タグ別アーカイブ: エネルギー伝送

特性インピーダンスとエネルギー伝送特性

はじめに(すでに公開した心算でいた。8月末の書き出し記事)
直流回路ではインピーダンスという捉え方をしないのが一般的だ。ほとんどオームの法則で、抵抗回路として取り扱う。しかし考えてみれば、電気回路は直流用と交流用と違う回路を使う訳ではない。電気回路はすべて、分布定数回路なのである。一般に、直流回路解析でインピーダンスは使わない。しかし乍ら電線路の構造は全く同じである。二本の電線を張ればそれは必ずコンデンサとコイルの機能を持った電線路である。電気工学としての直流回路の取り扱いでは、インピーダンスなど必要ないだろう。だが、電磁気現象として考えるとき、電気工学ではなく物理学としての回路現象が大切なはずである。負荷が変化したときのエネルギー伝送特性はどのような意味で理解すべきか。それは必ずエネルギーが分布定数回路の中を伝播する現象となる。何がその伝送特性を決めるかが物理学の問題になる。今、「電気回路のエネルギー問答」の記事を書いている。その中で電力の意味で壁に突き当たっている。時間軸上に描く電力波形p[W] のエネルギー時間微分値という瞬時値とはどの様な物理的意味を持つものかと考えれば、理解に窮してしまう。エネルギーの電線路伝送問題の筈であるからと、電力の意味の思案の途中に居る。その中での一つの問題として、直流も基本的にはエネルギーの伝送問題の筈と思い、直流回路の電線路の分布定数回路としての特性インピーダンス問題を取り上げようと思った。(2019/09/19)この記事は8月末に「直流回路のエネルギー伝送特性」として書き始めた。しかし書き進む内に特性インピーダンスの算定の話に変わってしまった。その特性インピーダンスは空間の電波や光の伝送特性初め、電力送電線路や超高周波伝送路に共通した物理的意味を持っていると考えれば、そのすべてに統一した特性としてとらえるべきと考えるに至った。そこで表題を改めて、特性インピーダンスに絞ろうと考えた。この特性インピーダンスに関する記事に、既に特性インピーダンスから見る空間の電気特性という記事があった。その時点より、統一的に電気現象を捉えた筈である。

エネルギーの電線路空間伝送

電気エネルギーは決して『電荷』によって運ばれる物理量ではない。『電荷』を具備するという電子や陽子が電線路導体内を流れ伝わると言われても、そこには『エネルギー』を運ぶ論理は観えない。『電荷』は回路を往復周回する論理で理解されるから、行きと帰りで『エネルギー』の運び手としての役割を果しえない。『エネルギー』は電線路内の空間を伝送される、即ちそれ自身が実在する物理量として空間を伝送すると解釈しなければ、物理学理論としての論理性は観えない筈だ。『エネルギー』は他の代替物理概念量によって伝送され得るものではない。『エネルギー』自身が空間を光と同じく伝播するものである。そこには光が空間エネルギーの分布波であるという基本認識がなければ理解できない壁となろう。直流電気現象も、電線路の分布定数回路の空間を伝送するエネルギー伝送現象と理解しなければならない。電子などが流れる現象ではない。超高周波のマイクロ波通信だけが分布定数回路の伝送現象ではなく、直流も全く同じく、その伝送は分布定数回路伝送現象なのである。

先に記事光エネルギーと速度と時空で取り上げた右のエネルギー伝播の図がまさしく直流回路のエネルギー伝送の話になっていた。この分布定数回路で、負荷抵抗が特性インピーダンスと同じ値の場合が負荷端でのエネルギー反射現象が起こらない伝送現象になる。ある払い下げの通信装置の発振回路部を利用して、筆者が作成して生徒実験として取り入れた分布定数回路の報告記事があった(何故かこの部分が印刷から除かれるので書き換えた)。それが 分布定数回路と実験 である。そこに超高周波であるが、分布定数回路のエネルギー伝送の意味を理解するに参考となる実験データが載っていた。その負荷抵抗が特性インピーダンスの場合(第8図の特性インピーダンスに等しい負荷抵抗が500Ωの場合がそれである。)の定在波測定結果で、ほぼ一定値になっていることにその意味が示されている。それは負荷端でのエネルギーの反射がない伝送形態である。このエネルギーの反射現象で、驚くべき実測結果が有るといわれている。それは送電線路の開閉サージの電圧が定格電圧の7倍まで上昇した異常現象が起きたと。それは線路絶縁対策としては大問題である。送電端と無負荷受電端間のエネルギー往復反射の結果による現象である。電線路とはそのように、如何にも分布定数回路としてのエネルギー伝送に伴う複雑な特性を示す回路だ。単純な電線路ではない筈だ。少し脇道にそれたが、電線路は物理的なエネルギー伝送現象の空間であることを先ず認識して置かなければならない。

電線路と特性インピーダンス 分布定数回路と実験 の記事の線路定数を例に、特性インピーダンス500Ωの場合の分布静電容量C[F/m]と分布インダクタンスL[H/m]の定数値を算定してみよう。上の分布定数回路と実験のページ -123-に

Zo=(276/√εs)log(2D/d)=500[Ω] (2)

なる式がある。この式は、参考書の 新版 無線工学 Ⅰ 伝送編 宇田新太郎著 (丸善)p.95 に(4.6)式として載っている。この式の算出法が理解できないでいる。

そこで、平行往復導線の特性インピーダンスZoの算定法はどうするかを考えてみる。筆者は、電力工学での送配電線路の定数算定法を昔学習した。その教科書を紐解いてみれば、インダクタンスは線路電流による磁束鎖交数からの解釈であり、静電容量は電線路分布電荷がその理論の基をなしている。その理論的解釈で、実際の送電線路の回路定数・分布定数[mH/km,μF/km]が的確に算定されている現実の不思議をどう理解すべきか。

Fケーブル(屋内配線用)の特性インピーダンスの試算

上の算定式(2)式が高周波での特性値として極めて正確に思える。ちょっと寄り道をして、方向違いの商用周波数用屋内配線用として多用されるFケーブルの特性インピーダンスを算定してみよう。1.6mm銅線2本の平行ケーブル。絶縁厚0.8mmでD=3.2mm 、d=1.6mm とする。さらに、ビニル絶縁材の比誘電率εs=4.5とデータから選ぶ。そこで得られた特性インピーダンスはZo=78.3[Ω]程度と算定される。以上は一つの比較算定例とする。

特性インピーダンス算定式の係数、[276]がどのような根拠で得られたか?その訳が一つ解決した。送配電線路の教科書の中から糸口を探せた。そこで、まず特性インピーダンスの算出根拠を論じる前に、その手法の論理の妥当性を考えたい。それは最初にインダクタンスの算定手法について、電流 1[A] の物理的空間として、別に取り上げる必要があろうと考えた。インダクタンス算定式にまとめた。

同じく静電容量算定式についても纏めたい。静電容量算定式と理論にまとめた。

 

 

電力用ケーブル

自然現象の奥深くに隠されている本源は見え難い。科学技術にその自然現象が応用され、今日の地球上に人間の生活圏を拡大して来た。科学技術は応用の科学である。本源から見れば、電力系統のエネルギー供給機能で未だ多くの無駄がある。導線導体内を電子と言う『電荷』流の概念には、矛盾があるようだ。先に太陽発電設備から大量の導線が盗難に遭ったと言う話を聞いた。金属銅が資源として狙われた。電流など流れていないのだから、導線材料等中空導体で良いのだ。そこで提案の電力用ケーブル。

中空導体の電力用ケーブル 中心部は冷却材でも流しておけば良いのだ。空中配電線でも低圧絶縁ケーブルでも、電気エネルギーは導体間の空間を伝送されるのであって、その導体表面のエネルギー密度が一番高い。その絶縁材料の誘電特性等でエネルギー伝送量は考慮されるべきである。コンデンサの強誘電体特性も電力ケーブルもその原理は皆繋がった自然現象の本源に因るのだ。太陽光発電のケーブル盗難を監視する必要もない大電流用電力ケーブルが実用化されれば良いのだが。本来なら特許になる筈だろうが?

電気工学から物理学を問う

単純な問題を取り上げさせて頂きます。大学生が参照基準に基づいた教育を受けたら、どのように解答されるかと考えて。

『問題』

単相交流回路のエネルギー伝送問題

単相交流回路のエネルギー伝送問題 参照基準に照らして、もし『電荷』が電気現象解釈に必要だと考えられるなら、特にその『電荷』のエネルギー伝送上に果たす役割を詳細に論じてください。伝送線路途上に於いて『エネルギー保存則』と『電荷』との関連についても論じてください。

参照基準 現代物理学の学術的高等教育を受けた経験がない者が失礼とは思いますが、科学理論はその内容が複雑すぎて理解できない人も多いのではないかと思う。その原因は具体性が無いからではなかろうか。物理学は理論に偏り過ぎているから、もっと具体的な科学技術を物理学の参照基準とするべきと思う。具体的とは日常的な易しい問題に誰もが分かり易く答えることではなかろうか。電気磁気学の単純な単相回路は誰でも考えられる具体的問題でもあろう。物理学の素粒子の根本概念『電荷』はあらゆる自然科学の理論的論拠概念となっている。その『電荷』は電気現象での解釈に大昔に共通理解の一つの物理量として定着して来た長い伝統的な概念である。しかしその実体をどのように分かり易く説明すべきかと考えると、余りにも曖昧で捉えどころが無いために、誰も具体的には避けて論じないのだと思う。摩擦すれば物を惹きつける実験で、その原因が『電荷』であると決めつけている。本当に『電荷』が電気現象に欠かせない物理的実在量なら、上に挙げた単純な電気回路の電気現象で、電源から負荷に送られる『エネルギー』の伝送過程を『電荷』あるいは『電子』で電線路途中の伝送理由を説明できる筈であろう。私には『電荷』では説明できない。『電荷』とは何か?を説明する参照基準を何に求めるのか。参照基準は最も分かり易い基準概念でなければならないだろう。

コンデンサ型配線のエネルギー伝送

また技術的価値の無い事を考える。科学技術はその利用価値によって評価され、新しい生活の豊かさを獲得して来た。何故か考える事がその思考方向と逆の事にばかり向くようで、実に不甲斐ない。これが梲(ウダツ)が上がらないという事なのかも知れない。その点エジソンは偉かったと。
時代が進み、経済競争の激化の中で、研究も短期的な効率が求められる傾向が強まっている。何十年の先行きの見えない、失敗も許される余裕の有る研究は時代の中に消えてしまった。

コンデンサ型配電線路 電気エネルギーが電線路近傍空間を通して伝送されるという意味を理解するのに抵抗を感じるかも知れない。電気理論は電圧と電流で解釈される訳であったから、導線内を電子が通ると解釈する論理が常識となっているから。電線路間の空間をエネルギーが伝送されるとなれば、物理的な論理に電流は不要となる筈だ。その意味を電線でなく平行板のコンデンサでエネルギー伝送路を構成したら、理解の助けに成るかと考えた。

コンデンサ型配線コンデンサ型配線

電気回路で、コンデンサの機能は2枚の金属板間の空間にエネルギーを貯蔵する働きであろう。空間を誘電率の高い絶縁材料で満たすことで、その機能を高める。そのコンデンサを電源から負荷端まで、引き延ばして配電線を構成したら、その電線路はどんな機能の電線路と解釈すれば良いだろうか。それが思い付いた電気回路の問答である。上の図の回路は全く科学技術としては役立たない事この上ないものであろう。自然現象解析論の為の思考回路である。経済的利益を求める現代科学研究の社会的意識とは、真逆の思考実験回路である。目的は人間の思考の意味を問う問答と言えるかもしれない。上の図の回路を見て、電気エネルギー伝送の意味をどのように考えますか?これが電気の眞相(3)-電圧と負荷ーの追加説明でもある。

 

エネルギー伝送と電気回路技術

物理学の基礎分野である電気磁気学は、現在その教育と言う面でとても大きな壁に突き当たっていると言える。それを克服できるかどうかは、教育関係の行政機関初め現在教壇に立つ教育者の科学的感性とその姿勢に掛かっていよう。私自身が工業高等学校、大学等で生徒に教えている時に現在の電気磁気学の理論を疑いもしないでいた。しかし、その理論の意味を深く考えて見れば、怪しさに惑わされていた事に気付く筈なのである。『電荷』、『電流』と言う物理学的概念の『実在性』をどのように認識するかに取り組む事で、世界の理論的概念がとても怪しいものであり、脆い基盤の上に構築されて来た事に気付かされた。電流は流れず でその意味を論じた。しかしとても大き過ぎる問題であるから、そんな論で納得されるものではない。科学技術と学問分野が細分化され、専門性が極端に狭い視野に限られた現在、基礎理論の教育に注ぐ情熱も、時間も無いままにやり過ごされているである。ただ時間が無駄な教育を学生、生徒に押し付けているように見える。視点を広めて見ると、いろいろ今まで気付かなかった事に遭遇する。電気通信は現代社会の基盤を成している。IT通信始め携帯電話、衛星放送等の科学技術は、その専門技術の中味を知ることなど誰にも不可能な世界に生きざるを得ない事になった。科学技術が進展する程、我々はその技術からの疎外感を強めた中で、ただ流されて生きるだけの存在に成っている。とても大きな時代を支配した代表格の、技術が見える『ブラウン管式テレビジョン』、またそれ以上前の『真空管式ラジオ』などは蒸気機関車と同じく感覚的に技術の恩恵をその中身と一緒に享受できた。ここに挙げたエネルギー伝送路で、「導波菅」と言う技術も殆ど過去の物に消えてしまったのだろうと思う。その技術は、当時はやはり目で観る事の出来る技術であったから、何となく理解は出来ようと思う。不思議にも、電力配線は電気の送配電系統に19世紀からの電気技術が現在も活躍している。目に見えるから理解しやすく、その面で安心出来る。ところが、その電線路の意味さえ、理論で克服していないという恐るべき科学論とは、一体何者だろうか。電流が電線の中を流れると言う「アンペアーの法則」の意味を疑わない理論の人間の本質とを重ね合わせて不思議なのである。上のエネルギー伝送路は、電気磁気学の理論を、その電流と言う概念の持つ本質を説き明かすに役立つかとの思いで取り上げた。どれも『電磁エネルギーの伝送』の問題である。エネルギーは真空空間を最も容易に伝わるのである。『空即 無限なる有なり』と言う名刺を作った事がある。当時は電磁気学の本質は何かに悩んでいた頃。電線はエネルギーを反射し、受け入れないのがその本質的特性である。その象徴的現象が『超伝導』である。実は、「表面波伝送線路」と言う記事を昨日見た。「新版 無線工学Ⅰ 伝送編 宇田新太郎著 丸善株式会社 昭和39年4月」のp.150. に出ている。Sommerferudo (1899年) の理論を、アメリカのGoubau (1950年) のエナメル線の話等がある。それは超伝導現象との関係でも意味のある話である。空間こそエネルギーの伝送の舞台である。

表面波伝送線路は導波管路に接続した導線に関する接合部の話である。その本、無線工学Ⅰを参考にして、分布定数線路実習を学生実験に取り入れた。双三極真空管 2B29(真空管名) で発振器を作り、実習室に長さ約5mの2本の平行した分布線路を張った。発振周波数は 150 MHz で、線路インピーダンスは 500 [Ω] =276 log (100/1.6) となるように、屋内配線用ビニル軟銅線 1.6 mm の裸線を 5 cm間隔に張った。裸線2本の間に、 150 MHz の高周波信号の定在波分布が得られた。裸線でのみ行ったが、ビニル被覆線のままであったらどうかと、今に成って考えてしまう。その実験結果等は、新潟県工業教育紀要 第3号(昭和43年)分布定数線路実習に関する一考察 に載せてある。驚くほどきれいな分布データが得られた事を覚えている。直菅 40W 蛍光灯をその分布線路に近付けると、高輝度に蛍光灯が部分点灯する事に驚いた。蛍光灯の点灯は水銀蒸気の紫外線 2537 Åが蛍光物質を励起して、可視光線を発光すると言う技術理論の応用である。しかし、 150 MHz は紫外線に比べれば、とても低周波数、長波長(2 m )に該当する。それにも拘らず、蛍光灯が高輝度で点灯するとは誠に不思議な現象である。蛍光灯の点灯原理とは余りにも異なる点灯現象であるから。この不思議な点灯現象の話は、長岡工業高等専門学校での、文部省の助教授(中曽根内閣、松永光文部大臣)審査申請書で、3つの研究成果・教育成果の一つに挙げて、提出した事を覚えている。もう一つは、やはり新潟県の幽霊教員時代の「変圧器教育指導上のー電圧時間積分ー」への教科書指導原理の変更を迫った。(これが審査で通過した事を思えば、文部省は何も審査等せずに、抹殺の為の手続きを踏んだだけとしか考えられない。内緒の話?)