カテゴリー別アーカイブ: 数学

電荷の論理性

長い間科学論、特に電気理論でその基本概念に『電荷』がなっていた。原子理論も雷もみんな専門家の解説はそのプラスとマイナスの『電荷』が基礎に成っている。クーロンの法則で、電荷間の『力』が科学論の拠り所として長い伝統を支えている。

電荷に論理性が有るか?

余りにも素人らしい疑問であるが、プラスの『電荷』+Q[C] と マイナスの『電荷』-Q[C] が結合したら、そこには『何』が生まれるのか?

算数で、    (+1)+(-1)= X

の X は幾らか?と尋ねられた。

答えは     X = 0

となる。

『電荷』の場合はどのような論理性で解釈すれば良いか。理科教育の未来の希望を尋ねる問題としたい。子供達も学校の先生も考えて欲しい。

 

自然科学にもたらす数学の功罪

自然界に『負』の物は実在しない(2020/08/03)。

『負数』について考えた。数についての学問が数学であろう。数には正数に対して負数と言う概念が加わり、数の計算が拡張された。しかし、実際の生活に『負数』が存在するのだろうか。例えば、経済で利益を正数としたとき損失を負数として対応させれば、加減算したとき誠に分かり易いと言えよう。しかし損失も『正』の損失額という意味であり、決して負数という事ではない筈だ。純粋な意味で損失が負数であると決まったものではない筈だ。計算の便宜上で負数としただけでしかなかろう。そのような意味で考えた時、日常生活上で自然現象を観察した場合に『負数』で対応しなければならない事物が存在するだろうか。

数学は論理性の象徴的学問分野であるかのような絶対的な捉え方で解釈されている傾向があるように思われる。それが常識的であるように見える。

数学に規則では、

(-1)×(-1)=+1    (1)

(+1)+(-1)=0       (2)

等と決められている。

このような規則、条件がどのような意味であるかを考えてみたい。具体的に自然世界の現象として、この規則を取り入れるとき、それがどの様な意味を持つかという事を明らかにする必要が有ろう。(1)式、(2)式には自然世界に実在しない概念の導入によって成立するという条件の仮定が根底に在る。

ここで考えてみる。どんな自然現象で(負数)×(負数)と言うような計算をしなければならないものが存在するだろうか。あるいは(+1)+(-1)=0と言うような事象があるだろうか。(負数)に対応する自然界の物理量が実在するだろうか。

そこに唯一思いつく物理量があろう。それが(・・)であろう。皆さんは何を考えるでしょうか。

数学の特徴で抽象性を挙げる事が出来よう。それに対して自然はすべて具象の世界である。その自然からある面を抉り出して抽象性を表現してみても、それはあくまでも自然ではなく人の恣意的な自然にない解釈が組み込まれた可能性のものだ。そういう意味で、数学的な解釈が如何にも絶対的であるかのごとき捉え方は正しくなかろう。

数学の解析の具体例。幾つか拾い出して考えてみたい。確かに数学的解析手法が無ければ、現代生活は成り立たないと言ってもよい程、その恩恵は計り知れない。それが数学の功績である事に間違いはない。その上で考えてみたい。特にその威力を感じるのは、様々な現象のシミュレーションにあると思う。時々刻々と変化する状況を的確に予測する計算手法である。そんな人の能力を超えた計算処理が計算機(動かないものは器で動くものが機と理解していたが違うようだ。)で可能になったのも数学の規則があるからだ。

1.気象予報。

気象の予測の精度が格段に向上している。そこには気象観測衛星の技術があっての事ではあろう。ただ一つそこに気掛かりがある。それは雷発生注意報が発せられているが、余り雷の発生は起きていないのではないかと思う。最近残念ながら「雷」の稲妻も見ない。気象条件で、雷の発生が予測されるのだろうが、予測が外れて起きていないのではないか。そこには人の科学理論の誤った認識が入るからではないか。雷は決して『電荷』などの自然現象ではなく、『熱エネルギー』を原因とした現象なのである。雨によって空気中の塵芥が洗い去られて、気中に水蒸気の熱が貯えられるチリが無いから、雷現象が起きないのだ。雷は気中の熱爆発現象だから。『熱』の正体 (2014/05/15)-この記事も年間リポートで大花火を頂いた- および雷は熱爆発 (2014/05/23) がある。

2.津波伝播現象。

海洋を伝播する津波波形をどのようにシュミレーションで解析するか。地上の津波波形は運動エネルギーの波であるから、普通の物理学理論の運動方程式による解析で可能だ。しかし海洋伝播する津波波形は海水が流れない現象だから、運動エネルギーではないのだ。海底沈没現象がその巨大津波の発生原因である。高速度計算能力が可能の時代になった。海底陥没でどのような現象が起きるだろうか。突然の真空空間を作る実験は不可能である。しかし計算機なら可能かどうかと期待を膨らませたい。古い記事、地震とは何か(2011/10/20) および地震・津波発生の原因 (2014/06/15) -この記事は年間リポートで大花火を頂いた- がある。

3.電気回路現象。

電気回路現象は微分方程式を解く過渡現象として詳しくシミュレーションによって解析できる。それは電気回路の『電流』と『電圧』を基礎概念として解くことができるという条件の成り立つ場合に限る手法である。それは電気回路内における送電端と受電端間での光速度による遅れを考慮しなくてよい場合に限るという条件がある場合だ。『オームの法則』と光速度伝播現象の関係を考える必要が有るのだ。回路電流は電源と負荷の値が等しい条件で『オームの法則』が成り立つのである。分布定数回路の電線路長と電気信号波長の関係で、電線路長が波長の何倍となれば電磁エネルギーの光速度伝播現象を考慮しなければ解析は困難である。定在波分布現象を考えれて初めて電流という物理概念が電線導体内を流れるとは考えられないと気付くのかも知れない。そこには電線路空間内の『エネルギー』光速度伝播現象しかあり得ない筈であるから。分布定数回路空間の世界 (2019/10/14) がある。

まとめ。

数学と言う学問はとても広い内容を包含している。数の加減乗除算はその基礎になる。それでも(負数)×(負数)=(正数)が至極当たり前の学習の基礎として身に付けなければならないと学習指導要領で決められる。この計算の意味はとても深い哲学的な思考を伴わなければ理解できない高度な内容と思う。それをいとも簡単に「是はこうだ!」と覚えさせる教育の態度では、そこに創造性など生れない。其処に数学の抽象性の教育上の大きな問題があると考える。知識として積み重ねても、その深い意味を理解するには、そこに疑問を抱いて後に初めて分かるというところに到達するものであろう。教育の意味はそこにこそあると思う。

『電荷』は科学理論構築の根本的基礎概念である。数には(正数)と(負数)がある。それが数学の基礎である。自然界の現象を心に納得できる対象として感じた時、そこには(正数)や(負数)の対象となる実在物理量が無いのだ。負の電荷の『電子』が自然世界に存在するなど感じ取れないのだ。そこには数学の(負数)の基礎概念が大きく影響を無言の圧力として人の意識に及ぼした結果ではないかと考える。数学の罪として。規則の式(2)を考えてみる。(+Q)+(-Q)=0 と『電荷』に適用したとき、数学はその内容に責任をもって答えられるだろうか。物理学では如何であろうか。正の『電荷』と負の『電荷』が結合したら『零』になるのか。光とは何かにつながる哲学的意味を含んでいるようだ。

こんな記事を過去に書いていた。数学と自然科学 (2016/11/19) 。

周期関数(方形波)

(2020/02/04)追記。何故自分のブログを印刷すると「購読ブログ」となるのか?

不思議にも欲しかった関数が見つかった。

 

偶然にも円ベクトルを描いているとき、不図閃いた。関数電卓で計算してみたら+1と-1の2値が得られた。波形の極性切り替わり時、ωt= nπ では三角関数の性質上式の分母、分子が必ず『ゼロ』となり、計算不能となる。本来方形波もその場合は値が決まらない筈であり、不能が正しいのであるが。そこで周期角周波数ωに工夫をして、0.003を加えた。しかし、原点のt=0では計算不可能となる。なお周波数と波形の関係は正弦波の場合とは周期が2倍の違いとなる。また、ωの 0.003 の分で、ωt= (π-0.003)t= nπ時には計算不能となる。ここでは、ωt= ωt/10 と置いて計算した。

周期関数(科学技術と自然と数学)(2016/01/13)で欲しかった関数である。

電力p[J/s]の意味と解析法(2)

 

(2020/02/04)。何故印刷すると、自分のブログが「購読ブログ」と表示されるのか?

はじめに(2019/12/03) 9月28日に表題だけで残してあった。電気回路解析法としてアドミッタンス法を考える心算で、そのままにしてあった。分布定数回路現象は電気回路のエネルギー伝送のより物理的解釈になるが、技術解析法として集中定数解析による手法がアドミッタンス法になろう。電流解析法で、瞬時有効電流と瞬時無効電流の分離に有効な手法となろう。再び電気技術解析手法に戻って考えてみたい。(2019/12/09)今、特に気付いたことがある。等価回路変換の定理 (2016/01/29) が回路解析上とても重要な意味を持っていると気付いた。それは電気回路解析であまり注目されていない『時定数』が重要な意味を持っていると考えていた。その『時定数』に着目した解析手法に関係付けて、インピーダンスの直並列等価回路変換に一つの発見をした点である。前の記事、電気回路のエネルギー問答 (2019/10/02) で示した負荷電流の分離(有効電流と無効電流)から電力の解析法を考えてみたい。

回路条件

以前、電気回路のエネルギー問答 (2019/10/02) で取り上げた回路条件である。この回路条件の負荷である直列インピーダンスを次の回路変換定理によって並列回路に変換する。『時定数』が重要な役目を担っている。

 

 

並列回路への等価変換により、ωT=X/R=3/4から、

R’= 25 [Ω] 、 L’ = 106.17 [mH]  および X’ = ωL’ = 33.34 [Ω]

となる。その結果により、アドミッタンス解析を取り上げてみよう。並列回路への変換に『時定数』を使うか、使わないかで算出計算の手間に差がある。また回路動作の意味を理解するに違いがある。

負荷回路電流を『エネルギー』の意味から、有効電流と無効電流に分離して捉えるには、並列回路が分かり易い。即ちアドッミッタンスと電圧の積で分離できる。

(2020/01/26)再記述始める。

アドミッタンス Y=1/R’ + 1/jX’  = G -jB [℧] での解釈をもう一度考えてみたい。一般には負荷の特性を評価する場合、直列インピーダンスとして捉えるであろう。負荷の電力をどのように捉えるか。負荷にはモーターなどその回路要素を捉え難い場合も多い。基本的には、電源電圧に対してどの様な『エネルギー』の流れになっているかを理解することが大切と思う。電源電圧がある一定の周期波形であることで、モーターの回転数も決まる。電圧値が変化することは送電エネルギー・供給エネルギーも時間的に変化する訳である。そのエネルギー流の変化は負荷特性によって電源にも様々な影響を及ぼすのである。そのエネルギーの流れを電源電圧値を基準にした二つの流れに分離する解釈が有効と考える。電圧の2乗によって負荷に供給されるエネルギー流とそれとは異なる負荷で吸収と回生のエネルギー流の繰返し成分とに分離して捉える考え方が有効と考える。

図1.電線路と瞬時電力 

電線路は三相の高圧配電線路で成り立ち、三相回路でエネルギーの供給が成される。変圧器を通して低電圧(対地電圧150ボルト以下の安全性で家庭に供給される)配電線路を通して負荷につながる。図に示すように、『エネルギー』は電圧波形に従って時間的に脈動して負荷に供給される。この『エネルギー』と言う物理量は瞬時的に捉え難いものである。『エネルギー』の量の瞬時値を波形で観測することができない。光や熱の『エネルギー』のように、それを観測できない不思議な物理的「実在量」なのである。代わりに「電力」でその『エネルギー』の意味を理解するしかないのである。図のように、負荷を通して消費されるものと再び電源に回生されるものとの二通りに分けられる。電源に回生される『エネルギー』は供給する電源側にしてはとても迷惑なものになる。単相線路で配電するものを統合して、三相として捉えた時、その厄介な回生『エネルギー』でもうまく吸収する機能が発揮されている。ただ電圧と電流概念で解釈するだけでは捉えきれない『エネルギー』が有るのだ。

図2.回路変換と電流

図の①の直列回路については既に電気回路のエネルギー問答 (2019/10/02) に電流波形、電力波形として示した。

 

アドミッタンスへの変換

 

ここでは、計算結果は直列回路での計算と同じであることから、並列アドミッタンス変換回路に有用性があるかと疑問もあろう。確かに直列回路インピーダンスによる伝統的解釈でも電流や電力の分離は簡単にできる。図の①で考えた時、電流 ia と irはインピーダンスZ=√(R^2 + X^2)  (何故か? (jX)^2^= X^2^ で (j)^2^= 1 の不思議な虚数概念の矛盾が通る。)およびアドミッタンス Y= R/Z – jX/Z によって算定できる。ただそこには、電気工学特有の複素ベクトル記号 j の取り扱い方の問題がある。ピタゴラスの定理とオイラーの公式そして電気ベクトル (2017/01/15) に指摘した。この複素数ベクトルによる虚数の概念は共役複素数による分数有理化などの処理においても、j^2 = -1 の基本が所謂ご都合により科学論の論理性で矛盾した扱いになっている。この記号 j を虚数としての解釈では科学論と言うより、習熟による技術業界論になってしまう。図2.の②で、1/jX’=-j/X’=-jB は、1/j も -j も虚数ではなく、電圧に作用するサセプタンス B がその電流を電圧より位相π/2だけ遅らせる記号として解釈する。

この“ j ” について

伝統的ベクトル計算の関係を生かした、単なる位相の進みと遅れの解析記号として捉える意味を提示したい。+jはπ/2 進相、-jおよび  1/j  はπ/2位相遅れの意味を表す『位相記号』と解釈する。

 

アドミッタンス回路 図の②の場合は、印加電圧 v に対して同位相の電流 ia とπ/2遅れの電流 ir に分離されて、有効電流と無効電流の意味が直列インピーダンス回路より分かり易い。同じく瞬時電力も有効分と無効分が感覚的に分かり易いと思う。

(参考)2017年にベクトルと電気現象を考えた。纏めて挙げておきたい。三相交流回路の負荷と無効電力 (2017/01/01)。空間とベクトル (2017/02/03)。瞬時電力問答 (2017/02/15)。単相瞬時空間ベクトルと瞬時値 (2017/03/04)。三相交流回路の瞬時電流分離 (2017/03/24)。三相瞬時空間ベクトル (2017/04/07)。空間ベクトルと回転軸 (2017/09/07)。また空間ベクトルについて、空間ベクトル解析と単位ベクトル (2011/06/06) 。

 

 

 

電圧・電流とエネルギーと時空

(2022/02/27)追記。電圧-その意味と正体-(2016/05/15) 。

(2020/4/27)追記。既に、電圧と電流の正体 (2013/5/16) 「(2021/07/13)追記。この記事は回路技術にこだわって居て物理現象としての意味に有効性が見えないのでリンクを外した。」 にその意味を捉えていた。

今、電気回路のエネルギー問答 を書き始めた。その途中で、一つまとめておきたいと思った。その問答の中の一つの答えでもある。物理学理論では、エネルギーは主役ではなく、何か端役あるいは誘導量という捉え方で理解されているように思う。しかし、電気技術から見た場合、電気回路現象を考えると回路内を伝播するのは光と同じエネルギーしか見えない。それでは電圧とか電流という電気量は何を表現したものかと、そこに戻ってしまう。また物理学理論では、あまり重要視されていない空間概念がある。それが誘電率と透磁率である。世界を支配している物理量の代表が光エネルギーであるとの認識に立った時、その光速度を規定する原因がその伝播する空間特性にあると考えざるを得ない。

光速度=(透磁率×誘電率)^-1/2^ =  1/√(με) [m/s]

ただし、μ[H/m] 、ε[F/m] から、[(HF)^1/2^]=[s] である。

空間の誘電率は空間長1m当たりの静電容量[F]、空間の透磁率は空間長1m当たりの誘導値(インダクタンス)[H] で、その空間を伝播する光エネルギーの空間共鳴現象としての伝播特性を呈すると解釈する。光を世界基準の物理量と見做した時、その伝播する空間の長さと時間を規定する「時空」概念として時間[s]と長さ[m]の時空基準を光エネルギーと速度が決めていると見做せる。この何もない空間が電気回路のインダクタンスやコンデンサの回路定数の単位ヘンリー[H] やファラッド[F] との関係で解釈できることの中には、そこに物理量『エネルギー』という空間伝播実体である光の『エネルギー』が空間分布として存在するからと理解する必要がある。光には振動する実体はないのだ。観測技術としての評価概念が振動数である。

上の解釈で電気量を解釈したとき、

電圧の2乗、電流の2乗と次元

その2乗値の単位はエネルギー[J] との関係で図のように認識できる。

次の問答の記事の答えともなるが、電線路には回路特性として単位長さ当たりの静電容量と誘導インダクタンスを備えている。その電線路単位長当たりの静電容量をε[F/m]とすれば、その電線路には1m当たり εv^2^[J/m] のエネルギーが線路空間に存在するとなる(係数1/2は省いた)。このように考えた元に、例えば電流を取り上げて考えた時、アンペアの単位が[C/s]と言う電荷の時間微分値であるということである。電線路の電荷の時間微分とはどんな意味か分かりますか。電流計で測る点で、その電線内の電荷がどんな意味と捉えるのですか。電流波形で描く時間軸のある時刻の電流値とはその電線の中に電荷が時間的にどのように存在し、変化していると考えたら、その電流の意味を納得して理解できるのか?その辺の電流概念への疑問から、どう考えても電流概念棄却の結論にならざるを得なかった過去がある。1987年8月に決断した研究会資料:電気学会、電磁界理論研究会資料 EMT-87-106 である。その5.むすび に・・・電磁気学の基本概念である電荷や電流までも疑い、棄却さえしなければならなくなってしまった。云々と記した。

次に電流 i^2^[J/H] は線路定数の誘導量インダクタンス[H]との関係で、流れるエネルギー量に関係した捉え方ができないかと考えたが、今のところ答えに到達していない。(2019/08/19)追記。電線路にはその単位長さ当たりのインダクタンスという流れを制限する回路要素がある。μ[H/m]の分布定数があるとすれば、電線路の単位長さ当たりμi^2^[J/m]の流れる伝送エネルギーが分布していると考えることはできる。同じく負荷のインダクタンスL[H]とは当然の関係で、Li^2^[J] の貯蔵エネルギーとなる(1/2は省く)。

負荷抵抗R[Ω]の次元も[(H/F)^1/2^]である。抵抗も空間特性は誘電容量と誘導容量の意味を持っているものと見做せる。この見方をとれば、i^2^Rの単位は

[J/H][(H/F)^2]=[J/(HF)^2]=[J/s]=[W]

という意味で納得できよう。

JHFM単位系 1990年(平成2年)春にまとめた単位系である。マイケルソン・モーレーの実験とマックスウエル電磁場方程式の関係から得られた。色々あって、1998年4月2日に初めて日本物理学会で発表させて頂いた。物理的概念とその次元 日本物理学会講演概要集 第53巻、1号、1分冊、p.13.  関係記事 エネルギー[J(ジュール)]とJHFM単位系 (2010/12/18) 。

まとめ 電圧及び電流という電気量はその根底には深い知恵が潜んでいる。その科学技術量を理解するには、自然との間の深いつながりを紐解かなければならないだろう。その辺に考えるということの意味があるのだろう。単に法則や原理ということで、それを鵜呑みにしていては本当の自然の深い意味を知ることはできなかろう。電圧と電流もその2乗に意味があるのであって、その平方を電気量の概念として実用化しているのだった。電圧、電流はその測定器があるということとの関係で、如何に優れた量であるかということになる。しかし負の電荷の電子が電線の中を流れているという解釈は誤っている。

空間ベクトルと回転軸

世界は何故回る。それは回転(rotation)が世界の構成原理だからだ。その理由を求めても自然(神)は教えてくれない。ただそこに在る姿を素直に受け止めるだけしかできない。何故地球が自転と公転をしているかに答えられるだろうか。太陽系が何故独楽のように惑星質量空間分布の統一体として回転しているか。その質量エネルギー(mc^2^[J])と運動エネルギー(Σ (mv^2^+Iω^2^)[J] 1/2は?)の空間分布構造を計算出来たら回転現象の秘めた原理が観えるかも知れないのだが、それは遠い夢。回転現象の意味は決して万有引力に因っても理解できない。世界が回転で成り立っているから万有引力説が解釈法の一つになっているだけだ。

空間とベクトル 微分演算子にローテーション (rot S )と言うベクトル計算概念がある。空間に『エネルギー流』のベクトルS がある時、その微分演算式が回転流平面に対して垂直の空間ベクトルを表現する計算式だ。それは回転流の半径分布密度に因る空間軸ベクトル量を示す。微分回転演算は電磁気学での偏微分式にも使われるが、軸ベクトルとしての意味は余りないかもしれない。また、子供の頃によく独楽(コマ)を回した。漢字の通り回転体が一人で楽しんでいるような世界に見える。コリオリの力と言う説明があるが、その理解もなかなか難しい。この回転と言う自然現象は世界の根源に在りながら、人が気付き難いものかも知れない。独楽が何故立つかには、その回転『エネルギー流』に自然の秘めた本質があるのだろうと思うが、具体的な数学表現式は見えない。瞬時電力理論も平面(エネルギーの熱平面とも見られる)に垂直な虚軸で定義した処にその有効な意味が隠されていると観たい。瞬時虚電力と名付けた電力概念は系統の電源と負荷間を還流している回転『エネルギー流』の時間微分と看做せる。空間ベクトル解析は虚軸で評価する技術概念の意味を理解することが、電気現象の抽象的解釈概念ではあるが、空間ベクトル解析論への入り口として重要であろう。

虚軸の名称 独楽の心棒はその重要な意味を担っていると見て分かる。しかし、電気現象には従来の伝統的ベクトル解析法での複素平面における『虚数』の概念も同じ事であるが、その物理的意味は見て分かると言うものではない。三次元ベクトル座標の立体空間で考える瞬時電力理論も、平面に垂直な回転軸が感覚的に在ると見える訳ではない。空間ベクトル解析法として有効なベクトル軸でありながら、直接在ると見えるものでないという観点から『虚軸』とした。勿論複素論の虚数( j= √ -1 )の軸と言う意味ではなく、空間ベクトル解析のスカラー積、ベクトル積の演算に因る計算手法がその電磁現象の本質的意味を理解するに極めて有効であるために導入したベクトル概念軸である。

自然現象と回転軸 先に挙げた独楽、災害の竜巻、瀬戸内海の渦潮等も自然の回転現象である。これらの回転現象に共通したものは回転の中心に軸があることだ。台風の目のように、中心軸は空洞のように周りのエネルギー流分布とは異なる特異な空間となっている。何も回転していないような中心軸が想像できる。回転独楽の極真の中心軸が回転していないように。北半球の台風や竜巻の回転方向は必ず上から見て反時計方向(衛星画像の)に廻る回転流になる(下から見れば時計方向)。台風の低気圧は中心軸が天空冷気(空気体積の収縮源即ち低気圧源)と海上面(高温度の高エネルギー“水蒸気高含有空気質量とそのエネルギー保有の”供給源)と繋がった空間構造を成して、その回転現象が安定した一つのエネルギー回転体のような存在を成す。竜巻(地上面の高エネルギー水蒸気膨張空気と上空の冷気に因る水蒸気体積収縮に因る上昇回転気流現象)は下から見れば、時計方向の回転エネルギー流体構造を成す。渦潮は上から見れば、やはり時計方向のエネルギー回転流体構造を成す。エネルギー流の回転が時計方向なら、時計の裏側に向けての軸エネルギー流となっている。右ねじの回転と進行方向の関係に在る。南半球はその逆に成っていると思うが、そうではないとの意見もある。海の潮流や渦にその様子は見える筈だ。その回転の方向性は地球の回転と球面に因るだろうと思うからである。地球を回している力の原因が何かが謎である。地球の上空は地球より早く回っている。謎こそ自然の魅力かもしれない。

回転軸の単位ベクトル 2次元平面座標上で回転運動を記述する時、その平面に垂直な座標軸の回転軸が重要な意味を担う。その三次元空間座標で、回転運動の回転角速度ωをその軸上のベクトルとする。回転軸の単位ベクトルnγ = [ × ]を決める。平面上の回転運動体mには軸ベクトルがある訳ではないが、回転角速度ωをその軸上の空間ベクトル ω = ωとすれば、回転速度vはベクトル積として図のように解釈できる。その単体の質点mの運動には、単に運動エネルギーを持った物の運動と言う点しか見えない。その質点には回転軸方向への運動を産む意味は見えない。しかし、回転円板や独楽などの運動平面上のエネルギー平面分布となると、少し様相が異なって見える。即ち軸方向性の力ベクトルの隠れた意味が見えてくる。

光伝播と空間ベクトル解析 Fig.1.の質点mがもし地球とすれば、その表面から光の短時間パルスを天空に放射した時、その光の軌跡をどのように認識するかを考えた図でもある。光は光源の運動速度には影響されないと認識する。その光が伝播する『光速度一定』と言う伝播空間をどのように認識するかが大きな問題であろう。地球は少なくとも2軸回転運動体と看做される。光の相対速度の意味を考える図にもなろうかと思う。電気現象が光速度伝播現象であることとの関連として意味があろう。

電気現象と回転軸(虚軸)ベクトル 電気現象や電気回路に見える回転軸がある訳ではない。台風などの意味とは異なるが、電気現象解釈に4次元(時間が1次元)空間ベクトルを取り入れると理解し易くなるだろう。しかも従来のベクトル解析での複素平面ベクトルと異なり、『虚数』概念の矛盾( j^2^=-1 に基づく混乱-ピタゴラスの定理ー)は取り除かれる。電力系統の送配電線路網は、その本質がすべて電線路内の空間を伝播する電磁エネルギーの光速度伝播現象である点で極めて効率的エネルギー伝送機能設備である。その『エネルギー』は勿論空間エネルギーで光と同じように金属導体によって制限されてはいるが、空間を伝播するのである。瞬時電力理論での解析手法の『虚電力』と言う概念が電圧・電流ベクトル平面座標に対して、その垂直軸の『虚軸』に定義した処に特異さがある。実際に電気回路に虚電力が在るのかと尋ねられれば、在るとも言えないし、無いとも答えられない。それは各相の無効電力に反映されるもので、各相無効電力発生の原因を『虚軸』の電気ベクトルとして定義した電力概念である。しかしその三相の各相無効電力は、過渡瞬時値でなければ、総和を採れば零となる。三相をまとめて見た時に『虚電力』の意味が分かろう。それを次の図に表現した。

電線路の空間エネルギー 三相電力線路には三つの「空間エネルギー」がある。瞬時電力理論での『実電力』と『虚電力』に関わる『エネルギー』と更に系統の電力規模を示す『電圧』に関わる『エネルギー』である。図では、『実電力』の赤色の流線で表示したエネルギー流と『虚電力』を意味する青色の回転流線で表示したエネルギー回転流の二つの「空間エネルギー流」がある。電気現象の最も基本的な認識として、捉えなければならない事がある。それが『電圧』の物理的原理である。負荷が無い、無負荷での電線路空間のエネルギー分布がどのように成っているかの認識である。無負荷であるから、電流が流れているとは言えない。それでも電線路の遠方終端でも瞬時に受電できる。それは電線路に『エネルギー』が電圧と言う意味の隠れた物理現象として存在するからである。『電荷』や『電流』でない『エネルギー』の電線路空間内での実在認識とその光速度伝播現象での解釈が必要である。図2は『エネルギー』を認識する事に因って、初めて電線路空間内のエネルギーの回転流としての『虚電力』の意味が分かろう。物理的には、決して『電荷』や『電流』での伝統的電気工学の技術概念に因る認識では無理である。電線路空間のエネルギー分布は電源から電線路末端まで、光速度に因る遅れを伴うが、空間エネルギーの供給に因る『電圧』として電力系統保持が成されているのである。その『エネルギー』の分布を図の緑色で示した。図の(2)は電線路の断面空間を示した。三相交流電圧の位相により、「空間エネルギー」の分布は電線路空間内を回るのである。この電圧エネルギー分布がすべてのエネルギー供給現象の基を成していると解釈する。負荷電力もその負荷点での電圧エネルギー分布の「空間エネルギー」を供給源とし、負荷が吸収した事に因るそのエネルギー欠陥を補償すべく次々と分布エネルギーを取り込みながら、その欠陥状態が電源側に光速度で補償しながら伝播するのである。定常負荷状態であれば、安定した赤色のエネルギー流で供給される。負荷変動の過渡状態は、電圧エネルギー分布に大きな欠陥状態が生じ、その光速度補償現象の伝播動作として系統に影響を与える。基本は電線路空間内の『エネルギー』分布が在ることに因って決まると見なければならない。『エネルギー』が光速度伝播と言うことの意味は、(3×10^8^)^-1^ [s]間に伝播する量が電線路の1[m]当たりの分布でしかない事で理解されるだろう。微弱な空間エネルギー分布でも光速度伝播と言うことで、極めて大きな送電電力となり得る。また図の(1)や(2)の電線路空間内の『エネルギー』現象を考えると、電気現象が空間ベクトル(技術概念の電流と電圧)の回転現象として、ベクトル解析手法の合理的な意味が納得できる。空間ベクトル解析ではインピーダンスよりアドミタンスが有効である。アドミタンスベクトルを虚軸上に定義することで、空間ベクトル解析にその意味が生きる。

むすび 瞬時電力理論の空間ベクトル解析の意味を少し広げ(リサジュー図形など)て見ようかと思い、その基本的物理現象を『エネルギー』でまとめた。ここまでの道程の電磁現象に対する解釈を進めて来た精神的な科学認識の支えが次の資料の写真に在る様な実験結果に負っていた。『電界』も『磁界』も『エネルギー』の解釈概念でしかないのだと言う電気現象の認識である。新世界への扉ーコンデンサの磁界ーの意味である。

瞬時電磁界理論の実験的検証とその意義 電気学会電磁界理論研究会資料 EMT-88-145 (1988-10)

電気現象と三角関数

電気現象、特に交流回路の電気回路解析には三角関数の数学的処理が欠かせない。波の正弦波の周期性を、時間変数に対する計算手法で算定できる意味は数学の貢献で特筆すべき事と思う。有り触れたなじみ深い三角関数はその関数の概念も分かり易さで優れている。しかし、電気現象への応用数学として使いなれているにも拘らず、本当に理解しているのかと自問自答してみた。三角関数一つを取上げてみても、そこには十分捉え切っていない部分があることに気付かされた。
指導と要領 どこかのお偉い方が決める「何々要領」じゃないが、指導者が何事にも疑問を持っていつも向き合っていないと大切な噛み砕いて理解する『深く易しい意味』を教えずに過ごしているように思った。それが指導の要領であろうと。教育関係機関から不要とされて、彷徨う者が言うのも可笑しな錯覚か。今頃になって、解らずにこの何年かを過ごして、今不図気付いたことがある。回路要素によって決まる『時定数』の時間概念について。その認識不足を取り上げたい。

電気回路と数式 電気回路解析に三角関数は必須である。その辺の基礎から考えてみた。

インピーダンスと三角関数が交流回路の解析に必要な基礎知識である。電源電圧が決まれば、回路動作はその回路要素の値によって全てが決まる。その三角関数による表現手法が基礎知識として求められる。

インピーダンスの計算問答 交流回路のインピーダンスは各回路要素の特性から複素関数的な取扱いをするので、『虚数』概念を用いるようだ。虚数は記号 j かあるいはi を使う。ここでは電気記号で使う記号 j とする。

ピタゴラスと虚数の関係

上のインピーダンス表記法の虚数問題の解決法は虚数を使わない三次元空間ベクトル問題(時間を入れて4次元)として別の記事で改めて示すつもりだ。

三角関数とその意味 自分の理解している三角関数の意味を確認した。

電流と位相 電流の三角関数式の意味をまとめた。

電流と位相 電圧に対する電流波形の位相差φが回路要素によって決まる。

インピーダンスと時定数 交流回路解析では、時定数を用いたインピーダンス表現はしていないのかもしれない。しかし電気回路の要素によってその回路に特有の『時定数』があると考えた。インピーダンスはその時定数とエネルギー消費負荷要素の抵抗値とで回路の現象が決まる筈だ。

インピーダンスと時定数 R-L-Cの直列回路でそのインピーダンスは複雑な表式になる。インダクタンスもキャパシタンスもどちらもエネルギーの貯蔵要素である。その合成値は一つのリアクタンスと看做せよう。LとCのエネルギーの貯蔵機能は電源電圧周期波形に対して位相が90度ずれて、エネルギーの貯蔵と放出が反転している。エネルギーに対する機能として見た場合、差し引きの差分で回路外部には見える。だからリアクトルとキャパシタンスはその外部から見れば、エネルギーの差分の機能しかないと見做せる。だから合成リアクタンスと看做して良い筈だ。従って、エネルギーの消費要素抵抗値と周期的吸収放出の機能要素リアクタンス分との比率で回路要素全体の特性が評価可能となる。それが『時定数』の(4)式の表式である。ここで、『エネルギー』とは何かを物理現象として認識していることが基本的に必要である。

エネルギーと質量の関係 電気回路を解析する技術感覚から『エネルギー』の意味を捉えている。それは電気工学的分野からの狭い捉え方と言えるだろうか。ここに書く内容はとても気掛かりな意味を持つものである。それは現代科学理論として物理学理論の根幹を否定するような内容かも知れず、とても気の重いものである。出来たら書きたくないのだ。気体分子運動論も質量が世界の根幹を成しその運動エネルギーが温度のエネルギーの原因となっているとの解釈であると思う。物理学の『エネルギー』を論じる場合に、質量の無い『エネルギー』をどのように認識しているかが理解できないのである。しかし『エネルギー』概念をどのように捉えるかが長年科学技術と物理学理論の間の繋がりを考えて来た結果の主要な自分の論点でもあれば、やはり述べない訳にはゆかないので、ご勘弁の程。即ち科学技術と自然科学論の間に横たわる解決すべき問題に『エネルギー』概念があると思う。自然科学論は自然現象の根本原理を解き明かす本質的で、科学技術より高尚な学問と看做されて来たように思う。それが物理学理論と看做されていよう。科学技術と科学理論の間に横たわる未解決の命題だ。その本源は「質量」が何から構成されているかを問う問題でもある。それが素粒子論の主題となる論題でもあろう。E= m c^2^ [J] と質量m[kg] の間の根本命題である。私のつたない物理学的非専門的視点からの結論であるが。質量mが『エネルギー』から構成されているから、光速度 c [m/s] の光エネルギーに変換されるのだ。その光のエネルギーに質量が無い訳は質量の元の構成エネルギーが解放されて光のエネルギーになったからである。だから『質量』と『エネルギー』は等価で変換関係が成り立つのだ。光になった分の質量は当然姿が消える訳である。その事を『質量欠損』と言う言葉で巧く表現していると理解していたが、原子核崩壊現象の解釈を見るとどうもそうではないようにも思えて専門的解釈を理解しかねている。昭和62年に発表した『静電界は磁界を伴う』の根本命題が自然界の全ての概念は『エネルギー』に統一されると言う意味であった。電気工学技術からの『エネルギー』感覚がそう言わせて来たように思う。電気技術から電気回路の『エネルギー』がどのような意味を持っているかの、とても単純で、難しい理論も必要としない基本の問題を三角関数の計算問題として取り扱いながら考えて来ただけである。その電気回路内の『エネルギー』には決して「質量」を必要としないと言う結論の感覚がある。結局、質量を必要としない『エネルギー』を物理学理論で認識しているかの問題と考える。コイルに蓄えられる『エネルギー』とはコイルのどこに実在する『エネルギー』と解釈するか。コンデンサに蓄えられる『エネルギー』はどこに実在する『エネルギー』と解釈するか。その『エネルギー』はコイルとコンデンサのどちらに貯蔵されようと全く違いの無い同じ『エネルギー』である。その『エネルギー』の意味が理解されているかの問題であると考える。電流がエネルギーでもなければ、コイル電圧がエネルギーでもない。コイル電圧とコイル電流を掛けてもコイルに貯蔵された『エネルギー』は見えないのである。(4)式からLとCのどちらが優勢な機能を示すかはその合成値が『正』になるか『負』になるかで決まる。インピーダンス値は2乗するから区別は出来ないが、電圧に対する電流位相φの正負として現れる。それが次の時定数と力率角の三角関数の正弦波波形の位相関係になる。ここの『エネルギー』と『質量』の関係論は特別高度な理論を必要としない単なる三角関数式から考える電気回路内の『エネルギー』の話である。別の見方を示せば、コイル内に光エネルギー(電気エネルギー)が蓄えられ、コンデンサ内に同じく光エネルギー(電気エネルギー)が蓄えられると言う意味で解釈するのみでしかない。物理学理論を理解しているかと問われれば、高等学校の教科書の内容程度しか分からない、その分野の全くの素人の科学技術的感覚からの論でしかありません。

 

時定数と力率角

時定数と力率角 時定数の次元は時間の秒となる。しかし正弦波の波形上に取ると時間とは異なる不可解があった。その意味が判明したので上の図に示した。回路時定数から観る電気現象の記事を書く途中でこの記事が先になった。

(2017/07/14)追記 この記事に関連ある三角関数と回路要素の『エネルギー』について書いた。参考に電気回路要素のエネルギー(数式と意味)がある。

光量子の波動関数形と作用

はじめに(過去と光量子像) 過去のファイルから光量子像を拾い出す。

光量子像 光は質量的な粒子ではない。横波の振動体ではない。曖昧な波動ではない。『エネルギー』の空間密度分布の光速度の縦波流である。

光量子と指数関数 雷様の光エネルギー放射現象の衝撃波形からの類推による導出波形関数が(1)式である。決して科学実験により証明は出来ない光量子像であろう。実験での証明が科学論の本質だと言われれば、この光量子像は科学論の範疇には入らないことになろう。自然現象に対する個人的『勘』に基づく提案でしかない。この式の導出過程などについては光とは何か?-光量子像ーに述べてある。

求められる人間像に程遠い未熟の人間のまま、科学常識から程遠い非常識の自然感覚から求める世界を彷徨う。見えない物を見たような嘘を言うと非難されるような光量子概念の提案をして来た。目で見えない物を見たとは言えない。しかし、心・感性で観ることもあろう。物理学理論のある時は「粒子性」でまた或る時は『波動性』で同じ現象を解釈し分ける。「粒子性」という場合の粒子とは質量の塊のような物を言うのか、そこに電荷という得体の知れない物を纏った電子のような粒子を念頭に描くのか、なかなか素人には理解できない。時には電子を雲のような捉えどころのない波動のようなものと言うようだ。そんな不明確な捉え方に満足出来ずに、2001年『プランク定数の次元と実在概念』を未熟な内容のまま発表した。その基には雷様の衝撃波形が自然現象波形のモデルとして意識に在った。電力設備の管理上雷の衝撃波は重要な研究対象でもあった。雷の衝撃電圧波形は急峻な立ち上り波頭の指数関数減衰波尾長の波形で認識している。決して正弦波には成らない。しかしその衝撃波表現法にも不満足である。指数関数表現式は時間が無限大に成っても決して現象がゼロには成らない式である。自然現象解釈式には指数減衰式が基本的に使われる。原子核分裂崩壊現象も半減期が幾らと言うように同じ指数減衰関数式で解釈される。プルトニュウムの半減期が何万年と言うような場合の解釈式なら問題にしなくて良かろう。普通の一般的自然現象では無限にゼロに成らない事はなかろう。そんな無限大に続く現象は自然界には無い。宇宙もすべて変転の中に在る。星座も消滅し、新たに産まれ来る天体の星座もある。光の一粒と言う空間エネルギーは波長と言う周期で必ずゼロに成らなければならない。その意味を指数関数式に含めた結果の式が(1)式である。

指数関数と波動関数形 エネルギーの縦波波としての光の表現。

波動関数形 変数xに対する波動関数形として③を選んだ。ただし、変数xの範囲は1≧x≧0で定義する。この変数については、光量子の(1)式では変数ζを使っている。それは無次元数で、波長λや周期τで正規化している。無次元の変数xで、③の場合にx^2^e^(x-1)などと高次とすると、関数波形はもっと急峻な形状となる。なお指数関数についての関連記事がある。指数関数の形と特性(2013/07/03)、指数関数の微分・積分(2015/02/10)および周期関数(科学技術と自然と数学) (2016/01/13) 等である。

光量子の作用性と波頭エネルギー密度H[J/m^3^] 光量子の波動関数形(指数関数)で光を認識すれば、光の一粒の波頭Hが光の作用性に大きく関係していると見做される。

波長λと波頭値H 光量子ε=hν=hc/λで、xに比例する。しかし作用性、波頭値のエネルギー密度で観れば、xの4乗に比例することに成る。光の波長が短くなれば、いわゆる振動数が高くなれば、その作用性は波頭値のエネルギー密度で効いてくると言う解釈ができる。なおここでは変数x=1/λで無次元ではないが、空間距離x/λのようにζは正規化した光量子表式(1)の無次元変数で解釈する。

まとめ 眼で見ることもできない、実験で証明することもできない科学認識は専門的には多分認められないだろう。しかし曖昧な粒子性と波動性の混合解釈論では、その論理は自然の眞髄では通らない話ではなかろうか。見ることが出来ない物には『電荷』も同じ事のように思う。雷が水蒸気の熱の放射現象だと言っても、専門的には、学説では理解されないかもしれない。雷は決して実在しない『電荷』などの現象ではない。上に一通り光量子の自己流(自分にとっては確信論)の解釈をまとめた。しかし大きな矛盾も抱えている。それは光の作用性で、波長の寸法が数千オングストロームで、原子、分子寸法との兼ね合いでの関係性が理解できていない。水素原子H2の放射スペクトラムと言う物理学の最初の解説で、1Åの寸法とその水素原子放射光の寸法の関係を論じることが出来れば良いのだが。追究しようと思うと、光の波長の意味が理解困難にもなるのだ。波長λに対してエネルギー分布空間の長さが波頭部分に集中している場合への解釈が残されてはいよう。

ピタゴラスの定理とオイラーの公式そして電気ベクトル

ピタゴラスの定理は中学の算数の内容らしい。直角三角形の三辺の長さの間の関係の定理である。現実世界の寸法に照らし合わせて理解できる日常生活と結び付く、簡便で有用な定理だ。それに比して、オイラーの公式は複素平面と言う現実の世界には存在しない、見る事の出来ない数学特有の公式である。『虚数』は実在しない世界の概念である。電気工学でも、多く虚数は使われている。ウイキペディアにオイラーの公式が図形で説明されている。

%e3%83%94%e3%82%bf%e3%82%b4%e3%83%a9%e3%82%b9%e3%81%a8%e3%82%aa%e3%82%a4%e3%83%a9%e3%83%bcピタゴラスとオイラーの式の比較。 オイラーの公式の図はWikipediaの図形を参考にした。ただ、sin φに虚数記号 i (赤色文字で)を書き加えた。ピタゴラスの定理の各辺はすべて実数で、現実世界の数量を対象にした数式である。同じ直角三角形でも、オイラーの場合は一辺が虚数である。直交座標軸の縦軸が実数でなく虚数である。虚数はこの実世界に存在するものでなく、あくまでも非現実世界の表現量である。私は非現実的な数が現実の世界認識に有用な数であるとは理解できないのである。具象平面のピタゴラスの定理に対照してみたい。

z=e^iφ^ ,  x=cos φ ,  y=i sin φ

として、z,xおよびyの間にピタゴラスの定理を適用してみると、『虚数の2乗は-1』の大原則から、

|e^iφ^|=√(x^2^+y^2^)=√(cos^2^φ-sin^2^φ)

となる筈だが、虚数の原則は無視する不思議な数学的論理即ち、

y^2^=+sin^2^ φ

と決してマイナスに成らない論理が理解できないのだ。具象平面の現実世界にオイラーの公式の複素平面の数を対照すると、直角三角形の斜辺は他の二辺より大きいと言う実在世界認識に反する結果をもたらす。だからその時は虚数の原則は無視する論理に成るのかと思う。

『オイラーの公式の現実世界表現への価値はどこに在るのか?(命題)』と高等数学論理に弱い頭で考えてしまう。

さて、上の命題はそのままとして、実際に虚数記号(iあるいはj)は電気工学で多用される。折角であるから、平面2軸座標における電気工学の虚数利用上の特徴を考えてみよう。

%e8%99%9a%e6%95%b0%e3%81%a8%e3%83%99%e3%82%af%e3%83%88%e3%83%ab虚数とベクトル。 電気工学では虚数記号に j を使う。負荷インピーダンスベクトルZ=R+jωL と複素数表現をする。実軸の実数に抵抗Rとその垂直ベクトルを虚数で捉えてjωLと表現する。インピーダンスZと抵抗RおよびリアクタンスX=jωLの間に、直角三角形の図形評価で捉える。この回路では、R=ωLの場合として考えている。この場合の電圧を時間軸に展開して示せば、e 、e_rおよび e_lのように三つの正弦波形となり、その電圧ベクトルも虚数記号jに因って、インピーダンスベクトルと全く同一の直角三角形でベクトル図が描かれる。これらの直角三角形はその三辺の大きさは、ピタゴラスの定理の関係で捉えることに決まっている。だから虚数記号jによる複素平面解釈の電気工学理論が何故[j^2^=-1 の原則]が成り立たないのに伝統として確立しているのか。何故虚数jでなければならないのか。虚数の原則に気付くと、誤って合成インピーダンスZ=√(R^2^-(ωL)^2^)で有ったかな?と考えてしまう。

具象と抽象。 とかく科学技術理論はその世界(専門家)特有の概念によって共通理解の常識の世界認識で解釈している。上の例の正弦波波形表現も時間軸で展開して理解し易いように表現したものであろう。しかし実際にその状態は見ることは出来ない抽象化の表現であろう。オッシロスコープによる波形観測は掃引輝点の軌跡の残像(蛍光)に依るからだ。

%e5%85%b7%e8%b1%a1%e3%81%a8%e6%8a%bd%e8%b1%a1具象と抽象。 電圧もその瞬時値の連続として脳で認識する訳である。時間軸に展開した表現法は理解し易くしているだろう。しかしそれも一つの抽象化表現法と看做せよう。その抽象化の解釈法に虚数表現が取上げられよう。特別に虚数表現にしなければならない理由があるのだろうか。直交座標の取上げ方で合理的な方法があるのじゃなかろうか。

回転ベクトルと単位ベクトル。 実数軸と虚数軸での複素平面表現法に対して、実数の現実世界の数の概念の範囲で、電気工学に使われる便利な直交座標を考えてみよう。なお、この単位ベクトルについては空間ベクトル解析と単位ベクトルで述べている。

%e5%9b%9e%e8%bb%a2%e3%83%99%e3%82%af%e3%83%88%e3%83%ab回転ベクトル。 単相交流回路で、電源電圧が正弦波とする。一つのやはり抽象化表現法ではあるが、電源電圧が時間的にどのような状態に在ると考えるかの具体例を考えた。互いに直交した二つの『単位ベクトル』naおよびnb を平面に設定する。

スカラー積は (nanb)=0 、ベクトル積は[na×nb]=nc   と平面に直交した単位ベクトルnc に成る。

上のように大きさ1の方向だけを決める単位ベクトルを設定することにより、平面上を回転する電圧ベクトルを表現することが出来る。電圧の平面上のベクトルe

e=Em(na sin ωt –nb cos ωt)

によって時間 t の経過に従って、電圧ベクトルの先端の軌跡が円を描く。オッシロスコープのリサジュー図形観測で得られるだろう。

電流ベクトル軌跡。 図の電流ベクトル軌跡は負荷変動があれば、その軌跡は複雑に変動軌跡を描くことになろう。一般には負荷変動が電圧波形の変動を生むから、電圧も円軌跡から外れるだろう。

電源電圧eを積分して- Em cos ωt をオッシロの縦軸入力(y)、電源電圧 e を横軸入力(x) とすれば円軌跡のリサジュー図形になろう。

奇妙な積分への疑問。 積分回路を通した信号は『時間t』での積分か、『角度ωt』での積分に成るのか?

この電圧円軌跡は後で、pq理論の瞬時虚電力での座標展開への予備的な意味を込めた。

電気工学理論の虚数概念に対する結論。 自然科学理論には様々な部門で虚数が使われているのだろう。電気工学理論では虚数記号に「j」が使われる。直角三角形の一辺を虚数で解釈する長い伝統によって電気工学理論は馴染み易い解析理論として定着している。上で論じたように、虚数は2乗によるマイナスの実数に変換される虚数論の原則との整合性で矛盾しているからと言うだけで、j記号の使用は悪いと言い切るのは浅はかであろう。直交したベクトル評価概念が電気工学理論として優れている事には間違いがない。ただ、実数軸と虚数軸で捉える表現法は虚数と言う実在物理量とは言い難い数であると言う点から、その二つの軸の物理量を共に実数とすれば合理的な論理展開で、伝統理論がそのまま生かせる。空間ベクトルの3次元座標の単位ベクトルをi 、 j およびk とするように設定すれば、何も虚数を必要とはしない。従って結論としては、[j]を単なる単位ベクトルと解釈すれば良い筈だ。

三相交流回路の負荷と無効電力

久しぶりに三相交流回路について考えてみる機会を得た。30年以上も昔に少し専門的に取り組んでいた電気現象の話でもある。今長い科学漫遊の末に辿り着いた、電線路上における『空間エネルギー』概念に基づく新しい電力系統解釈論とでも言うものかも知れない。電力技術論としての長い伝統のある電力理論に『瞬時虚電力』の意味を、その物理的(物理学的ではない)現象解釈を取り入れた教育指導法となろうか。三相交流回路の無効電力について考えてみたら、分からない事が多くあることに気付かされた。昔工業高校で、電気工学の授業準備をしていた頃のことを思い出した。黒板にどのような板書で図形表現をしたら子供達が分かり易いかと工夫を凝らした事を。皆さんはどのように無効電力の意味を解説しているかと検索してみた。私が疑問に思うことに答えている解説は残念ながら見当たらなかった。能力不足乍、少し元から無効電力の意味を考えてみようかと思った。

無効電力の不思議 電線路上のある点で負荷側の無効電力を測定しようとする。測定量は線間電圧実効値Vと線路電流Iおよびその電圧と電流の波形上に現れる位相差角度θのみである。それだけの測定結果によって無効電力は確かに算定は出来る。伝統的電力理論によって。しかしその物理現象を捉えようとすると、不思議にも捉えようがない事に突き当たるのだ。

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電線路の無効電力 無効電力は現実には無理であるが、負荷が一定で安定した特殊な場合に限定して、無効電力Q=√3VIsinθ[Var]と判断する。

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電力ベクトルと無効電力 電圧と電流の位相差に因って、電力の有効電力と無効電力を電力ベクトルとして直交三角形で解釈する。このように、ベクトル図形で、『電力円線図』などによって電力系統の状態を解釈する。しかしこの無効電力を計算で算定しようとすると?その事をまず取り上げて、無効電力の負荷要素のエネルギーの挙動まで調べてみようと思う。

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三相交流電力 以下の三相交流電圧はすべて、相電圧波高値Emの平衡電圧として考える。

(1)抵抗負荷

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抵抗負荷の電力 三相電力配線はその有効電力が一定値の直流電力に成ることにその優れた点があると言えよう。三本の電線路で囲まれた線路空間を通して一定のエネルギーが伝送されるのである。

(2)誘導性負荷 一般の無効電力の原因となる回路要素は負荷に含まれるインダクタンスである。そのインダクタンスLのみの負荷の電力を計算してみよう。

誘導性負荷の電力誘導性負荷の電力 インダクタンス負荷の三相電力を計算すると、その値は「ゼロ」となる。結局無効電力は電源側からは何も送って居ないのである。この事が良く認識しなければならない重要な点である。何も電力を送って居ないにも拘らず、電源側にとっては誠に厄介な電力成分となっているのである。電力零でありながら、系統への影響が大きいのだ。無効電力と言う電力は供給エネルギーの時間微分ではないが、電線路上に影響を及ぼす原因は『エネルギー』以外ないのである。電子による『電流』概念ではその本質に迫れない筈だ。電力ベクトル図では何となく理屈に合っているように思われるかもしれないが、それはあくまでも電気技術に基づく解釈法でしかないのだ。

(3)容量性負荷の電力 同様にコンデンサ負荷の場合も計算してみよう。

容量性負荷の電力容量性負荷の電力 三相電力が零に成るのは無効電力であるから当然な事であるが、その意味を考えて納得しておく必要があろう。いわゆる物の理屈(物理)として。

負荷の回路要素としてのエネルギーの振る舞い 前に単相回路については電気回路要素のエネルギー(数式と意味)で解釈を示した。三相回路ではまたエネルギーの相間での回転の意味を知っておくことも大切であろう。そんな意味を踏まえて『エネルギー』から三相の負荷の様子を眺めてみよう。

三相電線路空間のエネルギー

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三相電線路とエネルギー 三相電線路は地中ケーブル配線もあるが、電柱の市内配線や街外れの鉄塔が目に付く。三本の導線で電気(エネルギー)を配電している設備だ。未だ導線内を電子が流れてエネルギーを供給していると考える教科書の理論が支配的であろう。その電子論も少し考え直してみば、説明の付かない点に気付こう。電線の表面に強い電磁エネルギーの高密度空間ひずみが存在している。それはもし電線の中味をくり抜いて表面だけの中空電線にしても、殆ど同じ表面の電磁エネルギーひずみがある筈だ。電子が電線の中を流れると解釈するなら、電線の外に電磁エネルギーのひずみをもたらす原因が電子に因ると考えざるを得ないが、それならその歪みのエネルギーは電子が電線の外部まではみ出してエネルギーを広げていると言うのだろうか。送電線には傍に行くと『ジー』と言うコロナ放電の音がする。それは空気が電線の表面に電子の電荷が高密度で分布し、空気の絶縁破壊を起こしている放電現象と電気工学では解釈されている。その絶縁破壊を起こした『エネルギー』は電子の電荷がエネルギーに変換された現象と観るのだろうか。『エネルギー保存則』と言う物理現象の大原則を厳密に認識するなら、曖昧に過ごす訳にはゆくまい。『電荷』とは便利に理論上『エネルギー』に変換するものなのだろうか。コロナも光としてエネルギー放射されているのだ。その光の基は「何」が変換されたのかを理屈として明確にしなければならなかろう。言いたい事は、『電荷』など破棄しなければ、何時までも曖昧な電気理論が科学の矛盾を引き摺り続け、それで良いのかと言う事だ。『エネルギー』は電気だけでなく、すべて空間にその独立した存在なのである。熱なら物質に纏いついて。光なら自由空間を伝播する。だから配電線路や送電線路もその三本の電線の近傍空間を『エネルギー』を運ぶのである。導線はその道しるべの役目である。ただそのような自然現象の本質を科学技術として如何に巧みに利用するかを構築して来た先達の偉業は益々輝くものであろう。しかし教育としてどう取り扱うかが哲学的な視点で再構築されるべき時代に来たと言う事であろう。多寡が配電線路と眺めても、そこには深い意味が隠されている事を認識したい。

三相負荷要素とエネルギー 電気的要素は抵抗R、インダクタンスLそしてコンデンサCの三つである。実際の電気回路にはアーク炉や負荷断続や複雑な負荷が繋がれて、その電気現象は瞬時的変動の連続状態を呈する。その苛酷な電力需要の要求に対応するには補償装置や安全対策が講じられている。先ずはそれぞれの単独の回路要素負荷についてそのエネルギーの振る舞いを理解しておく必要があろう。

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三相交流回路のエネルギー 負荷をStar結線で考える。LとCはエネルギー貯蔵機能要素と看做される。しかし抵抗Rはそのエネルギーの意味を考えると、少し複雑に思える。電力はエネルギーではなく、エネルギーの消費率であるので、捉え難い点がある。モーターの仕事を思えば、回転体には誘導性のエネルギー貯蔵機能があり、仕事として消費されるエネルギーは仕事率の動力ワットである。その動力が抵抗の機能に相当するものである。先ずはLとCについて、その貯蔵エネルギーの振る舞いを尋ねてみよう。

電圧と位相 負荷印加電圧の位相で要素のエネルギー貯蔵量がどのように変動するかを調べるその基準を示す。

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三相電圧と位相 三相電圧のa相電圧ea=Em sin ωt 、b相電圧 eb=Em sin (ωt-2π/3)、c相電圧 ec=Em sin(ωt-4π/3) として、a相電圧を基準にして考える。1サイクルを12等分して、その各状態のエネルギー量を比較する。

(2018/10/30)追記。以下の記事が間違っていたかもしれない。少し時間をかけ検討したい。各相電流の2乗の和の係数が3/2となる処を単に3と間違った。(2018/11/01)追記。誘導性負荷の記事の内容で筆者の計算間違いに気付き、混乱し大変迷惑を掛けたことお詫びいたします。一応三角関数の計算の係数3/4とすべきところを3/2と誤っていたので、訂正した。

誘導性(L)負荷のエネルギー

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誘導性(L)負荷とエネルギー分布 三相負荷に対して、相順ABCを図のように時計回りに配置した。位相3はa相電圧が最大値の時である。図の円外に矢印でベクトルを記した。そのベクトルeは別の記事での瞬時電力ベクトルの場合に関係する記号であるが、その位相に従って回転する空間ベクトルを付記して示した。e=√(3/2) (ea+eb+ec) であるが、ここでは瞬時ベクトル解析論とは回転方向が逆になっている。さて、図の様子を見れば、Lのエネルギー分布が反時計方向即ち電圧ベクトルの回転方向と逆向きに移動していると観れる。電圧1サイクルにエネルギーは逆相順で2サイクルとなっている。そのエネルギー量は総和で、Wl=(3/4)Em^2^/(ω^2^L)の一定値である。(2018/10/30追記) 係数が(3/2)でなくて(3/4)かも知れないと気付いたので計算の確認をする。wl(J)分布図も間違いかもしれない。(2018/11/01追記)Wlの係数を(3/4)に訂正した。wl(J)の分布図は正しかった。図では、そのエネルギー分布が1+2(1/4) の場合と2(3/4)の場合との二通りである。その円の半径1とは、全貯蔵エネルギーの2/3で、結局エネルギー量(1/2)Em^2^/(ω^2^L)の意味になる。

容量性(C)負荷の場合 コンデンサの場合のエネルギーの相間分布の様子をリアクトルと比較してみよう。

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容量性負荷のエネルギー分布 Lの場合と比べて電圧位相に対する様子が違う。当然の事であるが図で表現すると分かり易い。電源周期の2倍周期で負荷内でエネルギーが回転している。

抵抗負荷の電力分布 エネルギー変換消費要素の抵抗ではエネルギー量を捉えることは出来ない。電力分布で示す。

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抵抗の電力分布 電圧回転ベクトルe とやはり逆向きに電力分布が回転している。抵抗負荷については、そのエネルギーを捉えることが出来ない事も電気技術量(電圧、電流及び電力)の意味に不思議を思う。負荷抵抗はエネルギー変換機能要素だから、要素が吸収するエネルギーと放出(消費)するエネルギーがある平衡状態に在るからだ。

瞬時無効電力の算定法は如何にするか? この解決法が『瞬時電力理論』である。どんなに電圧、電流が変動しても瞬時の無効電力を算定できる。その解釈を電線路空間のエネルギー挙動から次の記事で考えてみたい。(2017/09/14)この負荷と無効電力についての基になる記事電気回路要素のエネルギー(数式と意味) (2016/08/16)がある。

(2017/07/14)追記 今年になって電気工学分野の電気回路解析を『エネルギー』からまとめて分かり易い解釈法は無いかと模索してきたが、次に記事でと言う予定にも辿りつけないでいる。電気回路の『時定数』の意味に改めて深い意味があることを知り、行き先未定の途上にある。(2017/09/14)何とかこの『時定数』に関する回路解析については時定数から観る電気現象及び時定数と回路問答にまとめた。