世界は何故回る。それは回転(rotation)が世界の構成原理だからだ。その理由を求めても自然(神)は教えてくれない。ただそこに在る姿を素直に受け止めるだけしかできない。何故地球が自転と公転をしているかに答えられるだろうか。太陽系が何故独楽のように惑星質量空間分布の統一体として回転しているか。その質量エネルギー(mc^2^[J])と運動エネルギー(Σ (mv^2^+Iω^2^)[J] 1/2は?)の空間分布構造を計算出来たら回転現象の秘めた原理が観えるかも知れないのだが、それは遠い夢。回転現象の意味は決して万有引力に因っても理解できない。世界が回転で成り立っているから万有引力説が解釈法の一つになっているだけだ。
空間とベクトル 微分演算子にローテーション (rot S )と言うベクトル計算概念がある。空間に『エネルギー流』のベクトルS がある時、その微分演算式が回転流平面に対して垂直の空間ベクトルを表現する計算式だ。それは回転流の半径分布密度に因る空間軸ベクトル量を示す。微分回転演算は電磁気学での偏微分式にも使われるが、軸ベクトルとしての意味は余りないかもしれない。また、子供の頃によく独楽(コマ)を回した。漢字の通り回転体が一人で楽しんでいるような世界に見える。コリオリの力と言う説明があるが、その理解もなかなか難しい。この回転と言う自然現象は世界の根源に在りながら、人が気付き難いものかも知れない。独楽が何故立つかには、その回転『エネルギー流』に自然の秘めた本質があるのだろうと思うが、具体的な数学表現式は見えない。瞬時電力理論も平面(エネルギーの熱平面とも見られる)に垂直な虚軸で定義した処にその有効な意味が隠されていると観たい。瞬時虚電力と名付けた電力概念は系統の電源と負荷間を還流している回転『エネルギー流』の時間微分と看做せる。空間ベクトル解析は虚軸で評価する技術概念の意味を理解することが、電気現象の抽象的解釈概念ではあるが、空間ベクトル解析論への入り口として重要であろう。
虚軸の名称 独楽の心棒はその重要な意味を担っていると見て分かる。しかし、電気現象には従来の伝統的ベクトル解析法での複素平面における『虚数』の概念も同じ事であるが、その物理的意味は見て分かると言うものではない。三次元ベクトル座標の立体空間で考える瞬時電力理論も、平面に垂直な回転軸が感覚的に在ると見える訳ではない。空間ベクトル解析法として有効なベクトル軸でありながら、直接在ると見えるものでないという観点から『虚軸』とした。勿論複素論の虚数( j= √ -1 )の軸と言う意味ではなく、空間ベクトル解析のスカラー積、ベクトル積の演算に因る計算手法がその電磁現象の本質的意味を理解するに極めて有効であるために導入したベクトル概念軸である。
自然現象と回転軸 先に挙げた独楽、災害の竜巻、瀬戸内海の渦潮等も自然の回転現象である。これらの回転現象に共通したものは回転の中心に軸があることだ。台風の目のように、中心軸は空洞のように周りのエネルギー流分布とは異なる特異な空間となっている。何も回転していないような中心軸が想像できる。回転独楽の極真の中心軸が回転していないように。北半球の台風や竜巻の回転方向は必ず上から見て反時計方向(衛星画像の)に廻る回転流になる(下から見れば時計方向)。台風の低気圧は中心軸が天空冷気(空気体積の収縮源即ち低気圧源)と海上面(高温度の高エネルギー“水蒸気高含有空気質量とそのエネルギー保有の”供給源)と繋がった空間構造を成して、その回転現象が安定した一つのエネルギー回転体のような存在を成す。竜巻(地上面の高エネルギー水蒸気膨張空気と上空の冷気に因る水蒸気体積収縮に因る上昇回転気流現象)は下から見れば、時計方向の回転エネルギー流体構造を成す。渦潮は上から見れば、やはり時計方向のエネルギー回転流体構造を成す。エネルギー流の回転が時計方向なら、時計の裏側に向けての軸エネルギー流となっている。右ねじの回転と進行方向の関係に在る。南半球はその逆に成っていると思うが、そうではないとの意見もある。海の潮流や渦にその様子は見える筈だ。その回転の方向性は地球の回転と球面に因るだろうと思うからである。地球を回している力の原因が何かが謎である。地球の上空は地球より早く回っている。謎こそ自然の魅力かもしれない。
回転軸の単位ベクトル 2次元平面座標上で回転運動を記述する時、その平面に垂直な座標軸の回転軸が重要な意味を担う。その三次元空間座標で、回転運動の回転角速度ωをその軸上のベクトルとする。回転軸の単位ベクトルnγ = [nα ×nβ ]を決める。平面上の回転運動体mには軸ベクトルがある訳ではないが、回転角速度ωをその軸上の空間ベクトル ω = ωnγとすれば、回転速度vはベクトル積として図のように解釈できる。その単体の質点mの運動には、単に運動エネルギーを持った物の運動と言う点しか見えない。その質点には回転軸方向への運動を産む意味は見えない。しかし、回転円板や独楽などの運動平面上のエネルギー平面分布となると、少し様相が異なって見える。即ち軸方向性の力ベクトルの隠れた意味が見えてくる。
光伝播と空間ベクトル解析 Fig.1.の質点mがもし地球とすれば、その表面から光の短時間パルスを天空に放射した時、その光の軌跡をどのように認識するかを考えた図でもある。光は光源の運動速度には影響されないと認識する。その光が伝播する『光速度一定』と言う伝播空間をどのように認識するかが大きな問題であろう。地球は少なくとも2軸回転運動体と看做される。光の相対速度の意味を考える図にもなろうかと思う。電気現象が光速度伝播現象であることとの関連として意味があろう。
電気現象と回転軸(虚軸)ベクトル 電気現象や電気回路に見える回転軸がある訳ではない。台風などの意味とは異なるが、電気現象解釈に4次元(時間が1次元)空間ベクトルを取り入れると理解し易くなるだろう。しかも従来のベクトル解析での複素平面ベクトルと異なり、『虚数』概念の矛盾( j^2^=-1 に基づく混乱-ピタゴラスの定理ー)は取り除かれる。電力系統の送配電線路網は、その本質がすべて電線路内の空間を伝播する電磁エネルギーの光速度伝播現象である点で極めて効率的エネルギー伝送機能設備である。その『エネルギー』は勿論空間エネルギーで光と同じように金属導体によって制限されてはいるが、空間を伝播するのである。瞬時電力理論での解析手法の『虚電力』と言う概念が電圧・電流ベクトル平面座標に対して、その垂直軸の『虚軸』に定義した処に特異さがある。実際に電気回路に虚電力が在るのかと尋ねられれば、在るとも言えないし、無いとも答えられない。それは各相の無効電力に反映されるもので、各相無効電力発生の原因を『虚軸』の電気ベクトルとして定義した電力概念である。しかしその三相の各相無効電力は、過渡瞬時値でなければ、総和を採れば零となる。三相をまとめて見た時に『虚電力』の意味が分かろう。それを次の図に表現した。
電線路の空間エネルギー 三相電力線路には三つの「空間エネルギー」がある。瞬時電力理論での『実電力』と『虚電力』に関わる『エネルギー』と更に系統の電力規模を示す『電圧』に関わる『エネルギー』である。図では、『実電力』の赤色の流線で表示したエネルギー流と『虚電力』を意味する青色の回転流線で表示したエネルギー回転流の二つの「空間エネルギー流」がある。電気現象の最も基本的な認識として、捉えなければならない事がある。それが『電圧』の物理的原理である。負荷が無い、無負荷での電線路空間のエネルギー分布がどのように成っているかの認識である。無負荷であるから、電流が流れているとは言えない。それでも電線路の遠方終端でも瞬時に受電できる。それは電線路に『エネルギー』が電圧と言う意味の隠れた物理現象として存在するからである。『電荷』や『電流』でない『エネルギー』の電線路空間内での実在認識とその光速度伝播現象での解釈が必要である。図2は『エネルギー』を認識する事に因って、初めて電線路空間内のエネルギーの回転流としての『虚電力』の意味が分かろう。物理的には、決して『電荷』や『電流』での伝統的電気工学の技術概念に因る認識では無理である。電線路空間のエネルギー分布は電源から電線路末端まで、光速度に因る遅れを伴うが、空間エネルギーの供給に因る『電圧』として電力系統保持が成されているのである。その『エネルギー』の分布を図の緑色で示した。図の(2)は電線路の断面空間を示した。三相交流電圧の位相により、「空間エネルギー」の分布は電線路空間内を回るのである。この電圧エネルギー分布がすべてのエネルギー供給現象の基を成していると解釈する。負荷電力もその負荷点での電圧エネルギー分布の「空間エネルギー」を供給源とし、負荷が吸収した事に因るそのエネルギー欠陥を補償すべく次々と分布エネルギーを取り込みながら、その欠陥状態が電源側に光速度で補償しながら伝播するのである。定常負荷状態であれば、安定した赤色のエネルギー流で供給される。負荷変動の過渡状態は、電圧エネルギー分布に大きな欠陥状態が生じ、その光速度補償現象の伝播動作として系統に影響を与える。基本は電線路空間内の『エネルギー』分布が在ることに因って決まると見なければならない。『エネルギー』が光速度伝播と言うことの意味は、(3×10^8^)^-1^ [s]間に伝播する量が電線路の1[m]当たりの分布でしかない事で理解されるだろう。微弱な空間エネルギー分布でも光速度伝播と言うことで、極めて大きな送電電力となり得る。また図の(1)や(2)の電線路空間内の『エネルギー』現象を考えると、電気現象が空間ベクトル(技術概念の電流と電圧)の回転現象として、ベクトル解析手法の合理的な意味が納得できる。空間ベクトル解析ではインピーダンスよりアドミタンスが有効である。アドミタンスベクトルを虚軸上に定義することで、空間ベクトル解析にその意味が生きる。
むすび 瞬時電力理論の空間ベクトル解析の意味を少し広げ(リサジュー図形など)て見ようかと思い、その基本的物理現象を『エネルギー』でまとめた。ここまでの道程の電磁現象に対する解釈を進めて来た精神的な科学認識の支えが次の資料の写真に在る様な実験結果に負っていた。『電界』も『磁界』も『エネルギー』の解釈概念でしかないのだと言う電気現象の認識である。新世界への扉ーコンデンサの磁界ーの意味である。
瞬時電磁界理論の実験的検証とその意義 電気学会電磁界理論研究会資料 EMT-88-145 (1988-10)