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電力p[J/s]の意味と解析法(2)

 

(2020/02/04)。何故印刷すると、自分のブログが「購読ブログ」と表示されるのか?

はじめに(2019/12/03) 9月28日に表題だけで残してあった。電気回路解析法としてアドミッタンス法を考える心算で、そのままにしてあった。分布定数回路現象は電気回路のエネルギー伝送のより物理的解釈になるが、技術解析法として集中定数解析による手法がアドミッタンス法になろう。電流解析法で、瞬時有効電流と瞬時無効電流の分離に有効な手法となろう。再び電気技術解析手法に戻って考えてみたい。(2019/12/09)今、特に気付いたことがある。等価回路変換の定理 (2016/01/29) が回路解析上とても重要な意味を持っていると気付いた。それは電気回路解析であまり注目されていない『時定数』が重要な意味を持っていると考えていた。その『時定数』に着目した解析手法に関係付けて、インピーダンスの直並列等価回路変換に一つの発見をした点である。前の記事、電気回路のエネルギー問答 (2019/10/02) で示した負荷電流の分離(有効電流と無効電流)から電力の解析法を考えてみたい。

回路条件

以前、電気回路のエネルギー問答 (2019/10/02) で取り上げた回路条件である。この回路条件の負荷である直列インピーダンスを次の回路変換定理によって並列回路に変換する。『時定数』が重要な役目を担っている。

 

 

並列回路への等価変換により、ωT=X/R=3/4から、

R’= 25 [Ω] 、 L’ = 106.17 [mH]  および X’ = ωL’ = 33.34 [Ω]

となる。その結果により、アドミッタンス解析を取り上げてみよう。並列回路への変換に『時定数』を使うか、使わないかで算出計算の手間に差がある。また回路動作の意味を理解するに違いがある。

負荷回路電流を『エネルギー』の意味から、有効電流と無効電流に分離して捉えるには、並列回路が分かり易い。即ちアドッミッタンスと電圧の積で分離できる。

(2020/01/26)再記述始める。

アドミッタンス Y=1/R’ + 1/jX’  = G -jB [℧] での解釈をもう一度考えてみたい。一般には負荷の特性を評価する場合、直列インピーダンスとして捉えるであろう。負荷の電力をどのように捉えるか。負荷にはモーターなどその回路要素を捉え難い場合も多い。基本的には、電源電圧に対してどの様な『エネルギー』の流れになっているかを理解することが大切と思う。電源電圧がある一定の周期波形であることで、モーターの回転数も決まる。電圧値が変化することは送電エネルギー・供給エネルギーも時間的に変化する訳である。そのエネルギー流の変化は負荷特性によって電源にも様々な影響を及ぼすのである。そのエネルギーの流れを電源電圧値を基準にした二つの流れに分離する解釈が有効と考える。電圧の2乗によって負荷に供給されるエネルギー流とそれとは異なる負荷で吸収と回生のエネルギー流の繰返し成分とに分離して捉える考え方が有効と考える。

図1.電線路と瞬時電力 

電線路は三相の高圧配電線路で成り立ち、三相回路でエネルギーの供給が成される。変圧器を通して低電圧(対地電圧150ボルト以下の安全性で家庭に供給される)配電線路を通して負荷につながる。図に示すように、『エネルギー』は電圧波形に従って時間的に脈動して負荷に供給される。この『エネルギー』と言う物理量は瞬時的に捉え難いものである。『エネルギー』の量の瞬時値を波形で観測することができない。光や熱の『エネルギー』のように、それを観測できない不思議な物理的「実在量」なのである。代わりに「電力」でその『エネルギー』の意味を理解するしかないのである。図のように、負荷を通して消費されるものと再び電源に回生されるものとの二通りに分けられる。電源に回生される『エネルギー』は供給する電源側にしてはとても迷惑なものになる。単相線路で配電するものを統合して、三相として捉えた時、その厄介な回生『エネルギー』でもうまく吸収する機能が発揮されている。ただ電圧と電流概念で解釈するだけでは捉えきれない『エネルギー』が有るのだ。

図2.回路変換と電流

図の①の直列回路については既に電気回路のエネルギー問答 (2019/10/02) に電流波形、電力波形として示した。

 

アドミッタンスへの変換

 

ここでは、計算結果は直列回路での計算と同じであることから、並列アドミッタンス変換回路に有用性があるかと疑問もあろう。確かに直列回路インピーダンスによる伝統的解釈でも電流や電力の分離は簡単にできる。図の①で考えた時、電流 ia と irはインピーダンスZ=√(R^2 + X^2)  (何故か? (jX)^2^= X^2^ で (j)^2^= 1 の不思議な虚数概念の矛盾が通る。)およびアドミッタンス Y= R/Z – jX/Z によって算定できる。ただそこには、電気工学特有の複素ベクトル記号 j の取り扱い方の問題がある。ピタゴラスの定理とオイラーの公式そして電気ベクトル (2017/01/15) に指摘した。この複素数ベクトルによる虚数の概念は共役複素数による分数有理化などの処理においても、j^2 = -1 の基本が所謂ご都合により科学論の論理性で矛盾した扱いになっている。この記号 j を虚数としての解釈では科学論と言うより、習熟による技術業界論になってしまう。図2.の②で、1/jX’=-j/X’=-jB は、1/j も -j も虚数ではなく、電圧に作用するサセプタンス B がその電流を電圧より位相π/2だけ遅らせる記号として解釈する。

この“ j ” について

伝統的ベクトル計算の関係を生かした、単なる位相の進みと遅れの解析記号として捉える意味を提示したい。+jはπ/2 進相、-jおよび  1/j  はπ/2位相遅れの意味を表す『位相記号』と解釈する。

 

アドミッタンス回路 図の②の場合は、印加電圧 v に対して同位相の電流 ia とπ/2遅れの電流 ir に分離されて、有効電流と無効電流の意味が直列インピーダンス回路より分かり易い。同じく瞬時電力も有効分と無効分が感覚的に分かり易いと思う。

(参考)2017年にベクトルと電気現象を考えた。纏めて挙げておきたい。三相交流回路の負荷と無効電力 (2017/01/01)。空間とベクトル (2017/02/03)。瞬時電力問答 (2017/02/15)。単相瞬時空間ベクトルと瞬時値 (2017/03/04)。三相交流回路の瞬時電流分離 (2017/03/24)。三相瞬時空間ベクトル (2017/04/07)。空間ベクトルと回転軸 (2017/09/07)。また空間ベクトルについて、空間ベクトル解析と単位ベクトル (2011/06/06) 。