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エネルギー流と定在波

科学理論とは?(2020/12/08)。科学技術に依って生活が成り立っている。その拠り所は科学技術の基礎概念であろう。しかしその基礎概念がとてもあやふやなものに観える。電気回路論の中の分布定数回路に現れる定在波を取り上げて、その意味に観る科学論を考察してみたい。分布定数回路空間の世界 (2019/10/14)はエネルギー流による解釈のまとめでもある。

物理学理論の『エネルギー』は?
とても残念な事ではあるが、自然科学の基礎である物理学理論が拠って立つ基礎概念が筆者には極めて曖昧な、未来性が観えないものに思える。その典型的な概念が『電荷』である。自然界に、『負』の物など決して実在しない。『正』と『負』と言う対照的な物の捉え方が、一見分かり易く思える為に、極めて頑強な基礎概念として科学理論の根幹を成すこととなっている。物理学理論の根幹ともなっている原子構造論が原子核の外郭を周回する『電子』によって認識されている、そんな基礎理論が間違っているのだ。『電荷』、『電子』など自然界は必要としない。今年になって、明確に自然現象は『エネルギー』がその基礎物理量としてすべてを支配しているとの確信に至った。たった一つの『エネルギー』がその存在する空間で、全宇宙を支配していると。露草の一枚の葉も、雨蛙の細胞の一片もその極限の原子と言う構造体の片隅を構成するのが『エネルギー』に依った空間構造から成り立っているのだと。それは光の一波長の空間の一部にもなっている『エネルギー』であると。しかし残念ながら、現代物理学理論で、その『エネルギー』の存在を認識してはいない。素粒子理論には空間に分布する『エネルギー』の存在と言う認識が無い。『正』と『負』の『電荷』によって認識する自然世界の姿を教育によって全ての人に強制的に憶えこませているからだ。それが現代科学パラダイムだ。教えられる子供達には、その『電荷』を拒否する学問の自由は保障されない結果となる。

科学パラダイムとロゴウスキー電極空間の磁界。
『電子』が科学理論の構成基盤をなしている。その『電子』こそ『負の電荷』の象徴的概念となっている。原子論は核の『陽子』と周回軌道の『電子』との電気力がその構成原理となっている。『電荷』概念に依るクーロンの法則が全ての科学論の基礎として、その科学パラダイムとなっている。その『電荷』に対して、ロゴウスキー電極空間の磁界 (2020/06/18) によってその概念の矛盾を指摘した。そこで指摘した実験的検証内容は当然学術論文で公開すべきものであろう。しかし、それは30年以上前の事であり、当時研究者としての身分が保証されていなかった。その内容は到底現代科学論のパラダイムから理解されるには無理であっただろう。殆どの科学理論を否定するような内容だから。『電子』の存在を否定する必要が有るから。

定在波の『波』の正体は何か?
今、定在波と検索しても、そこに示される解説は正弦波の波動の合成波形が主である。その正弦波の波の意味は何を示したものかが分からない。電圧波形を表示しているのであろうが、その電圧とはどの様な物理概念量かを深く認識していないように思う。今年(2020年)になって、漸く定在波の発生原理 (2020/09/23) および エネルギー流が電圧・電流 (2020/10/01) によって,その波の物理的意味が理解できた。電圧と言えば、教科書では、やはり『電荷』に頼らざるを得ないか、電磁誘導起電力の電圧(この場合の巻き線コイル内に『電荷』が分離するとは考えられないから、どの様な原因で解釈するか不可解。)に原因を求める。物理学理論に『エネルギー』の概念が無いから、電気回路理論にも『エネルギー』を伝送する事の論理的解釈を示し得ない『電子』によって取り繕う解説となってしまう。

定在波の学習と実験。

工業高等学校で、最初に科目『電子工学』を担当した。教科書に定在波の項目があった。しかし、その内容を教える筆者が理解できなかった。生れてはじめて自分で研究計画を立て、実験装置を組んでデータを採り、定在波を調べた。その報告を昭和42年、新潟県工業教育紀要、第3号に報告した。そこには実際の定在波の測定値が示してある。それは価値があるものだ。しかし、初心者の報告書という事で未熟にも、電源と負荷の方向が逆向き表現に成っている。その定在波が『エネルギー』の光速度伝送現象である解釈に辿り着いたので、改めてその元データの幾つかを選んで、それを電源(発振器)を左側に配置した表現に書き改めてみた。

実験供試回路。

Fig.1. 特性インピーダンスZo=500[Ω]の線路で、図のような回路構成で実験をした。発振周波数は、 f=163[MHz] 程度であった。発表記事の内容を振り返って記憶を辿るとする。

 

右は負荷終端を短絡した場合の電圧、電流の定在波測定結果である。

 

 

Fig.2.の測定結果は終端短絡時の、定在波の基本的電気現象を理解する基であると考える。定在波と言う物がどの様な電気現象によって発生するかを理解することが、直流回路を含めてすべての回路動作の理解に通じると考える。波動とは何か?それが『電子』でも『電流』でもなく、『エネルギー』の流れによって起きているという事を理解する必要が有る。

測定法の回路。検波用ダイオードと

DC mA (直流電流計)に依った。従って、線路電圧何ボルト、電流何アンペアと言う数値は測定できない。定在波の大きさの線路分布状況の測定である。

終端短絡時のエネルギー伝送現象。その定在波の発生原理を考察しておく。それが電気現象における『電荷』概念否定の検証にもなると考えるから。

電圧定在波の測定は、その電圧と言う測定量の物理的意味を確認する検証でもある。電線路上にその定在波の波長 λ [m] が示される。電源の周波数 f[Hz] と電線路空間の電波信号の伝送速度即ち光速度 c = 1/ √(LC) [m/c] と波長λ[m] との間の関係を示す。『波』と言う実態が何を表すかと言う疑問にも答えるものと思う。その光速度伝播現象と言う事実は、どの様に考えても『電子』が電線導体内を流れるという事から説明するには無理の筈だ。Fig.3. に電線路空間を伝播する『エネルギー』の伝送波δp[J/m]と反射波δr[J/m]の時間的変化を示した。最も単純な定在波がこの終端短絡時の模様である。反射波は伝送波が反対側の電線近傍空間を戻る。その反射エネルギーが電源にどのように影響を及ぼすかは明確には理解できていない。Fig.1.に示したように電源とはコイルのカップリング結合である。電源が電線路に如何なる電圧規定の機能を発揮するかが不明であるから。時刻 t1 から t6 迄の電線路上の『エネルギー』の分布の流れを示した。この線路空間の『エネルギー』の分布がその時刻の瞬時の電圧の物理的意味を表している。二本の電線の『エネルギー』の分布量の差がその電線路の『エネルギーギャップ』として『電圧』と言う技術量の原因となっていると解釈する。その意味に一つの疑問が生じる。

『エネルギーギャップ』。

定在波は電線路の位置で、『波節』と『波腹』が生じる。短絡終端から λ/4 の位置が波腹で、定在波振幅最大になる。λ/2 の位置が波節で、定在波電圧が常に零となる。Fig.4. のように、『エネルギー』が両電線空間に等しく分布した状態はエネルギーギャップδg=0 [J/m] で電圧は零である。この『エネルギー』分布の差が『電圧』と言う技術概念の意味示すことを理解するに有効と思う。決して『電荷』で電圧が決まる訳ではない。

負荷抵抗と電圧定在波測定結果。負荷抵抗は記憶の限り、ミノムシクリップで止めたように思う。また、抵抗の形状、特性も磁器のカーボン被膜抵抗や巻き線コイル抵抗など様々であった。

右のFig.5.は終端短絡位置から λ/4 の位置に負荷抵抗 R を繋いだ時の電圧定在波測定結果である。この抵抗接続点は線路終端短絡位置から丁度電圧振幅最大の位置である。元データから幾つかの負荷抵抗の場合を選んで書き換えた。負荷整合の500Ω。300Ω、100Ωおよび30Ωを選んで示した。このような具体的な定在波の測定データ波形は余り見掛けない貴重なものと思う。工業高等学校での生徒実験に取り入れたのは、生徒に対する少し望みが高すぎた。筆者自身も理解出来ていなかった。今、電流概念および『電荷』概念を否定して、初めて納得できる境地に到達したばかりである。それでも未だこの結果について理解できない点がある。

線路特性Zo=500[Ω]の適用回路である。

電圧定在波測定結果で、500Ωの場合は殆ど一定値分布である。殆ど反射エネルギーが無いからである。

その他の場合は、反射エネルギー伝送が加わり、電線路位置によって、伝送エネルギーδp[J/m]と反射エネルギーδr[J/m]との合成分布エネルギーδ=δp+δrのエネルギー線路ギャップ電圧

v=√(δ/C) [V]

の脈動の大きさが異なる結果である。この関係については上に挙げた、エネルギー流が電圧・電流 (2020/10/01) の記事が参考になろう。

測定結果の考察。負荷端は無負荷であれば、定在波最大である。

測定結果への疑問。

三つの定在波測定結果を右のー?-に示す。短絡点から、λ/4の位置が負荷端である。測定はその点から線路に20㎝毎に印をつけて、その各点の電圧定在波を測定した。波形は正弦波状の予測に合う結果を示している。しかし、100Ωの場合だけは特に理解し難い結果を示している。惜しまれることであるが、上の結果には短絡終端からのλ/4の範囲について測定しなかったことが悔やまれる。負荷で伝送エネルギーが吸収された後、短絡終端迄の伝送エネルギーの分布がどのようになるかを測定していなかったから。

(1)100Ωの場合。負荷端子の電圧定在波がゼロとは不可解な結果だ。R=αZo [Ω]で、α=0.2 の場合に当たる。この抵抗体がどの様な抵抗素材で有ったかが分からない。もし誘電体系の詰め物であれば、抵抗より容量性負荷であったかも知れない。

(2)30Ωの場合。30Ωの場合は特異な結果を示した。

(3)1500Ωの場合。30Ωと共に考察する対象として意味が大きい。

まとめ。[測定結果への疑問]についてデータの数値の詳細が不明のため、結果の詳細の検討が出来ないのが残念である。スミスチャートでの評価が可能になれば、その時点で改めて検討したい。書き始めて3カ月経過してしまった。一応公開とする。

 

定在波の発生原理

定在波とは(2020/09/22)。ここで解説する内容は『電圧』と『電流』と言う技術概念で定在波を論じている。しかしその『電圧』と『電流』の意味は、深い『エネルギー』伝送現象を含んでいるので、一般的な電気回路の『電圧』『電流』とは少し異なる意味かも知れない。それは測定法に関わるので、その点も含めてご理解いただきたい。この定在波測定回路については後の記事に示したい。

電気現象はその基本が『エネルギー』一つの振る舞いである。しかし商用周波と高周波あるいは直流とそれぞれ回路解析法は異なる手法が適用される。高周波回路は電線路長に対して電気信号の波長が短いために、その電気現象は特異なものに観えることになる。それが定在波と言う波についてであろう。定在波は電線路終端短絡の場合に顕著に、そこからの反射波と伝送波の間に起こる現象として強く現れる。負荷終端の場合は、様々な影響が定在波分布に現れる。専門的な解説が多く示されている。しかし、とても内容が複雑で筆者には難しい。それも波動と言う波形が何を表現したものかが分からない。ここでは伝送波も反射波も全て『エネルギー』の分布密度波として捉える解釈について論じたい。

インピーダンス整合。

負荷インピーダンスが電線路の特性インピーダンスと整合して居れば反射波はない。すべて負荷に伝送エネルギーが吸収されて反射するエネルギーは生じない。それがインピーダンスマッチングと言う状態なのだろう。

電線路電圧の概念。

電気現象は『電荷』を否定して初めてその真相が見えてくる。高周波であろうと直流であろうと、電源は電線路の空間を通して、『エネルギー』を負荷に供給する回路技術である。二本の電線a と b の間に高周波電圧を掛けるとする。その電圧を掛けるという物理的意味をどのように解釈するかと言う難しい話になる。まさか電線に正の電荷と負の電荷を交互に電源から送出するなどとは考え難いだろう。①には、『エネルギー』の波の伝播で示した。電線路に電圧測定装置、オッシロスコープ等を繋げば②の様な電圧波形が得られるから、電圧と言う物理量が自然世界に存在すると誰もが考え易い。しかしその電圧と言う物理量は、人が科学技術に依って獲得した測定技術の賜物であって、簡単に電線路に電圧が在ると理解するには、それはとても深い物理的意味を知らなければ分かり難い概念なのである。

定在波とエネルギー流。

終端短絡の定在波とは。電線路の位置によって、電圧や電流と言う概念の分布を測定すると、測定値が正弦波状の分布になる。その分布波形を定在波と言う。終端短絡の時、『エネルギー』は電源から伝送され、終端ですべての『エネルギー』が反射する。その往復の『エネルギー』の波動が重なり合い、その密度分布の大きさが電線路の位置によって決まった脈動をする。図の電圧の定在波をVで示し、電流の分布をIで示した。電圧定在波Vは常に零の位置がある。『エネルギー』は電線路を光速度で流れるから、電線路の位置によって流れが違う訳はない。それなのになぜ測定値が異なる正弦波分布になるかと言う疑問が沸く。そこに『定在波』と言う意味が隠されているのだ。

今、図のように電線路の長さが電源電圧波長の2倍の長さとし、その終端を短絡する。電線路を短絡するなどという事は普通は短絡事故と考える。しかし、高周波電圧波形の場合は、『エネルギー』密度がそれほど高くなる前に極性が反転して、高密度にならないため、短絡しても事故とならずに済む。極性の切り替えが早く高密度エネルギーにならずに済むためである。短絡終端に到達したエネルギー波はすべて反射して電源側に戻る。その反射伝送は到来『エネルギー』波の反対側の電線近傍を、即ち反対側電線を戻る。

電線路電圧の意味の追加説明。この事は別の記事にして示したい。短絡終端は当然電圧は零である。電圧零という意味は二本の電線路の両方が同じエネルギー分布であれば、その電線路間の電圧は零である。電圧とはエネルギー分布ギャップを評価するものである。それは乾電池電圧の『エネルギー』の意味と同じものである。二本の電線間にエネルギーの分布差が無ければ、如何にエネルギーが大きかろうと電圧は零である。エネルギーギャップ零は電圧零である。

この記事は

金澤:分布定数線路実習に対する一考察。新潟県工業教育紀要 第3号、(昭和42年)。に載せた定在波分布波形の意味が良く分からずに、改めて考えてみた。実験での測定データなどは他にあまり見当たらない。その意味でとても貴重な資料と考える。正直に当時を振り返れば、よくこんな実験をして、報告記事にしたと驚いている。その訳は今でもそのデータの意味が良く理解できないのだ。その意味を少し掘り下げて理解してみたい。その第一報として定在波と『エネルギー』の関係だけを論じた。一般の解説には『エネルギー』の観点はほとんど示されていないように思う。

分布定数回路と実験

はじめに

遥か昔の報告記事がある。1964年(昭和39年、新潟地震6月と日本でのオリンピック10月があった年)から、工業高等学校での初めての担当科目が電子工学であった。電子工学を担当するように告げられていたので、大学を卒業するまでに、電子工学の基礎Ⅰ,Ⅱ W.G.ダウ 著 森田清他訳 (共立出版)を購入し、勉強して何とか間に合わせた。当時を思い出すと、真空管の空間電荷効果2分の3乗則について話したことを覚えている。まだ半導体の話は教科書ではそれほど扱われていなかったと思う。特に分かりにくい内容と思ったのが分布定数回路の現象であった。教えるにも自分がよく分からない。それで、回路を組んで分布定数回路実験を生徒実習に取り入れた。その内容を、「分布定数線路実習に対する一考察」として、新潟県工業教育紀要、第3号、昭和42年(1967)に投稿した。初めて書いた記事である。内容は実験データなどあまり他にはない資料で、貴重と思うので、ここに掲載させてもらう。今、直流回路のエネルギー伝送特性 を書いている中で、分布定数の話を載せる関係から、良い参考資料と思った。(2021/07/02)追記。この「分布定数線路実習に対する一考察」記事についてお世話になった。図は何方かに、わざわざ奇麗に書き換えて頂いた。初めて記事を書いたので、論文の書き方も知らず、御迷惑をお掛けし、お手数の労をお掛けした事に感謝申し上げたい。

この発振回路は、双3極管2B29を使った回路である。筆者の作れる回路でなく、ある事業所の払い下げ通信機を手に入れ、その心臓部である発振回路を使わせて頂いた。

 

 

 

 

発振回路の陽極部に、実験用分布定数回路を結合する部分を作った。図4.のように実習室の端から端まで平行分布定数線路を張った。

この分布定数の構造は屋内配線用の軟導線1.6mmΦを線間間隔52.2mmとして、特性インピーダンス500Ωとした。

 

 

 

定在波の電圧、電流測定装置を第5図及び第6図として示してある。新版 無線工学 Ⅰ(伝送編) 宇田新太郎著 (丸善) を全面的に参考にさせていただいた。測定原理はp.85.に示されてある。しかし具体的な実験に取り入れた回路方式についてはどの様な理解のもとで決めたかは今は覚えがない。

 

定在波測定内容と実験結果。色々の測定結果のデータが示してある。実際の実験結果であるから、その意味では貴重な資料となろう。

 

 

 

 

【Ⅶ】検討 実験結果に対する検討結果が記してある。専門的には幼稚なものかも知れないが、結構真剣に取り組んでいたと感心する。

 

 

 

 

 

検討の続き。

 

 

 

 

 

以上の6ページ。

むすび

実験では、発振周波数が160MHz程度であった。その中でとても興味ある経験をした。この分布定数線路に直管蛍光灯40Wを挿入した。蛍光灯の発光原理は水銀ガスの励起波長数千Åの筈である。160MHzで蛍光灯が発光するとは信じられない。「量子力学」とは何か?と疑問が浮かんだ。

昔、1980年割愛人事と言われて、長岡技術科学大学に転勤するつもりでいたが、その春4月辞令をいただいた時には辞令の「前職欄」が空欄であった。その意味が分かった時には、正規の職業に採用された事がなかった事なのか。大学には研究実績と研究能力がなければならず、筆者のような者はまだ未熟と解釈して我慢してきた。今も、新潟県から転勤した履歴はないか?どう解釈しても、1939年12月01日生まれた翌年舞鶴鎮守府への戸籍転籍とその後の戦後の1949年4月戸籍戦後隠蔽処理(原戸籍抹消糊付け改竄)が根本原因であろう?だから、私は偽物か などの事件となるか。

分布定数線路と特性

新潟県工業教育紀要 第3号(昭和42年度) に初めて研究報告の記事を投稿した。大学時代は、全く電気の勉強もしていなかったので、『電子工学』の科目を教える為に、初歩から学習しながらの授業であった。その電子工学の中に分布定数線路の話があって、その指数関数の説明に実習に取り入れた回路制作とその実験結果報告であった。 「量子力学」とは何か?が時々読まれるので、その基の回路の記事を参考に転載したい。昨年末コピーを頂いたので、読んでみると中々貴重な記事に思える。分布定数回路で検索しても余り具体的な記事を見かけないので。

写真185分布定数回路構 双三極管2B29 回路構成は殆ど払い下げ品の回路をそのまま使わせて頂いた。

写真186線路設計と構造

写真188実験測定結果 こんな測定値は余り見かけないと思うので、貴重かと考えた。この分布定数回路の線路中に、直管蛍光灯40Wを挿入すると、その部分が光輝く。周波数162MHz と記事にあるから、量子力学理論に基づく解釈では理解しかねる実験結果だ。実験に基づいて理論は検証されなければならないが、さてどうしたものか?

最後に、この紀要の投稿記事で、お断りして置かなければならない事がある。それは私が提出した図面が余りにもお粗末な為、全て何方かに清書をして頂いたと話を聞いていた。申し訳なく、お手数をお掛けしたことに改めてお礼申し上げます。

「量子力学」とは何か?

「量子力学」とは何か?と自問自答をしてみたくなった。それは『オームの法則』-物理学解剖論ーの記事を書きすすめているうちに、エネルギーと空間との相互関係を纏めるために、「量子力学」の意味を確認したくなった。

私が時々読む本がある。SEEDS OF DISCOVERY 発見と創造 科学のすすめ W.I.B.ビヴァリッジ 著 松永俊夫・鞠子英雄 共訳 培風館。p.113 6社会活動としての科学 の扉に、「そのような発見がなされるとは信じがたく思えるが、一度その発見がなされると、それほど長いあいだ気づかれなかったことが信じがたく思える。まさにこのことこそ、まだまだ発見のための広大な余地が残されているという望みをわれわれにいだかせるものである。 フランシス・ベーコン『新機関』」という文章がある。何か私の現代物理学理論に対する感覚を代弁しているように思う。物理学理論の根幹をなす『電荷』、その『電荷』の存在を否定した事が上の発見に相当すると思う。東洋哲学的『削ぎ落とし』の発見と。

私が「魑魅魍魎の世界」で闇に紛れながら、押し黙って読んでいた本が「量子力学」に関する、本を読まない私にとっては特別に多い数の本である。今それらを開いてみると、あちこちに著者に対する反論や、賛意が書き記されてある。それらは今も殆ど変りない認識と思いである。紙文化としての『書籍』の価値がデジタル文化の画面には不可能な『書き込み可能』の点にあるといつも思う。

『量子力学』と言われる物理学の現代性を象徴する体系・学問性の意味をどのように捉えれば良いかと迷っている。それは自分が思う自然界の姿・物の理(コトワリ)と相容れないことが多い。

オックスフォード物理学シリーズ(柿内賢信 土方克法 監修 丸善)の何巻かを持っている。その中に、8 量子力学 (BASIC QUANTUM MECHANICS J.L.Martin )がある。そのまえがきの最初の6,7行の内容を読んで見た。私は、科学について日常生活者の視点で論じられ、市民的合意を得るものでなければならないと考えている。どうもその私の解釈と余りにも違うと思う。本文の中味は、多くが数学的記述であって、私が理解できない内容で残念である。そこに書かれてある『数学的表現と論述』は何か自然を描写する手法というより、量子力学専門領域に御都合のよい難しい壁の構築によって、専門外の一般市民を排除する権威のための学問らしさにしか見えない。

工業高等学校での『分布定数線路定在波実習』と「量子力学理論」 量子力学理論に疑念を膨らませた原因がある。その基は工業高等学校での教科『電子工学』を教えていた頃の話である。当時は気にもしなかった『観測実験の事実』がある。それは量子力学理論の意味を否定するものである。今、昭和55年2月1日の長岡技術科学大学から要請された、教育研究業績書に書かれてある一つに『分布定数線路実習に対する一考察』発行:昭和42年3月31日 発行雑誌等:新潟県工業教育紀要 第3号 概要:超高周波用送信管2B29を用いて160MHzを発振させ、1.6mmΦ長さ8mの裸銅線による特性インピーダンス500Ωの分布定数線路上に定在波を発生させて、電圧、電流の定在波を測定し、指数関数の数式の意味を実験を通して修得させる方法について述べた。と載せてある。その時は特に気にも掛けずにいた。今は、量子論に対して、その意味がとても大きな実験的発見である事を確信している。当時学生にも見せた実験であり、その概要を絵図にした。蛍光灯の定在波点灯

当時は他愛も無く、定在波分布定数線路の中に40ワット直管蛍光灯を差し込んだことでしかない。しかしその蛍光灯の線路に挿入した部分の付近で、蛍光灯点灯時に近い明るさで、部分点灯をしている事を確認した。特に電線に接続した訳でもない。傍に近付けただけである。さて、この実験の示す現象を「量子力学理論」からどのように解釈しますか。蛍光灯の点灯原理は、管内に封入された水銀が点灯初期に管端のフィラメントの熱で蒸発し、その水銀の放射紫外線が基に成り、蛍光灯内面の『蛍光分子』を励起して、その蛍光物質の放射光が可視光線となるから、その光を利用する電灯方式であると解釈している。水銀放射の紫外線波長は可視光線でなく、2537Å程度のものである。これは見えないので、蛍光物質の所謂量子力学理論に基づく励起現象を利用して、外殻電子の運動エネルギーに関する、周波数変換原理 h(ν1-ν2)=hν (可視光線振動数ν)等と説明される意味と解釈している。プランクの定数hに基づく光のエネルギーは振動数あるいは周波数で解釈する。すると、上の実験で蛍光灯が点灯する意味を考えて見れば、波長は2m、周波数は160メガヘルツで、可視光線の最大波長の7600Åに比較しても、量子論による解釈の理屈が付かないのである。分布定数の定在波の波長が2mで、全く蛍光物質を励起する様な振動数の意味は、即ち量子力学的な解釈の論理に乗る意味は見当たらない。この実験的現象を考える時、原子寸法と可視光線などの波長の寸法との関係をどのように解釈すべきかに悩まされている。何千倍の寸法の違いに当惑するのである。