電気回路にこんな不思議があったとは。それが『定抵抗回路』である。検索すると多くの解説が載っている。先ずはその代表的回路を示そう。
定抵抗回路。 この二つの回路が代表例として示されている。コイルとコンデンサが含まれているにも拘らず、回路素子の間にR^2^=L/Cが成り立てば、電源から見て回路の合成インピーダンスは純抵抗Rに等しい。しかも、電源周波数には無関係で成り立つ。その事は検索すると、詳しく解説されている。合成インピーダンスを計算して、素子間の条件をとれば確かに抵抗値Rとなる。それは直並列インピーダンスの計算問題としても面白い。しかし、それ以上の意味を考えた解説は余りないようだ。なおこの二つの回路は機能としては同等の等価回路の関係にある。
定抵抗回路の奥義。 回路が秘めている深みは疑問に思う事から始まる。純抵抗Rに等しくなると計算出来たとする。それで満足するのですか?こんな不思議な回路の意味をただ抵抗値に等しくなる事が解った、解けたと言うだけで満足するのですか?回路にはリアクトルとキャパシタンスのエネルギーを貯蔵する回路機能素子が含まれているのですよ。合成負荷インピーダンスが純抵抗Rに成ると言うことは、リアクトルやキャパシタンスは何の意味も、機能も果たさないのでしょうか。しかも回路を一瞥すれば、抵抗も直列か並列かで二つありながら、一つと同じ値に成ると言う。電気回路技術の取り扱いの感覚からすれば、エネルギーの振る舞いを説き明かさないで満足する訳にはいかないのです。電源電圧の正弦波に対して、リアクトルのエネルギーの脈動がどのようになるかを理解しないで、この回路の面白味を落ちこぼす訳にはいかないじゃないですか。少しその辺の意味を計算してみました。『問答』のネタにしてみましょう。
ヒントと問題。 電気回路は回路素子の相互関係で、その回路の特性が決まります。回路インピーダンスより『時定数』Tで取り扱うのが便利です。定抵抗回路例の(1)のインピーダンスベクトルは、Zl=R(1+jωT)、Zc=R(1-j(1/ωT))等と表される。電気回路の時定数。回路(2)の場合を取上げて見ましょう。電源からの流入電流は図のように、赤い線と青い線の二つの流れから成り立ちます。それはヒントとしておきましょう。『問題』です。二つの抵抗に流れる電流は幾らになりますか。ヒントの赤い線、青い線の電流とは異なります。
解答例。 解答例を示しましょう。具体的な回路要素を決めて、解析するのが良いでしょう。
解答例 回路時定数T=1msの場合で計算してみました。試してみてください。図には電源電圧の波形vも付記しました。