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特性インピーダンスとエネルギー伝送特性

はじめに(すでに公開した心算でいた。8月末の書き出し記事)
直流回路ではインピーダンスという捉え方をしないのが一般的だ。ほとんどオームの法則で、抵抗回路として取り扱う。しかし考えてみれば、電気回路は直流用と交流用と違う回路を使う訳ではない。電気回路はすべて、分布定数回路なのである。一般に、直流回路解析でインピーダンスは使わない。しかし乍ら電線路の構造は全く同じである。二本の電線を張ればそれは必ずコンデンサとコイルの機能を持った電線路である。電気工学としての直流回路の取り扱いでは、インピーダンスなど必要ないだろう。だが、電磁気現象として考えるとき、電気工学ではなく物理学としての回路現象が大切なはずである。負荷が変化したときのエネルギー伝送特性はどのような意味で理解すべきか。それは必ずエネルギーが分布定数回路の中を伝播する現象となる。何がその伝送特性を決めるかが物理学の問題になる。今、「電気回路のエネルギー問答」の記事を書いている。その中で電力の意味で壁に突き当たっている。時間軸上に描く電力波形p[W] のエネルギー時間微分値という瞬時値とはどの様な物理的意味を持つものかと考えれば、理解に窮してしまう。エネルギーの電線路伝送問題の筈であるからと、電力の意味の思案の途中に居る。その中での一つの問題として、直流も基本的にはエネルギーの伝送問題の筈と思い、直流回路の電線路の分布定数回路としての特性インピーダンス問題を取り上げようと思った。(2019/09/19)この記事は8月末に「直流回路のエネルギー伝送特性」として書き始めた。しかし書き進む内に特性インピーダンスの算定の話に変わってしまった。その特性インピーダンスは空間の電波や光の伝送特性初め、電力送電線路や超高周波伝送路に共通した物理的意味を持っていると考えれば、そのすべてに統一した特性としてとらえるべきと考えるに至った。そこで表題を改めて、特性インピーダンスに絞ろうと考えた。この特性インピーダンスに関する記事に、既に特性インピーダンスから見る空間の電気特性という記事があった。その時点より、統一的に電気現象を捉えた筈である。

エネルギーの電線路空間伝送

電気エネルギーは決して『電荷』によって運ばれる物理量ではない。『電荷』を具備するという電子や陽子が電線路導体内を流れ伝わると言われても、そこには『エネルギー』を運ぶ論理は観えない。『電荷』は回路を往復周回する論理で理解されるから、行きと帰りで『エネルギー』の運び手としての役割を果しえない。『エネルギー』は電線路内の空間を伝送される、即ちそれ自身が実在する物理量として空間を伝送すると解釈しなければ、物理学理論としての論理性は観えない筈だ。『エネルギー』は他の代替物理概念量によって伝送され得るものではない。『エネルギー』自身が空間を光と同じく伝播するものである。そこには光が空間エネルギーの分布波であるという基本認識がなければ理解できない壁となろう。直流電気現象も、電線路の分布定数回路の空間を伝送するエネルギー伝送現象と理解しなければならない。電子などが流れる現象ではない。超高周波のマイクロ波通信だけが分布定数回路の伝送現象ではなく、直流も全く同じく、その伝送は分布定数回路伝送現象なのである。

先に記事光エネルギーと速度と時空で取り上げた右のエネルギー伝播の図がまさしく直流回路のエネルギー伝送の話になっていた。この分布定数回路で、負荷抵抗が特性インピーダンスと同じ値の場合が負荷端でのエネルギー反射現象が起こらない伝送現象になる。ある払い下げの通信装置の発振回路部を利用して、筆者が作成して生徒実験として取り入れた分布定数回路の報告記事があった(何故かこの部分が印刷から除かれるので書き換えた)。それが 分布定数回路と実験 である。そこに超高周波であるが、分布定数回路のエネルギー伝送の意味を理解するに参考となる実験データが載っていた。その負荷抵抗が特性インピーダンスの場合(第8図の特性インピーダンスに等しい負荷抵抗が500Ωの場合がそれである。)の定在波測定結果で、ほぼ一定値になっていることにその意味が示されている。それは負荷端でのエネルギーの反射がない伝送形態である。このエネルギーの反射現象で、驚くべき実測結果が有るといわれている。それは送電線路の開閉サージの電圧が定格電圧の7倍まで上昇した異常現象が起きたと。それは線路絶縁対策としては大問題である。送電端と無負荷受電端間のエネルギー往復反射の結果による現象である。電線路とはそのように、如何にも分布定数回路としてのエネルギー伝送に伴う複雑な特性を示す回路だ。単純な電線路ではない筈だ。少し脇道にそれたが、電線路は物理的なエネルギー伝送現象の空間であることを先ず認識して置かなければならない。

電線路と特性インピーダンス 分布定数回路と実験 の記事の線路定数を例に、特性インピーダンス500Ωの場合の分布静電容量C[F/m]と分布インダクタンスL[H/m]の定数値を算定してみよう。上の分布定数回路と実験のページ -123-に

Zo=(276/√εs)log(2D/d)=500[Ω] (2)

なる式がある。この式は、参考書の 新版 無線工学 Ⅰ 伝送編 宇田新太郎著 (丸善)p.95 に(4.6)式として載っている。この式の算出法が理解できないでいる。

そこで、平行往復導線の特性インピーダンスZoの算定法はどうするかを考えてみる。筆者は、電力工学での送配電線路の定数算定法を昔学習した。その教科書を紐解いてみれば、インダクタンスは線路電流による磁束鎖交数からの解釈であり、静電容量は電線路分布電荷がその理論の基をなしている。その理論的解釈で、実際の送電線路の回路定数・分布定数[mH/km,μF/km]が的確に算定されている現実の不思議をどう理解すべきか。

Fケーブル(屋内配線用)の特性インピーダンスの試算

上の算定式(2)式が高周波での特性値として極めて正確に思える。ちょっと寄り道をして、方向違いの商用周波数用屋内配線用として多用されるFケーブルの特性インピーダンスを算定してみよう。1.6mm銅線2本の平行ケーブル。絶縁厚0.8mmでD=3.2mm 、d=1.6mm とする。さらに、ビニル絶縁材の比誘電率εs=4.5とデータから選ぶ。そこで得られた特性インピーダンスはZo=78.3[Ω]程度と算定される。以上は一つの比較算定例とする。

特性インピーダンス算定式の係数、[276]がどのような根拠で得られたか?その訳が一つ解決した。送配電線路の教科書の中から糸口を探せた。そこで、まず特性インピーダンスの算出根拠を論じる前に、その手法の論理の妥当性を考えたい。それは最初にインダクタンスの算定手法について、電流 1[A] の物理的空間として、別に取り上げる必要があろうと考えた。インダクタンス算定式にまとめた。

同じく静電容量算定式についても纏めたい。静電容量算定式と理論にまとめた。

 

 

これが電気回路の実相だ

はじめに 電気技術概念、その代表が電圧と電流だ。その本当の意味はすべてエネルギーの姿を利用しやすい観測量として評価するものであった。エネルギーが電線導体の中を流れることはない。すべて電線で囲まれた空間を流れるのだ。基本的にはほとんど光と同じ光速度、毎秒30万キロメートルの考えられない速度で伝送されている。電気回路理論では電線路をエネルギーが流れるという解釈は一般的に採られない。それはエネルギーが空間内に実在している物理量という意識がないからであろう。エネルギーその物を計ることもできないし、目で見ることもできないから意識化が困難な事にその原因があるのだろう。太陽の光を浴びて、暑くてもそのエネルギー量を計れない。光を見ても、そのエネルギーが流れていること感覚的に捉えにくい。決して光は振動などしていないことを実験的に検証できない。光の科学測定は振動数の姿でしか測定値として捉えられないから。光の空間を伝播するエネルギー分布波など測定・観測できないから。電気回路を伝送するエネルギーも光と同じ空間分布波である。

特性インピーダンスと伝播定数。 電気回路は電線と回路要素のインダクタンス、コンデンサそして抵抗の3つでほとんど構成されているとみてよかろう。モーターもそれらの要素に等価的に分解して解釈できる。それらの要素がエネルギー(このエネルギーという意味を空間分布波として認識しなければ意味が通じない)に対して、それぞれ異なる機能を発揮するから、電気回路現象を理解するには技術的学習が必要になる。その技術習得に欠かせないのが、電圧や電流あるいは電力の概念である。しかし、電気回路の実相はもっと単純なのである。電気回路のインピーダンスや虚数軸のベクトル手法などによる専門的知識によって、単純な電気現象の実相が見えなくなるようでもある。ベクトル解析などと抽象的な解釈法を専門的共通理解の手段として学習すると、とても便利に理解しやすくなり、専門家集団内の共通コミュニケーションに欠かせないものとなる。そこには物理学理論としての電圧・電流概念が確固たる強固な物理的基盤として支えてもいる背景もあるから。しかし、電気現象も光や電波と同じエネルギーの空間伝播現象でしかないという本質を先ず捉えることが必要なのだ。そこに大事な電気回路現象の理解の要として、特性インピーダンスと伝播定数がある。街には配電線が電柱で支えられて配線されている。電気エネルギーを供給するためである。高電圧6600ボルトのピン碍子配線、変圧器を介した低電圧200・100ボルトの絶縁ケーブル配線がある。それは空間を伝送されるスマホの信号エネルギーと同じ電線導体の間の空間を伝送される電気エネルギーの伝送設備なのである。専門的技術理論が分からなくても、単に電線路空間を構成して、その空間を通してエネルギーを光速度で送っているだけなのである。その基本の単純な自然現象の利用技術が電気工学や電力技術として熟練を要する専門的な理論となっているのである。誰しもが基本となる自然現象の単純な意味を先ず理解してほしい。電線導体の中を電子が流れている等という、如何にも専門家らしい言説に惑わされないでほしい。決して電線導体の中を電子など通れないのだ。この世界に、負の電荷を持った電子など存在しないのだ。教科書が真実などと言うことではないことも知らなければならないのだ。自然は深くて単純なのだと。

電線路の実相

電気回路の真実を知りたい方のために少し解説したい。技術と自然の架け橋の要点を。

空間の電気特性 目の前の空間が持つ科学技術的解釈に誘電率と透磁率という概念がある。空間がインダクタンスとコンデンサから成り立っているという解釈である。携帯電話を使えば、電線が無くても通信ができる。空間が電波信号(これがエネルギーの空間分布波なのだ)の伝送路だからだ。図に透磁率μo[H/m]と誘電率εo[F/m]の値と空間の持つ特性インピーダンスZo[Ω]および電気信号の伝送速度の逆数で伝播定数γ[s/m]を示した。光速度coもその定数から決まる。透磁率が4πという立体空間角度に関係した値で定義されて、うまく統合されている訳は誠に不思議に思える。余りにも良くできているから不思議だ。それは空間の長さ1メートルあたりにインダクタンス[H/m]がある。同じくコンデンサのキャパシタンス[F/m]がある。空間にコイルやコンデンサがある訳はないのに、そのように解釈して初めてエネルギー伝播現象の姿を納得して理解できる。その捉え方の妙味が、とても便利であるから不思議なのである。何か禅問答のようだ。

右に裸電線を張った電気回路の意味と特性を示した。数式には自然対数のln(2D/d)を使って示した。常用対数log(2D/d)に変換するには係数2.3026を掛ける。一般的には絶縁電線が使われるが、基本的な特性は裸電線の空間構造によって決まると考える。絶縁電線は電気エネルギーの流れる伝播空間が電線表面の絶縁体部を流れるため、エネルギーの流れる速度が比誘電率の値で遅くなる。1メートルの長さをエネルギーが伝播する時間が伝播特性で、比誘電率εsのため√εs倍だけ長くなる。裸電線の場合は、空間の光の速度と同じことになる。線路の特性インピーダンスの機能はその値が同じであれば、エネルギーの流れが電源電圧のエネルギー分布に従って反射などの阻害要因がなく伝送されることを示す。その現象は特に超高周波回路に現れる。分布定数回路と実験に例がある。

むすび

空間の光エネルギーの伝播現象を科学技術概念、空間定数(透磁率、誘電率)と結びつけて、その捉え方を電気回路の伝播現象と統一的にまとめた。30数年前に、拠り所の電流概念を棄却して闇の世界の中をさまよいながら、プランク定数の次元と実在概念 日本物理学会講演概要集 第56巻第1分冊2号、p.338. (2001) の光エネルギー分布波の捉え方から、空間エネルギー分布の解釈にたどり着いた。光とは何か?-光量子像‐にまとめた。今50数年前の、分布定数実習に対する一考察 (新潟県工業教育紀要第3号、1962)の分布定数回路の実験結果が貴重な資料となり、この記事の基にもなった。新潟県教育委員会に正式採用もされていなかった中で、アルバイトのような身分の分際で研究するなど誠に御迷惑をお掛けしたと恥じている。と卑下してみても、新潟県はこの研究報告を生かす責任があろう。 

 

空間定数とエネルギー伝播現象

空間とエネルギ-伝播現象の関係を図にまとめてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エネルギー伝播特性 光を含めすべてのエネルギーの伝播現象がその空間定数、透磁率μ[H/m]、誘電率ε[F/m]によって決まると考えてまとめた。細かな点では違いもあるかも知れないが,エネルギー流という物理的実体の流れを総合的に捉えれば、その伝播現象の基本的姿は図のようになろう。特に電気回路の具体的現象を考えると、回路が電線路導体で囲まれた空間内を流れるエネルギー流の現象と見えてくる。長距離送電線路の伝送方程式では、回路定数による分布定数回路としての捉え方が基本となっている。その中に特性インピーダンスZ=√(L/C)[Ω]と伝搬定数γ=ω√(LC) [rad/m] がある。この中で、伝搬定数にはω[rad/s] という角周波数が含まれている。それは定数に入れるべきでないと考え、伝播定数としてγ[s/m]の速度の逆数を定数にした。電気回路のエネルギー伝送現象を考えるにはこの伝播定数の方が分かりやすいと思う。それはエネルギー伝送現象について光エネルギーと速度と時空で、電力p[J/s]の意味と解析法の記事で明らかにした。この電気回路定数との関係を述べた。

むすび 科学技術はその広範な分野に分かれて、それぞれ独自な理論を構築しているように思える。そのため各分野を統合して考察する機会が失われているように思う。未来の科学には生活感覚から観る市民の理解できる易しい解釈・解説が求められる。そこに全体を統合した捉え方をするには、ますます科学全体に共通した矛盾の無い少数の基礎概念の提示が求められるはずだ。その市民科学への寄り添いに科学者の努力と責任が求められよう。そんな意味を込めて、真空空間の空間定数による光エネルギー伝播特性を基準にした、すべてに共通した捉え方の一端を提示した。光と電気エネルギーは同じ空間エネルギー分布波の伝播現象だという意味を。スマホの通信も電気回路も同じエネルギーの伝播現象であることを。

 

電子とエネルギーと質量

『エネルギー』を窮めよう。エネルギーと繋がりのない世界は無いから。全宇宙、この世界で『エネルギー』の構成要素となる素粒子は決して存在しないから。

mc^2^から物理学を問う (2019/04/25) で述べたかった質量の意味。独楽の心 (2019/01/05) や熱の物理 (2019/02/07) にも繋がる。

時代はエレクトロニクス全盛期。
電子(Electron)と光子(Photon)が科学理論の根幹を担っている。物質の元素は原子である。原子理論は電子あっての基に成り立つ。そんな時代のど真ん中で、独り妄想にふける。端無くも電流は流れず (2010/12/25) にはじまる多くの顰蹙の種なるお騒がせを招き申し訳なく思いつつも已む無き事情に流されながらここまで遣って参りました。古くを辿って、再び電池の回路(電池のエネルギー)に戻る。電池は何を貯めているのかと不図の病が頭を支配する。電池の重さの意味に耐えきれず、その質量を計らんと無理を承知で心の感性に乗せて観んと思い付く。不図の病、それは電池からエネルギーが負荷ランプに供給され、エネルギーが光と熱に変換されて消費される。電池は少しも熱くはないが、電池の何が負荷で熱に変わるのか。ここの『エネルギー』と言う意味・物理量が現代物理学理論で捉えられ、説明されているのか。それは決して高等数学の式では説明できない自然の易しさの中に隠されている真理と言うもので御座いましょう。電池の中味がどのような化学物質ででき、構成されているかは分からなくても、自然の心を捉えるには特別難しいものではない筈なんだ。『エネルギー』が何たるものであるかを感じ取れれば宜しいのだ。それは電池の中に確実に溜って実在しているものなんだ。重量が計れなくても、化学物質の質量増加分として蓄えられているものなんだ。『質量』とは何かとまた顰蹙(ヒンシュク)の《問答》にもなる話だから、誠に御迷惑かも知れない。化学物質を顕微鏡で覗いても見えるものでも、質量増分を計れるものでもないから科学論証も出来ない話であるので、ご迷惑か混乱の基となるかも知れないが。筆者は原子質量が『エネルギー』の局所集合体としての、電子も陽子も無視した「Axial energy flow」結合構造と看做す物としての科学常識離れの認識に在る。マグネット近傍空間のEnergy flow は全く熱に関わりのない『エネルギー』であることも心に乗せて。それが電池の『エネルギー』と『質量』の等価性の原理の基である。E=mc^2^[J] の物理的意味である。ここから電池が電子を導線の中に流し出して、回路を還流したら、どのように電池に蓄えた『エネルギー』を負荷ランプに供給することになるかの《問答》が始るのだ。特別数式など無くても日常用語で説明できる筈だ。それが『電子』の意味を問うことになろう。

電子の実相を尋ねて。
最近の電子論、エネルギーから電子殻を問う (2018/05/21) や電池における電子の役割を問う (2018/05/24) で論じてきた。電気回路の問題では、必ず電流が含まれる。その電流概念で、正の電荷が流れるとは言えない為、電子が電流の流れと逆向きに流れていると解説される。この解説が検索情報の標準的なものとなっている。誰もその解説に疑念を表明することも無い。だからそれは世間の科学常識として子供達に教えられることになる。多分学習塾でも同じ説明がなされているのだろう。ここで再び、電流は電子の逆流か?と言う事を考えて置きたい。考えるにはその電子の逆流と言う回路状況を具体的に図に表現して見るのが良い。まず電子が電線路にどのように分布している状況かを示さなければならない。大事なことは、解説する人が先ず自分がどのように考えているかを空間的に図に表現することが必要だ。筆者もその意味で、皆さんが電子の逆流だと解釈する意味を、電気回路の電線に書き表してみた。電子が電流の方向と逆向きと言うことは、電線路全体に均一に分布していることと考えてよかろう。その分布電子が同一の速度で均等分布の流れとなっていると考える。それが図のようになる。この図の表現内容が間違っていると言うなら、それの間違いを指摘して欲しい。どのような電子の密度で分布するか。それは電子の速度が何によって決まるかにも因る訳で、その訳が明確に示されなければ分布も決まらないと思う。 『電子電荷』の速度を決める力学原理は何だっけ?電気回路の現象も特別難しい訳ではない筈なのである。解説する原理や論理性が明確であれば、それは日常用語で十分説明できる筈なのである。クーロンの法則に従うのか従わないのかを解説者自身が立ち位置を明確にして述べれば分かる筈である。上の図を見て、教科書を執筆されている専門の方々が、怪しいと思うか思わないか。そこに抱く意識に問題の解決の糸口が有る筈だ。ネット上の解説が正しいか間違っているかを。まず電子が電線路導体を流れると言うことは、図のように『負』の電荷だけの分布で良いのか?『正』の電荷の分布は無いのか?電池とは電子の回路循環機能だけなのか。電池の『エネルギー』はどのように負荷に供給されるのか?解説の中には、電子が移動すると、逆に電子の抜けた殻の穴が『正』の電荷の意味を担って、電流の方向に流れると考えれば良い。等の解説をする方も居られる。その方も自分の思う電気回路図を描いて、その全体の図で御説明されればよいと思う。兎に角、上の図では電気回路は『負』の電子だけで『正』の電荷の出る幕がないことになる。今までの説明には数式は使わないできた。どこか数式がないと説明にならない処が有っただろうか。科学の心を伝えるには数式など無くても良いのだ。政府の津波対策の防災情報で、海岸線の津波波形の図が余りにも滑稽過ぎて、誰があんな波を津波と考えるかも水の心が理解できていない科学論が招く怪しさなんだ。科学とは自然の心を心で受け止めて、心で伝えることだろう。解説者が自分の心に偽りのない意味を伝えてこそ科学論になる筈だ。偽善科学はやめましょう。

 

リサジュー図形と技術

リサジュー図形は技術評価の観測手段として有用である。オッシロスコープで3次元(時間と平面)図形として観測できる技術手法である。先日、記事整流回路とリサジュー図形が見られていた。そこに図5.スイッチングとリサジュー図形(e.i)がある。電流ベクトルiの描くリサジュー図形は6角形の頂点の6点を示す断続のリサジュー波形となる。その直流側の負荷は平滑リアクトルLが在るため、直流電流は一定値となる。三相交流電流波形は方形波である。その為電流のリサジュー図形が6点のみになり、6角形の辺は見えない筈だ。瞬時に6点にジャンプ移動する筈だから。今回リサジュー図形の意味を理解するのに参考になるかと少し追加して置きたい。この三相全波整流回路で、負荷がリアクトルL=0で、抵抗のみの場合は電源側の電流も波を打つ

変動波形となる。この場合の瞬時空間ベクトルのリサジュー図形で、電流ベクトルi に変化が現れる。その時のリサジュー図形を示す。a、bおよびc相の電流瞬時値ia、ibおよびicの値から図のように6角形の頂点に臍のような軌跡が現れる。

 

 

 

 

 

 

この電流ベクトルリサジュー図形に似た波形が在る。pq理論のリサジュー波形を見つけて (2014/11/21)の写真②に似た波形が在る。この写真波形は、後に空間瞬時ベクトル解析法と交直変換器への適用 (2011/10/30)と言う研究会資料になった基である。この研究会資料のp.77~p.79 の3次元軌跡図はリサジュー図形である。電力系統監視システムとして有効な手法と考えた。電力系統の状態を瞬時監視手法として生かされる筈だ。系統の瞬時アドミッタンス値と言う捉え方は余りなかった手法と思う。しかし、諸般の事情によりもっと大事な『静電界は磁界を伴う』の物理学基礎概念への方向転換になり、大学の講座性も工業高校と同じような気分で意識なく、研究能力の欠落かと、人権侵害の中に居るとは知らず、非常識の立ち位置から居場所も無く頓挫した。昭和62年、63年に電磁界理論研究会で、 電磁エネルギーの発生・伝播・反射および吸収に関する考察(EMT-87-106) と 瞬時電磁界理論の実験的検証とその意義 (EMT-88-145) を発表した。それはパワーエレクトロニクスの電力部門の講座に所属する内容ではなかった事を後で理解したが、無我夢中の夢の中のこと。 考えてみれば、昭和39年から、新潟県教育委員会はじめ、採用説明会と事務の取り扱いを一度も受けた経験が無かった。共済組合の加入手続きも書類に記載し印鑑の捺印など、一切した事も無かった。しかしそんな中で30年、50年以上の思考で、不可解な電荷の物理学の本質に辿りついた。研究者の端くれとしての責任と社会への貢献の一部は果たせたかと。

電気工学とリサジュー図形としてはピタゴラスの定理とオイラーの公式そして電気ベクトル (2017/01/15) 、ソーヤータワー回路の謎 (2016/07/19) さらに励磁電流とは? (2019/04/14) および変圧器-物理学解剖論- (2011/09/13)などを過去の記事から拾っておく。

pq理論と瞬時空間ベクトル。そのリサジュー図形を理解するには少し専門的な意味を理解する必要があろう。三相交流瞬時空間ベクトル (2017/04/07)  および単相瞬時空間ベクトルと瞬時値 (2017/03/04) が参考になるか。三相交流に瞬時虚電力qのベクトルを導入したことで、電気ベクトル空間座標が時間と合わせて4次元座標となった。

mc^2^ から物理学を問う

はじめに
E=mc^2^ [J] この式の意味を『質量-エネルギー等価則』として理解している。余りにも有名な表式である。これ程簡潔にして、自然世界を表現した数式は他にはなかろう。この式の意味を問うことは物理学理論の現在の姿を問うことになる。アインシュタインとその影響が現代物理学に大きく関わっていることは誰でも知っているだろう。それは物理学という科学論が20世紀の大きな社会現象としても捉えなければならない程時代を支配して来た。この表式の意味には自然の根源的「美意識」さえ込められていると思える。それはそれ程に素晴らしい表式だと思う。しかしそれに対して『特殊相対性理論』に関係した論が社会に与えた意味がとても気掛かりに思える。どうも理論が社会の中で勝手に弄ばれて、誤っていたのではないかと。様々な解釈が、様々な表現用語と共に明確な定義なしに論じられ、不可解な世界論を作り上げているように思える。そう思うことは個人の細やかな思いでしかなかろうが、電気技術論からの率直な違和感でもある。自然世界の認識で『電荷』否定が論点の基になる。

物理学理論と電磁現象
19世紀という100年は科学技術の台頭期とでも思える。中でも電気技術とその基礎理論が確立した時代であったと思う。1864年、早々とマックスウエルの電磁場方程式によって電磁現象の統一的理論が出現した。今でもその理論と方程式は偏微分形式で、高度な専門性を持って理解されている。このマックスウエル電磁場方程式が表現する内容がここで議論するアインシュタインの『特殊相対性理論』の基礎となっていると考えたい。『運動している物体の電気力学について』という1905年の論文が所謂『特殊相対性理論』という内容なのである。しかし、その論文の電気力学という内容が具体的に何を指すかが分からない。マックスウエルの電気力学がアインシュタインの理論の構築の基になっている。今になれば、当時の電気現象の解釈はまだ暗中模索の中にあった筈だ。『静電界は磁界を伴う』などという解釈から程遠かった。然しながら電気現象だけでなく、もっと謎の多い世界が科学の対象となり、19世紀の終わりにはレントゲン線や放射線という目に見えない自然世界の謎解きが始った。自然世界の解釈が見えない物理現象の解明に向き、自然科学のある意味混迷期にも在った。そこにアインシュタインの自然感覚と異なる異次元の理論が唱えられ、その新しい解釈、それが物理学理論として時代の学術の牽引役を担ったと思う。今改めて、アインシュタインの論文の翻訳文を読み、更に理論の軌道修正が迫られていると思った。別に改めて論じたい。

物理学理論でのmc^2^の意味
20世紀は物理学理論が世界の科学の話題の中心となって来た。特にアインシュタインの『特殊相対性理論』が科学論の原典のように華やかな世相を成してきた。アインシュタインが唱えた、mc^2^も自然世界解釈論の原点として科学常識となって現在に至っている。先日検索してmc^2^の、その意味を尋ねた。

驚いたことに殆どの解説が右の式の意味についてである。所謂アインシュタインの『特殊相対性理論』の光の伝播特性の解釈の√(1- β^2^) を質量とエネルギーの関係の関係にまで広げた論説である。よく見かける黒板に書き記しているアインシュタインの写真には、分母の式はない。E=mc^2^ の式だけである。論文標題  E=Mc^2^ :the most urgent problem of our time  (E=Mc^2^-現代の重要問題) Science illustrated,  vol. 1, no. 1  (1946), pp. 16~17 として、昭和21年にアインシュタインが「質量とエネルギーの等価性の法則を理解するには、特殊相対性理論以前の・・」との書きだして論じている。この論文を書いた時点では、アインシュタインは少し過去の主張に疑いを持っていたかとも思う。質量もエネルギーに統合されると解釈していたと読み取れる部分が有る。それはバートランドラッセル卿の主張に近いと。

E=mc^2^ [J] の式と異なり、分母の√(1- β^2^)が有る。光速度c[m/s]に対して質量m[kg]の物体の速度がv[m/s]の時のエネルギーを表した式のようだ。特殊相対性理論の § 10.  ゆるやかな加速度を受けた電子の力学 で電子の質量に関する論から、勝手に創り出された式であろう。アインシュタインの論文には無い式だ。

検索記事よ!  何故か? この式にそれ程の特別な意義あると言うのか?何も無い筈だ。

E=mc^2^[J]の式の意味を理解していない解説だ。やはり物理学理論等の教育内容で『エネルギー』の意味をすべて質量の持つものとして考えている処に根源的誤りがある。原子核分裂で、分裂生成原子の運動エネルギーの他に熱(輻射)、光そのもののエネルギーがその中にあることをどう捉えているかが気掛かりである。空間に『エネルギー』が体積を持って実在していることを認識していない。光が半波長の長さの空間にも『エネルギー』として実在している意味を理解していないからだ。振動がエネルギーに成る訳は無いのだから。光の振動数がどのような物理的意味を持つと考えているのか。みんな『エネルギー』の解釈の問題なんだ。

むすび mc^2^ の解釈は、質量m[kg]がすべてエネルギーに変換されれば、その結果には質量は消え、すべてが熱と光(電気も含む)のエネルギーに等価に変換されるという意味である。それを述べようとして検索したら特殊相対論の√(1- β^2^) に戸惑った。それは間違った世界の解釈論と思う。光を振動数で解釈している限りは、自然世界の正しい認識には到達できない。『質量-エネルギー等価則』のE=Mc^2^[J]の意味を認識して欲しい。

(参考記事):光の速度と空間特性 (1911/05/22) 。光とは何か?-光量子像- (1912/01/15)

励磁電流とは?

励磁電流否定の記事 変圧器の技術と物理 を投稿して。

(2019/04/16)追記。何処でも磁気や磁束は励磁電流で論じられる。元々電線の中に電子など流れていないにも拘らず、磁束まで電流との関係で定義される。ファラディーの法則の式を見れば、磁束と電圧の関係しかない。電流に因って磁束が発生するという意味など、その式には無いのだ。自然科学が科学技術理論で固められ、物理学としての自然哲学が欠落している処に理論の矛盾が放置されて来たと考える。変圧器を例に、巻線の1ターンコイル電圧 eu [v] = v/n [v] (nは巻数)を基準にして考えることを提案した。磁束や励磁電流という技術概念についても、長い技術的評価手法となっている伝統的な磁化特性を取り上げ、その意味の電圧時間積分との関係での解釈を図に示す。コイルの電圧という意味はコイル巻線導体近傍の空間に分布したエネルギー量の技術評価概念なのである。複雑な概念量を統一して捉えることが自然科学論としての未来の姿でなければならない。それを可能にするのは『エネルギー』しかない。励磁電流という曖昧な技術量を見極めて、磁束とは何かを考えて欲しい。なお、磁化特性は鉄心材料によって、図の①や②のように異なる。変圧器などでは特性が良く①に近く、インダクタンスはL[H]無限大とも見られよう。インダクタンスはその電気器具のエネルギー貯蔵機能を評価する空間特性の評価概念である。(2019/05/08)上の図を訂正した。磁束φと磁束鎖交数ψ=nφで、コイル巻数nの関係を訂正した。

気掛かりで、励磁電流とは?とITで検索してみた。1970,000件も記事が有り、様々な解説記事が検索される。変圧器をはじめ発電機あるいは電動機などすべての磁束の発生原理として、アンペアの法則の磁界発生原理で解説されている。変圧器の技術と物理で、せめて磁束発生原因の励磁電流という間違いはやめるべきだと指摘した。50年も前(正確には生命の危機を脱した、昭和46年秋に研究補助を頂いて、ロイヤーインバータでの単相誘導電動機の周波数制御運転をして、産業教育振興中央会の「産業教育に関する特別研究成果 別冊」に載せて頂いた頃)に筆者は既に励磁電流を否定していた。変圧器突入電流という電源投入時の現象も投入位相で電圧零時であれば、設計磁束の2倍程の ∫vdt [Wb=(HJ)^1/2^] の磁束量になるからと『電圧時間積分』で解釈すべきである。

変圧器の技術と物理

はじめに
ファラディーの法則が変圧器と言う電気設備の動作原理としての基礎となっている。それは技術理論であると同時に物理学理論でもある。電圧、電流および磁束という概念によって目に見えない電気現象を解釈し理解できれば、それで変圧器に関しては立派に電気技術者となる。決して磁束がどのような矛盾を抱えているかなどを問うことがなくても。200年以上に亘る歴史を踏まえて、ファラディーの法則が変圧器の自然現象の全てを捉えた真理と思われてきた。正弦波交流電圧実効値V[v]と変圧器鉄心最大磁束値Φm[Wb]の間には V=4.44fnΦm (ただし、fは周波数、nはコイル巻数) なる関係が厳密に成り立ち、それだけを理解していれば十分である。ならば磁束という概念は磁界の世界を支配する自然の実在量であると考えても当然かもしれない。しかしながら、磁束はあくまでも変圧器の動作を解釈するために導入した技術的評価概念量でしかないのである。自然の世界に磁束は電荷と同じく存在しないのだ。ここでは鉄心中に何が起きているかを、世界に実在する『エネルギー』一つの物理量からの解釈を示す冒険の旅に出かけよう。それは常識外れの異次元の世界かもしれない。

変圧器の技術理論
磁束量が基礎となる。鉄心に巻いた二つのコイルで変圧器の基本構造が出来上がる。鉄心中に磁束φが発生し、その時の巻数nのコイルには電圧 v = n dφ/dt が誘導される。だから磁束φが変圧器動作原理の基本概念になっている。磁束φがあるから変圧器の動作理論が成り立つ。その図表現や構造も分かり易い。巻数n1と n2で巻数比a=n1/n2を使えば、1次、2次の電圧、電流の関係が簡単に決まる。①の回路図のように表現出来る。②に構造を示す。鉄心に2次コイルを巻き、その外側に1次コイルが巻かれる。電源側の1次コイルが2次コイルを巻き込む構造に構成される。鉄心中には電源電圧の時間積分値で磁束が発生し、印加電圧波形とその時間に因って磁束値が決まる。磁束が励磁電流で発生するという解釈は、変圧器の動作の基本原理を複雑化し、分かり難くする無駄な解釈である。ものの考え方を統合する習慣の機会さえ失う。ファラディーの法則は v=n dφ/dt [v]である。φ=(1/n)∫vdtと書き換えられるから、電圧の時間積分以外磁束を表現できない筈だ。励磁電流など意味が無いのだ。もし磁束を励磁電流で評価しようとすれば、同じ変圧器で、電源電圧波形を変えたとしたら、どのようにその磁束に対応する電流を表せるというのか。電圧がどのような波形であろうと、その磁束波形は電圧値と波形から決まっているのである。全く励磁電流など考える必要が無いのだ。鉄心の性能が良ければ励磁電流など流れなくて良いのだ。だから教科書の励磁電流に因って磁束が生じるという解釈が採られているとすれば、その教科書はファラディーの法則の式の意味を捉え切れていないからだと考えざるを得ない。おそらく教科書検定基準がそのような励磁電流を要求しているのだろう。教科書検定基準がそのように書くように強制していることなのかも知れない。変圧器動作原理は磁束によってその技術理論は構築されている。しかし、その磁束は現実にはこの世界に存在するものではないのだ。そのことは電気技術論でなく、変圧器の物理理論として解釈を構築しなければならない事になる。それが次の問題になる。

変圧器の物理現象
空間エネルギーの挙動をどう認識するかが変圧器の物理現象の要である。磁束の空間像を描けますか。電荷の空間像を描けますか。物理量は空間に実在している筈である。その科学的論理に矛盾がなければ、本当に納得して捉えているならば、素直にその姿を描ける筈である。数式でない日常用語で語れなければならない筈だ。変圧器は鉄心にコイルを巻き付けて、全く繋がっていない二つのコイルの間で『エネルギー』が伝送できる機能の電気設備である。空間に存在する『エネルギー』を先ず認識して頂くことがここから述べる旅の理屈に必要である。コンデンサに蓄えられたエネルギーの姿を。コイルの中のエネルギーの姿を。常識外れの夢の世界に、本当の意味を探す旅であるから。しかし不思議なことに、div B = 0 であることを知っていながら、即ち磁束密度ベクトルB=φ/ [Wb] の発散が0であるということを。その意味は日常用語で表現すれば、磁束を→での表現は使えないという意味なのだ。磁束の発生源が無いという意味を表現しているのだから磁束が増加する→(矢印)は使えない理屈の筈だ。これは磁場空間に対する現在の物理学理論の解釈である。何故その意味を統合して捉えないのかが不思議なのだ。この磁束概念の不明確な曖昧さがそのまま放置されていては、理科教育特に物理学の論理的な考え方を育てるという意味が観えないのだ。自然の真理と科学技術の関係を明らかにするのが理学の目的と理解する。理学では、『エネルギー』を根本に据えた議論が重要な点になる筈だ。図2として空心コイルと鉄心を示した。変圧器は二つのコイルであるが、一つのコイルと鉄心の関係を論議すればそれで変圧器の物理的な(現在の教科書の物理学的という事ではなく、本当の自然の)現象の意味は分かる筈である。空心コイルはインダクタンス値もそれほど大きくない。そのコイルの中にカットコアの鉄心を組み込むと、とたんに変圧器の機能要素となる。インダクタンス値がほぼ無限大になる。いわゆる技術的な意味での磁束飽和という状態(電源短絡状態)にならなければ、殆ど電流は流れない筈だ。それは変圧器の2次巻線側に負荷が無い無負荷状態での電源側の電圧、電流の関係の話である。いわゆる磁束飽和にならない範囲での正常動作時の、その時に鉄心がどんな物理的機能を発揮するのかがここでの論題になる。電源からコイルに掛るのは電圧である。その電圧の意味は前の記事電気物理(コイルの電圧)で述べた。その電気物理という言葉は現在の物理学教科書の技術論的な意味とは違う。ここで論じる内容は教科書の内容より深く踏み込んだものであることを理解して頂きたい。磁束概念に代わる新たな解釈を求めた論議である。その上で進める。コイルにエネルギーが入射し、端子間にエネルギーギャップがある限りは正常なコイル機能を発揮すると。空心では無理であったのが、鉄心が挿入された時そのエネルギー入射が時間的に長く継続できるということである。コイル間に分布する空間エネルギーが何らかの形で鉄心の中に入り続けると考えざるを得ない。図3.コイルのエネルギーでは、電線が巻かれた部分のある状態を表した。一つのコイルとも見做せる。電気回路は金属導体、空気あるいは誘電体および磁性体など空間を規定する材料によって、その構造が制限された空間規定の形態によって構成されたものである。そこに電圧というエネルギー空間規定源である電源が支配するエネルギー場を作る訳だ。電源の負側がエネルギー供給源となって、電線路全体のエネルギー分布を光速度の速さで規定し、支配する。電線をコイル状に巻けば、その電線のコイル空間にも電圧に支配されるエネルギーや負荷に流れるエネルギー流などの影響が表れる。交流電源の半周期ごとに変わるエネルギー分布となる。インダクタンスというコイル空間もその電源の電圧というエネルギー分布の支配に従う。図2のコイルに鉄心が挿入された回路空間も同じくそのエネルギー分布に対するエネルギーの受け入れ対応が継続する限り、電源電圧をコイル端子で保持できるのである。それは鉄心がそのコイル空間にあることによってエネルギーを吸収する機能が高まったからである。(∫vdt)^2^ [HJ] のように電圧時間積分の2乗のエネルギー量が関係しているのだ。変圧器巻線のインダクタンスは殆ど無限大とも見られる。そのインダクタンスでエネルギー量に関係する電圧時間積分の2乗を除すれば、変圧器の電圧保持エネルギー量が得られ、それはとても小さな値で賄えるのだと理解できよう。そのエネルギー量に関わる量を変圧器技術概念では磁束として捉えている訳である。

図4.鉄心と軸性エネルギー流  図にはコイルの切断面の図とその平面図を描いた。鉄心を取り巻くコイル導体の間の空間はエネルギー流に満たされている。そのエネルギーが鉄心の中に流れ込むと考えざるを得ない。ここからの鉄心内のエネルギー貯蔵機能についての解釈は科学論と言える検証できる世界の話からかけ離れた別世界の話になる。鉄心の中のエネルギーの流れる様子など観測出来る訳が無い。導線の銅Cuと鉄心の鉄Feの同じ金属でありながらのその特性の差が何故生まれるかの物理的原理も分からない。しかし、マグネットに観られる力の意味を心のエネルギー感覚(磁気の軸性エネルギー流感覚)に照らし合わせたとき、そこにはエネルギーの回転流即ち軸性エネルギー流しか共感出来ないので、その軸性エネルギー流を鉄心のエネルギー貯蔵機能の原因として考えた。全く証明も出来ないお話で、科学論とは成らないかもしれない?それは原子の共有結合論否定の話と同じことであるが。この軸性エネルギー流は鉄心内の磁極即ちNとSという意味も消えてしまうことになりそうだ。その意味は隣同士の磁区間でのエネルギー流は流れが逆転するかと想像されるから。それはマグネットを近付けると、そのギャップ空間の砂鉄模様がマグネット周辺部に移動して、マグネット中心部は磁気空間という状況が無くなることを確認しているからである。同一マグネットを多数接合したとき接合部の砂鉄模様がどのようになるかの実験をしてみたい。科研の申請をするまでもなく出来る基礎研究だ。教室で授業をするには、本当に多くの分からない原理がある筈だが、教科書通りにその教育手法を伝達するだけでは、子供達も楽しくないだろう。

1ターンコイル電圧eu[v]  ファラディーの法則も物理現象として見れば、それは遠隔作用の法則である。変圧器巻線コイルに誘起する電圧の原因の磁束は鉄心中にあるから、鉄心から離れたコイルに作用するという遠隔作用である。アンペアの法則も電線電流と空間磁気の関係だから遠隔作用の法則である。変圧器の1次と2次巻線の間で伝送される電気エネルギーも磁束による解釈であれば、遠隔作用の法則である。しかし、空間にエネルギーが実在するとの概念を基本に据えれば、変圧器のエネルギー伝送も近接作用で捉えられる。コイル巻線の周りには同じようなエネルギー分布空間が存在し、そのコイル1ターン当たりのエネルギー分布量が1ターンコイル電圧eu[v]になるとする。巻線の1次、2次に関係なく、1ターンコイル電圧が同じであれば、その電線路の算術和として各巻線の端子には巻数に応じた電圧が現れる。n1×eu=v1 n2×eu=v2として。これは空間エネルギー分布による近接作用の考え方である。以前実験した変圧器の奇想天外診断の話の続きとしての結論でもある。

(遠隔作用と近接作用について) 物理法則では力が遠隔作用力である場合が多い。代表例が万有引力の法則である。それは質量の間に直接接触する物がなく離れた質点間に生じるという力である。それに対して近接作用力とは、具体的な例を挙げれば、水の流れで二つの流れが合流する時その流れの接触する水同士が力を及ぼし合い、どのような流れになるかを考えればそれが一つの例となろう。エネルギー流を考えれば、それは近接作用になる。風も空気の近接作用となろう。太陽系も全体はエネルギーの回転流として統一されて考えられるべきとは思うが。そのような解釈は質量に関わらない空間エネルギーの実在性を余り認識していない物理学理論には無いかもしれない。

むすび
空間エネルギーは実在しているが、その物理量を測定できない。そこに物理学理論の実験的検証を前提とした理論構築に限界があるのではないかと思う。電気技術理論の中の矛盾をどのように読み解くかに掛り、それは哲学ともなろう。ここで特に指摘したかった点は、変圧器の磁束が少なくとも励磁電流で発生するという考え方だけはやめて欲しい点である。この点は昔のことであるが、長岡工業高等専門学校で助教授の申請に研究・教育業績として3点の論点を書いた。その一つが、ロイヤーインバータによる研究成果としての点で、変圧器磁束が励磁電流で発生するという解釈は間違っていると指摘した。それは教科書検定基準を否定したことになったのかもしれない。

誘導エネルギーに観る技術と物理

はじめに
電気回路現象を理解するにはその回路内でのエネルギーの振る舞いを感覚的に捉えることが大切である。この記事もロイヤーのインバターの記事の準備として書いている。誘導電動機の運転などでは、その誘導性のエネルギー処理の問題を理解して置かなければならない。インバーターは直流電源を交流電圧波形に変換する技術であり、変圧器と誘導負荷のエネルギーの物理的意味を、電気技術概念の更に深い処の意味で捉えて置きたいと思った。基本的な方形波電圧波形と純誘導負荷のエネルギーの特質を捉えて置く必要があるからである。

単相インバーターと基本動作
最も簡単な基本回路を取り上げ、その負荷が純誘導負荷、リアクトルだけの場合についてまとめておく。物理量のエネルギーをどのように認識しているかが理科教育特に物理学において極めて重要に思える。誘導エネルギーと言う用語は一般的ではないが、コイルに蓄えられるエネルギーの技術的表現である。空心コイルでなく、鉄心に巻いたコイルのエネルギー量が大きく、その電気回路動作に強い影響を及ぼす。鉄心も含めて、コイルの中の空間に蓄えられる貯蔵エネルギーをここでは誘導エネルギーと言う。正弦波交流電圧より直流電圧の一定値を切り替えた方形波電圧波形の方が、そのエネルギーの意味を感覚的に捉え易いだろうと思う。技術的な電流や電圧の意味とエネルギーの関係について、方形波交流電圧源によって考える中身が明確になるだろう。筆者自身の経験で、初めて電気の回路動作を知ったのが方形波電圧源に関わったからである。正弦波電圧では意識しないものが観えて来るからである。

方形波電圧と誘導負荷電流 上の図のように、トランジスタとダイオードを逆向きに繋いだ一対で一つのスイッチを構成する。それを4個使って、負荷Lを電源につなげばトランジスタのオン、オフで方形波電圧が得られる。この方形波電圧で初めて、コイルの電流はどのようになるかを知ることが出来る。コイルの電圧voはLと電流ioの時間微分の積で得られることは知っていても、電流ioが電圧の時間積分となることは意識していない。コイルの電圧時間積分は磁束になる。磁束[Wb]をL[H]で割れば電流[A]になる。このような計算は科学技術理論であり、物理理論(現在の物理学は科学技術理論である)ではない。

科学技術理論と物理論あるいは自然論 科学技術論は電圧、電流などの計測量に基づいて理論を組立てたものである。当然現代物理学理論もその同じ概念に基づいて組み立てられているから自然論とは異なる。自然は人間が創り上げた自然観察手法ほど複雑な原則には無い。磁束も電荷も無い。原子構造もすべての素粒子と考えるものもたった一つの『エネルギー』の世界像である。磁束、インダクタンスおよび電流の単位間で、磁束[Wb]=インダクタンス[H]×電流[A] が何故成り立つのか?自然感覚としてその意味を捉え切れるか。せめて、磁束[(HJ)^1/2^]=インダクタンス[H]×電流[(J/H)^1/2^] なら、次元解析も容易であろう。如何に世界は『エネルギー』が根源を成しているか。エネルギーを論じない物理学は自然を論じているとは言えない。まだ、科学技術論からの要請で取り入れられた空間概念の空間容量ファラッド[F]と誘導容量ヘンリー[H]の時空論の曖昧性は残されたままのように思う。それは哲学的な思考によって解決されるべきものと思う。電流も電圧もそれらがエネルギーと関係付けて捉えられるには、それぞれ2乗によって初めて観えて来る筈だ。もう一つ触れておこう。トランジスタのnpn積層構造でも、ダイオードで表記すれば、ベース端子に対してエミッタもコレクタもダイオードの背向した構造体の筈である。コレクタ側からベースへ電流が流れないダイオードの構造の筈である。何故か不思議にもダイオードの逆向きの電流を制御していることになる。これも実際の製造現場では、単純なnpn積層構造ではない事が分かっているのだろう。考えても単純な頭では理解できない。これも何とも言えない不思議な科学技術論である。トランジスタにはエミッタに電流の方向が示されているが、量子力学論では電流ではなく、逆向きの電子の流れで論じられる。何故電子がコレクタ側に流れるかの明快な解釈は見えない。何しろダイオードの逆向きであるから。それも質量でもなく電荷でもないエネルギーの流れとして捉えなければ真の物理学にはならない筈だ。この辺に対する過去の悩み論を記した記事謎(p n結合は何故エネルギーギャップ空間か)がある。標題に技術と物理としたので少し脇道に逸れてみた。

誘導エネルギーの回生 誘導負荷エネルギーはその処理を的確にしないと、スイッチング素子が破損する。貯蔵されたエネルギーは回路から突然切り離そうとすれば、無限大のエネルギー放射源となり、回路内で炸裂する。だからと言ってそのエネルギー量が多いとは限らない。量は少なくても、そのエネルギーの流れを瞬時に止めることはできない。無理に止めようとすれば火花を放ってエネルギーを放射する。そのエネルギー感覚が電気回路解釈における筆者の感覚の基になっている。コンデンサのエネルギーにはそのような凶暴性を持った回路への危険はない。コンデンサの貯蔵エネルギーは簡単に回路から切り離せる。半導体回路のその誘導エネルギー処理の優れた機能に感心させられた。

リアクトルエネルギーの貯蔵と回生 ここでも技術論である。本来の電圧は電位が高い方がエネルギーの分布が少ないのである。負側がエネルギー源である。然し技術論では如何にも電圧の高い電位がエネルギー供給側のように解釈される。だから電流が流れて、負荷にエネルギーを供給すると理解する。本当は逆なのであるが、如何に科学技術論で頭が飼いならされたかは、電流と電圧の意識が手っ取り早い理解に結びつくかを思い知らされる。実に電圧、電流の技術概念が使いなれると便利であることか。しかしその物理的根本原理を明らかにしようとすれば、並大抵のことで解き明かせるものではない。だから電流が電線導体の中を電子が逆向きに流れる現象だなどと、実しやかなウソで誤魔化す事になる。質量の無い電子は定義されていない。電線の中を質量を移動させるにはどのような力が必要かは知っている筈だ。運動力学論で質量は電界では動かない。だから電荷と電界の関係で力を想定する。一般導線の中に電界をどのように想定できるか厳密に論理を展開出来るか考えてみれば分かろうと思う。無理なのである。それでも巷の電気解説論では堂々と電子が電線内を移動すると解説されている。しかし、だからと言って電流、電圧と言う概念を不要と言って切り捨てる訳にはいかないのだ。これ程実用的な便利な技術概念も無いから。その物理的実像を明確に捉えることは本当の自然の深い真髄を理解する上で大切な事でもある。それはトランジスタの内部あるいは近傍空間をどのようにエネルギーが流れるかを極めることに繋がる話である。技術論と自然の眞髄はどこかで明確に論理的に繋がる筈であるから。エネルギーの回生については何も述べずに来てしまった。一定周期でのスイッチングで、定常状態になった場合の負荷電流ioは三角形状に変化する。その各状態でコイル内にエネルギーが貯蔵される区間と放射(それが電源にエネルギーを回生)する区間とに分かれる。エネルギーの流れと電流値とは同じくはないが、コイルのエネルギーを電流で捉えるのが分かり易いという実に慣れという常識習慣の恐ろしさも感じながらの論理に従って理解する。本当のことは、エネルギーは電流の2乗で捉えられる筈だ。

半導体スイッチ回路をダイオードとスイッチSで書き換えてみた。二つのスイッチSを同時にx 側かy 側に投入すれば、電圧は方形波となる。スイッチの切り替えごとに打点のダイオードが電流の帰還回路を形成し、エネルギーの電源回生動作となる。なおコイルのエネルギーは電流の2乗だから放物線状に変化する。

むすび 電圧、電流と言う技術概念が如何に便利であるかは慣れるに従って益々離れがたい価値を意識する。しかし、自然にはそんな概念は無く人が創りだした技術概念でしかないのだ。実に不思議なことである。こんな事を書くことが社会的な混乱を来たす元になるようで実に気が重い事でもある。社会的組織の中では許されない論議になるかも知れないことから、孤独の世界を歩くことに成ったとも考えられる。過去の電気技術の仲間や工業高校時代の仲間とも全くの繋がりのない世界での思考の論考である。5,6年前に住所録も消えて無くなっていた。日本物理学会での発表も所属欄が書けない無様で今は止めた。学術に関する処に参画するには所属欄の記載がなければ、参画資格が無いようだ。時どき昔のことの闇の声が聞こえる。竹下内閣の『約束』が有ると。地方創生資金配分の関係かとも思うが、何の『約束』かは知らない。

今回の記事で、単相インバーター回路を取上げたが、電流が電気エネルギーの流れを示していると電気技術者ならそう理解する。しかし直流電源のエネルギー放射・伝送は実は負側のマイナス側から送られるのだ。だからトランジスタのスイッチングによるエネルギー伝送機能も負荷に印加する電圧のマイナス側がエネルギー高密度空間の基になっているのだ。大学の電気工学・電子工学の教育上の『参照基準』はその辺に照準を合わせるべきと所属の無い身ながら恥ずかしさを忍んで提言する。残念ながら教科書が間違いあるいは矛盾に気付かない内容を広めているのだ。理論がもっと実学・技術の学びの上に基づくべきだ。何々の法則が矛盾に耐えない筈だ。

政府機関なのかどうかは知らないが、裏で何か決めているようで、実に気味の悪い精神的ストレスの毎日である。正に人権侵害の連続だ。人の繋がりのない断絶した過去の上の浦島退屈論ではあるが。

 

電気物理(電圧時間積分とエネルギー)

はじめに
物理学の中で電気現象を取り扱う科目は電気磁気学になろう。その電気磁気学の中味を確認すると、電気工学の内容と殆ど変りはない。電圧と電流がその電気回路現象の解釈の基本概念となっている。微視的な現象を論じる量子力学などは原子・分子構造やバンド理論の抽象的な理論が主体となって、少し電気磁気学と言う分野からはかけ離れてもいる。しかし、電界・磁界と言う電磁場とその中の電子の振る舞いと言う意味で見れば、電気科学技術の基本理論がそのまま基礎概念として電気物理の基本になっているように思える。専門用語には、簡単に理解できないものが多くある。π電子等と言われると、電子の『電荷』の実像さえ理解できない処に、πとは何じゃ?と狐に抓まれた気分になる。磁界と言えば『磁束』で解釈される。磁場空間に磁束が通っていると言う科学の常識概念も、教育の場ではアンペアの法則に因る電流概念との関係で理論構築されている。電流原器の定義からもアンペアの法則が電気現象の物理的真理であるかの如く威厳をもって説かれる。一方ファラディーの法則も電磁誘導現象の解釈の基本を成している。電圧と磁束と時間の関係で電気現象の理解に欠かせない法則となっている。一般に電線路周辺空間にも磁場があり、その空間にも磁束が関係していると看做すであろう。磁束はアンペアの法則の電流によって発生すると解釈すべきか、あるいはファラディーの法則に因る『電圧時間積分』で発生すると解釈するべきなのか悩ましい意味を含んでいる。『磁束』と言う空間に実在するとは理解仕兼ねる概念が、科学技術の解釈に有用なものとして長く理科教育によって基礎共通科学常識となっている。『電荷』と同じく『磁束』と言う物理概念が如何なる空間的実在性を持っているかを明確に示す事が電気物理の命題であると考える。具体像として認識できない抽象性ではこれからの科学の社会的理解が得られないと危惧せざるを得ない。電気物理はそれらの基礎概念を明確にする事から取り組まなければならない筈だ。今回は拙い電気回路現象の知り得る範囲から、電圧時間積分と言う電気工学の考え方で、『磁束』と言う意味を取上げて電気コイル周りのエネルギーを考えてみたい。電気技術ではリアクトルと言い、理論ではコイルと言う電気エネルギーの空間貯蔵回路要素の話になる。電圧時間積分と言う技術用語を初めて知ったのが、ロイヤーインバーターの不思議な電気回路現象であった。それ以降磁束はアンペアと言う電流では捉えるべきでないと確信してしまった。もう50年も前のことである。現在はその延長として『電流は流れず』と言うところに居る。とても金属導体中を流れる『負の電荷』の逆流等と言う物理概念が電流だなどと言ってすまし込んでいる訳にはいかないのだ。この記事を書く意味は、理学と言う理論に偏り過ぎた意味を科学技術と言う現実的な応用の中に隠れた真実を見直す事によって理解して欲しいとの願いからであった。教育の中に間違った真理らしき内容が多く含まれている現実を修正しなければならないと思った。ロイヤーインバーターで洗濯機用の単相誘導電動機を運転した頃の『電圧時間積分』の意味を磁束との関係で取上げようと準備しながら、その前にコイルの基本的意味を別に解説したいと考えてのことである。理学と技術の意味を考える例題として有用と思ったから。

コイルと電圧時間積分

 電気回路にコイルが含まれると、そのコイルはエネルギーを貯蔵する働きでその機能を特徴付けて解釈される。このような電気現象のエネルギーに因る捉え方が電気物理として特に考慮して欲しい点だ。コイルの中の空間にエネルギーが実在すると言う感覚的認識が必要なのだ。二分の一にインダクタンスと電流の2乗の積の式で覚える数学的な電気知識でなく、コイルの電気導体で囲まれた空間内にある『エネルギー』の空間物理量を認識して欲しい。コイルに掛る電圧とは何か?その電圧がエネルギーとどのような関係にあるかをこの記事を書きながら、考えてみたい。ただ電圧と電流で回路を解析するだけでは、それは電気技術論でしかなく、電気物理と言う自然現象の奥深さを知る自然観には程遠いと言う意味を理解して欲しい。電圧も電流も電気技術解釈用の技術概念でしかないと言うことを。然し、その電圧、電流と言う科学技術概念が如何に実用性で優れたものであるかを知る為にも、電気回路現象の真の姿を理解して初めて可能になることを知らなければならない。電線路で囲まれた空間に磁界とか、電界とか理論付をする意味を考えれば、その空間に何かがあるからそのように捉えるのだと言う意味位は察知出来よう。電線路導体で囲まれた空間に『エネルギー』が存在し、また流れているからなのである。その『エネルギー』は光速度と言う途轍もない速度で空間のエネルギー分布の欠損が生じれば補う。実験的にそのエネルギーの流れを計測など出来る筈もない。その『エネルギー』を科学技術概念の電圧と電流と言う計測量で捉えて、実用的理論に構築した意味が如何に偉大であるかを知らなければならない。しかし電線の金属導体内を電子や電荷が流れている訳ではない事は自然現象の真理として理解することと科学技術概念の意味とは異なることも知らなければならない。電圧時間積分についてコイルの端子電圧vとした時、積分 ∫vdt [Wb] は磁束の意味になる。ファラディーの法則の積分形である。このコイルに印加される電圧の時間の長さが何故磁束になるのか。コイルに掛る電圧とはどんな物理的意味を持っているのか。それらの疑問を解くには、すべてエネルギーとの関係で明らかにしなければならない問題だ。しかし、磁束もその次元は[(HJ)^1/2^](単位換算表を下に示す。)、電圧の次元も[(J/F)^1/2^]とエネルギーの単位ジュール[J]とは異なる。電気技術単位もエネルギーのある観方の解釈概念で有れば、最終的にはエネルギーとの関係を明らかにして、理解する必要があろう。その事をコイルのエネルギー貯蔵機能と言う点に的を絞って考えたい。ここで、別に電気物理(コイルの電圧)として先に纏めて置くことにした。追記。前に記した記事:LとCと空間エネルギー (2017/08/02) も参考になろう。

考察回路2例 電源は直流電圧とする。抵抗とインダクタンスの並列回路、回路(1)と直列回路、回路(2)の二つの回路例を取上げて、そのコイルLの動作機能を考えてみよう。電源電圧を直流としたのは交流電圧よりも電圧値が一定であることから、電気現象の意味を理解し易いだろうとの事で選んだ。コイルに直流電圧を掛けることは一般的には考えられない事例であろう。回路例(1)ではもろにコイルに直流電圧を掛けることになるから結果的には危険な電源短絡事故となる。一応保護ヒューズを電源に入れて配慮した。

空間の電気量 物理学では時空論と言う言葉が使われる。物理現象は空間の中に展開される電磁現象とも言えよう。光は空間世界の王者でもある。それは空間に描く時間とエネルギーの営みでもある。そんな意味で、光が描く空間長と時間の関係は『エネルギー』と言う実在物理量に因って理解できる筈だ。1990年(平成2年)の秋頃に、完成した自然単位系がある。措置と言う強制牢獄への穴に落ちる少し前のこと。自然現象を理解するに科学技術概念だけではなかなか複雑過ぎて難しい。空間とエネルギーだけで電気用語の意味をまとめた表を載せる。すべての電気量がエネルギーのジュール[J]との関係で算定できる。電気量の次元を換算するに使うに便利である。余り物理学では、空間の意味にファラッド[F]やヘンリー[H]を意識していないようであるが、時間の次元も[s=(HF)^1/2^]で関係付られる。光の速度を決めるのもこの空間の物理的関係に因る。この空間の誘電率、透磁率の物理的意味合いを明確にする課題がまだ残されている。それはどうしても哲学の領域にもなるかと思う。科学と哲学の課題でもある。空間で『エネルギー』がどのように共振現象で伝播するかの解答が。何方かの挑戦を期待したい。

回路(1)の電気現象 スイッチによって二つの場合を考える。

(a) S1:on 、S2:off の抵抗負荷。電源スイッチ S をオンする。回路解釈は直ちに一定電流i=E/R[A]になると理解する。技術論としてはそれで十分である。然し物理現象としては、負荷抵抗に供給されるエネルギーは電線内を通って供給される訳ではなく、電線路で囲まれた空間を通して供給されることを知らなければならない。厳密には突然スイッチの周りのエネルギーギャップの空間が閉じられるのだから、複雑な空間の動揺を伴った後オームの法則通りの平常状態に落ち着くのだ。電気技術で負荷電力P=E^2^/R [W]と計算される。ワット[W]=[J/s]である。電圧の単位は[V]で抵抗の単位は[Ω]である。[V]と[Ω]で、どのように単位換算されて電力が[J/s=W]となるのか。その物理的意味をどのように解釈するのか。このことに関連して、やはり別に電気抵抗体の物理として考えをまとめた。

(b)S1:off 、S2:onでSオンする。実際はスイッチSオンすると同時に、電源短絡事故となろう。コイルのインダクタンスがL[H]であれば、電流はi= E/L∫dt [A]で直線的に増加する筈だが、そこには空間的な別の意味が関わっている筈だ。コイル空間が真空であったとすれば、エネルギーの空間貯蔵に空気中と異なる意味が含まれるかも知れないと言う疑問はある。コイル内の空間にエネルギーが貯蔵されると言う意味は、その空間のエネルギー貯蔵限界があると言う点を知らなければならない。ただ空気中の磁束量の限界と言う空間破壊の解釈は聞かない。電界の空間破壊は高電界30kV/cmと良く聞くが。それも磁場と電場と言う違いはあるが、空間のエネルギー貯蔵限界に因る物理現象の意味である。コイル電流i[A]に因って、コイル内に磁束[Wb]が生じると言うのがアンペアの法則に基づく解釈である。次元を考えれば、電流[A=C/s]からどのような物理現象として、磁束[Wb]が発生すると言うのだろうか。電荷には磁束を発生する物理量的な次元の意味が在るのかを問わなければならない。電気技術論として1800年頃に発見された知見が現在の物理学概念として本当に有用なのか。電荷と磁束の間の空間に起きる次元変換の物理的見解が必要と思う。そこには『電荷』の物理的空間像が示されなければ、答は得られないと思う。なお、電圧時間積分は電流i=(∫Edt)/L の中に含まれている。磁束φ=Li と同じ式ではある。

回路(2)の電気現象 R-Lの直列回路で、やはりLの機能を考えてみよう。既に、電気物理(コイルの電圧)としてまとめたので大よその意味は分かろう。コイルのスイッチS’:off で電圧を掛ければ、指数関数的に電流i がE/Rの値まで増加し、コイル電圧はエネルギー貯蔵した状態で零となる。

『問』 その状態でスイッチ S’ をオンとしてコイル端子を閉じるとする。その後の電流はオンしたスイッチ部を通るか、コイルL内を通るか。

『答』 尋ねたいのは、コイル端子を閉じたときコイルの貯蔵エネルギーは電流 i に因るのか、それとは別にコイル内の空間に貯蔵されたものと考えるのか、どちらで理解するかを答えて欲しいのだ。電流 i が電源に繋がった導線部 S’ を流れずに、わざわざコイル内を流れるとは考え難かろう。然しコイル内にはエネルギーが貯蔵されていると解釈しなければならない。そのコイルのエネルギーは電流に因るのか、コイル内の空間に貯蔵されたものと考えるのかを問うのである。ただ時間と共にそのコイルエネルギーも空間に放射あるいは抵抗で熱化されて無くなる。

回路の電流 回路(1)と回路(2)の電流値の様子を考えてみよう。

電流値 電圧が 100V 、抵抗値10Ω、 インダクタンス10[mH]として図に示した。回路(1)の(b)の場合で、コイルに電圧を印加した時、電源投入後何[ms]で電源短絡となるかは分からない。? 記号で示した。その状態をコイル内の磁束が飽和した為と技術的には考える。物理的には、コイル内の貯蔵エネルギーの受け入れが出来ない限度を超えたからである。また、回路(2)では、スイッチS’ を投入した瞬時にコイル端子は回路から切り離された状態になり、抵抗のみの回路となる。その時コイルのエネルギーはそのまま分離されてコイル内に留まり、時間と共に消えることになる。

むすび 記事の内容を見ると、電気物理と言いながら数式が全く無いことに気付いた。電気現象はその技術概念電圧と電流が解析の要となっている。然し、その電圧とは?電流とは?と殆ど疑問に思われてはいないようであった。30年前に『電荷』概念の空間像を描けないと疑問に思って、何か世間の囃したての中に揉まれながら、人生意気に感じて頑張っている内に、とうとう浦島退屈論の仕儀となってしまった。やっと御蔭さまで、電圧と電流の物理的空間像が描ける境地に辿り着いたようだ。電圧の2乗が次元[J/F]、 電流の2乗が次元[J/H]でその空間の空間エネルギーを捉えたものであると。電気回路の空間構造のコンデンサ機能の[F] とコイル機能の[H]とでその空間のエネルギー貯蔵量を捉えることが出来ると安堵の境地。やっと技術概念の物理的意味が理解できた。電圧-その意味と正体ー (2016/05/15)ではまだ疑問との格闘にあったようだ。然しその記事の文末に導体近傍のエネルギー分布を確信した記事が記してある。その実験的検証が在ったことで、ここまで来れたと感謝する。