電気工学は科学技術を支える基礎理論である。なかでもその回路解析は重要な技能として技術者に要求される。得意な分野と自負していたのに、考えると基礎が解って居なかったのかと自分に驚く。この歳になって、角周波数とは何かと疑問を膨らませてしまうとは?
ωとは? 電気回路解析で、電源電圧の交流の周波数f[Hz]が基礎になる。ω=2πf[rad/s] と定義された電気量である。1秒間にf回振動する交流で、三角関数計算に資する角度量表現である。電気現象を回転現象に変換して解釈する為の角度換算表現量である。電気現象が本来回転する訳ではないが、科学技術解釈論として極めて好都合であるが故の技術的抽象化の手段であると考えられよう。科学技術とは誠に巧く出来ているものだ。その巧みさを習得するには、専門的な学習が必要になる訳だ。その技術習得には膨大な知識の全体像を理解しなければならない。技術的手法を身につけると、専門家としての有能性が評価され、社会的に有用な人材となる。専門家としての有用性は、その能力が特殊であるが故に一般人とは技術認識で、抽象性で隔絶した意識をとるようだ。科学技術用語や概念を当たり前の自然現象の真理と認識し易くなるのだろう。電気回路要素の抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]およびキャパシタンスC[F]等も科学技術理論から、日常的な感覚で理解、認識して深くて高度な意識の基で捉えられるようになる。それらの電気要素の物理的意味は何かなどと、追究などしなくても矛盾なく対処できるから、疑問にも思わない。インダクタンスLをω倍したリアクタンスX[Ω]によって電気現象が決まる訳は何だろうかなどとは疑問を抱かない。実用的には全く問題が無い技術理論になっている訳だから当然である。だから科学技術理論は素晴らしいのだ。しかし、疑問を抱き始めると、インダクタンスの値は何故そのような量的評価で決められたのかと不思議にもなる。全体として技術理論が、統合されている事が素晴らしいのだ。LCの共振回路において、一周円の角度2π倍で何故表現されるのかが角周波数ω=1/(LC)^1/2^の中に組み込まれている。それは何故か。以前、共振角周波数を問うでも論じた。今でも理解できない。
(2021/11/16) 追記。周期T[s]の意味が漸く分かった。ω=2πf =2π(1/T) [rad./s] が交流電気回路動作解析には欠かせない関係式だ。正弦波関数での解析が基本であるから。電気現象を電圧と電流で解釈できる科学技術文化として完成された、その技術業績として積み上げられたの歴史の偉業の御蔭である。一般には、回路動作を解析するとき、その回路の分布定数や、その定数に伴う『エネルギー』伝播現象は考慮されていない。それが長い電気理論の伝統的解釈法であった。しかし、『エネルギー』の空間での振る舞いを考えると、その伝送現象は全て金属導体で囲まれた空間を伝送する現象である。電線内を『電子』が流れる等と言う間違った自然現象解釈理論がまかり通っていた結果の考慮不足の科学論であった。『エネルギー』が空間を伝送する事は、マックスウエル電磁場方程式によって理論的に示された訳であるが、その時から今までその方程式の本質が何を意味していたかを考えずに、ただその変微分方程式を解釈すればすべての電気現象の真髄まで理解できたと、専門家としての威厳が保たれたのだ。『電界』とは何か?『磁界』とは何か?と真剣に理論的に解明しようとの努力を欠いてきたのが本当の姿だ。パラボラアンテナでの表面で、電界と磁界がどの様に理論式通りの描像が描けるかを考えないから、マックスウエル方程式の伝統的な解説で考えない授業でも許されてきたのだ。物理学理論で、『エネルギー』の実在を無視してきたお陰で、何とか教育の場に立てたのでしかない。パラボラアンテナに負けていては済まない筈だ。空間はすべて、科学技術的解釈をするなら、空間の特性として、静電容量εo[F/m]と誘導性容量μo[H/m]とを常に意識しなければならない筈だ。光の『エネルギー』伝播速度が何によって決まると考えるのか。光『エネルギー』の空間伝播定数に因るのだ。自然界に存在しない『電子』などでの理論は捨てることから、初めて新しい物理学が始まる。
具体的な電気回路を一つ取り上げて考えよう。
回路現象 具体的な回路の波形を示す。ω図版の中には?がある。電気回路の解釈の基本に疑問を持って考える。時定数(トキテイスウ) T[(HF)^1/2^] とは何を表すのかである。理屈を述べるのが教科書である。みんなが納得しなければ説得力を示せない。具体的な例で考えるのが大事だ。抵抗とインダクタンスの直列回路(L-R)は基本回路であるから、数値を入れて示した。電圧電流波形の概形を示した。コイルと抵抗の電圧関係も一目で分かろう。この回路のインピーダンスZ=R√(1+(ωT)^2)=10.48[Ω]である。時定数Tは1[ms]、角周波数ω=100π[rad/s]である。ここで、時定数Tには時間的な意味が含まれていながら時間とは異なる表記概念である事に気付いた。時定数は回路の特徴を表現する便利な概念である。過渡現象解析の指数関数のべき乗に現れる回路定数で、ε^-t/T^などの形で現象が解析される。べき乗の次元は無次元となり、理に適うことになる。だから時定数は時間であると考えてしまう。処が上の波形のように電流が零の時間と時定数は等しくない。三角関数の変数は(ωt-θ)で、sin(ωt-θ)と表現される。ωtが時間から換算した角度を表しながら、ωTは角度を表現しない。時定数Tに関する角度換算はtan^-1^ωTによって算定される。一体ωTとは何を意味するのか?(jωL/R=jωT)はインピーダンスベクトルの直角三角形の意味との関係からの技術概念であるのは当然であるが、何か理解し難い抵抗感を抱かざるを得ない。この辺に、科学技術理論の極めて有用でありながらも、得も言われぬ魔術的論理性が潜んでいるように思う。ここまで考えて来ると、科学技術理論の本質も垣間見えてくるようである。そもそも『電流』『電荷』の概念を物理的実在量ではなく、科学技術論として「エネルギー」の評価基準に創り上げた概念でしかないと言う事から見れば、魔術的論理であっても当然と看做せよう。理論と言われるものも深く掘り下げて、検証することによって、その有用性の価値と限界を納得している事が大切であろうと思う。
インピーダンスと時定数。 回路の特徴を示す定数が時定数であることには変わりがない。そこでそのインピーダンスZの角周波数ωに対する変化の様子をグラフにしてみた。
誘導性特性 コイル10[mH]、抵抗10[Ω]で時定数T=1[ms]の特性は周波数に対してあまり変化が無い。
容量性特性 抵抗10Ω、コンデンサ100μFで時定数T=1ms。誘導性に比しωに対して大きく変化する。
誤った記事を書いた。電気(R-L)回路の解剖および電気工学の微分計算問答の二つの記事である。実験で確認しないで書いた事を悔やむ。今でも実験して確認したい。電気(R-L)回路の解剖記事の図③の時定数表記は明らかな間違いである。インダクタンスの定数値L測定と実際の要素機能の関係も確認出来ないから、実に消化不良な気分だ。(2016/05/26追記)上の誤った記事が気掛かりであるが、未だに結論が出せない。時定数Tの意味さえ納得できない。誤りの記事を誤りと決めつけられないままに今も削除出来ずに未練を残している。一つの気掛かりは回路要素の『インダクタンス』L[H]を算定する計測法は如何にあるか?実際はL[H]の値を測定する訳でなく、x=ωL[Ω]として算定している。L=Φ/I で定義されるインダクタンス値は、その算定の基の磁束Φ[Wb]も電流I[A]も技術量としての量であり、自然世界に実在する物理量ではない訳である。交流理論は電気技術回路論としては完璧であり、今までの回路解析法に問題は無い筈だが、その『エネルギー』から見た物理現象の理解が出来ないでいる。誠に申し訳ありません。