉄が強磁性体の特性を持っているのか。周期律表で、傍の銅は磁気特性を持っていない。原子構造の違いは電子の配列で解釈する。そんな違いが鉄と銅で生れる訳を、周回電子が発揮する程の物理的役割を持っていると考えられるだろうか?図2.の(2)鉄の磁気とは?で示したのは、鉄の電子スピンが磁束発生源だというような解説が有る。マグネットの磁気は本当に電子スピンによると解釈できるのだろうか。磁束が発生しても、何故その磁束が磁力を生じると考えるのか。昨年の記事 物理学理論と磁束 (2019/04/22) に重ねて、電子スピンを唱える方が、その具象像を御提示をされることを願い、求めて取り上げた。
『エネルギー』はどこにある。
図5.エネルギー流と磁力
マグネットや磁針の磁極 N 、Sの近傍空間にはエネルギーが流れている。そのエネルギーの回転流の方向は図5.の磁極間のようになる。この空間のエネルギー流の流速がどの様であるかは検証できない。空間のエネルギーは光速度に近いと考えるしかない。電線路の伝送エネルギー流からの推測である。そのエネルギー流が磁極NとS間で接近すると近接作用力として、周辺部に高密度の急勾配分布をきたす。磁力 f = rot (S/c) [N/㎥]はギャップ空間の周辺部単位体積当たりの力密度の解釈である。電気学会 電磁界理論研究会資料「資料番号 EMT-87-106」(1982) p.152 の(29)式である。
むすび
二つのマグネット間の砂鉄模様を観測すれば、ギャップを狭くするにつれ、砂鉄はマグネットの外周辺に集中し、マグネット中心部には砂鉄は無くなる。マグネットの磁力は周辺部のエネルギー流分布勾配の空間微分によって決まると解釈する。 電気磁気学の要-Axial energy flow- (2019/03/03) がある。また、コンパスと砂鉄の心 (2015/12/03) で砂鉄模様からエネルギー流を調べる意味を述べた。