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フレミングの法則を解剖する

(2017/10/03)追記。以下の記事を考える。科学技術が成熟期に達した今、改めて過去を振り返り見直す必要があろうと思う。フレミングの法則は電磁現象の中でも、電磁力を解釈するに誠に便利で有用な法則である。ただ、便利であってもそれが自然界の真理であるかと言うと、それは違う。科学技術の多くの概念は総体的に良く統合されて、完璧であるかに見えるが、深く考えると辻褄の合わない矛盾や綻びが見えるのである。それは、どこか最も根源的な概念で矛盾を抱え込んでいるからだと考えなければならないのだろう。その矛盾の根源が『電荷』である。科学技術概念と自然の真理とは同じくないのだと言うことを知って欲しい。法則は科学技術の方便としての有用性で価値が有ると言うことを。

繰り返し、生きた生活感覚上の自然科学論を論じてきた。子供達、学生が自然の世界の本質を理解しようと思うとき、ただ学校教育だけでは無理かもしれない。

電気現象を理解する法則の中に、フレミングの法則がある。磁界中での電気導体との『電気力学』を人の手指で表現した法則だ。フレミング(Fleming,John Ambrose)は イギリスの電気工学者(1849-1945)。フレミングの法則を磁場のエネルギー流間の『近接作用力』によって解釈しようと言うのである。アラゴの円板と近接作用力に関連した記事を記した。フレミングの法則とは?

電気現象はすべて電流の電荷と磁界の磁束概念で解釈されていた。しかし、もうそんな概念で電気磁気現象を解釈するのは「科学教育・理科教育」としては未来性が保証できない筈だ。基礎概念の矛盾が大き過ぎるから。自然現象は単純性こそその本質であると認識しなければならない。有名な基本法則を改めて、エネルギー流から問い直すべきと考えて、フレミングの法則を取り上げ、新しい解釈を示したい。そこで、先ず左手の法則の旧来の解釈を示す。フレミングの左手の法則

単純な回路を示す。磁石の上に、平行導線を張り、そこに摺動電線を渡す。磁石はN極とする。摺動電線には電流 i [A] が流れるとすれば、電線にはf[N]の力が掛り、動き始める。その式 f=Bli で電線にかかる力が求まる。というのである。その示す意味は、実に美しい単純な式で表現されて素敵である。ここで、その式の中で磁束密度B[Wb/m^2]は空間の磁束量であるから、それを測定することは不可能である。測定器具を当てれば、空間の磁束量は測定器によって干渉され、考える磁束量など計れない筈である。もともと磁束という空間内の線量など存在しない物理量である。法則の式は実に素敵であっても、仮想概念でしかない訳だから、一つの理解の解釈手段でしかない。それは技術的な手法で有用であっても、厳密な測定など出来ない量である。次に電流も、同じく電流計で計測できるが、それが電子の逆流のどんな数量を測定しているかと言えば、矛盾的概念故に解釈に窮してしまう。『電動機』の技術的解釈手法として有用であるが、一つの方便でしかないと言う事を理解しなければならない。自然現象の本質を表現していると言うような「理科教育」的解釈は間違っている。少しも『真理』などではなく『方便』でしかない。フレミングの右手の法則

同じ回路で、右手の法則を示す。電流 i が流れる。力 f で摺動電線は速度Vの方向に動く。その電線をその力以上の速度で仮に動かしたとすれば、どのような状況になるだろうか?電池の電圧Eに対して、e≧Eとなる速度で動かせば、電流は流れなくなるか反対の向きに流れ出す。電源を充電することになる。それが『発電機』の原理解釈の技術的な意味を表現した右手法則である。発生する電圧の方向が摺動電線の電流と逆方向に生じるからである。

右手(発電機)と左手(電動機)が対象的に表現されている事は技術法則として非常に有用である。改めて、技術理論と物理的真理とは同じくない事を理解すべきである。フレミングの法則の近接作用

磁石の近傍空間を周回するエネルギー流を観測する事は出来ない。その流速度も分からないが、局部空間に閉じ込められているエネルギー流であるから、光速度に比べて遅いと考えたい。磁界について、磁界・磁気概念の本質に磁石近傍空間のエネルギー流で説明した。

左手の法則は磁場内の導線に流れるエネルギーが電流と逆向きに図のように、緑色の流れになるだろうと解釈する。磁石のエネルギー流を青色で記した。その磁石のエネルギーと銅線のエネルギーの間に、『近接作用力』Fが働くと解釈した。その二つのエネルギー流の方向は同じ向きである。エネルギー流が同じ向きで重ね合わせられる場合は、そのエネルギー流の間に空間的に局所化し、より急峻なエネルギー分布状になる性質を備えていると解釈したい。

右手の法則は磁場内で導体の相対速度を増すと、磁場のエネルギー流との間に強い反発作用を受けると解釈した。導体側では、磁場エネルギー流に対抗するように、逆向きのエネルギー流を生むと考える。その発生するエネルギー流の向きは起電力eと逆向きで、磁場エネルギー流に反発する摩擦流の意味を持つ。その現象は、電磁誘導の『レンツの法則』に相当するとも言える。

(2017/10/08 追記) 不図気付いた。科学社会のエネルギーと運動力学 (2016/08/26) で発電機と軸の関係を述べた。その機械系統の『エネルギー』伝送機能は負荷トルクが軸に掛からなければ、発電機能を果たせない。即ちフレミングの法則で、発電機の固定子巻線(電機子巻線)に対して磁極が回転して起電力が誘起されると言う意味だけでは、発電機の機能の運動力学としての意味を説明したことには成らない。磁極と電機子巻線間で力の負荷が『エネルギー』伝送の欠かせない条件である。発電機から送電線路へ『エネルギー』を送り出すには電線路側からの磁極の回転にブレーキが掛らなければ不可能である。『エネルギー』送出の意味をフレミングの法則に加える必要がある。さらに、エネルギーとは何か―電力系統に観る― も参考に挙げておきたい。

ついでに、単位についても記した。磁束密度B[Wb/m^2]と長さl[m]および電流i[A] の積が何故力の単位F[N]に成るかは簡単ではなかろう。ヘンリーHとファラッドFおよびエネルギーの単位ジュールJに基づく導出を付記した。