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『熱』と『温度』を考える

(2023/03/01).

 『温度』と『熱』の関係を考える。『温度』とは複雑な自然世界を科学的に捉える尺度を人が創り上げた概念量だ。それに対して『熱』は、自然世界に常に存在する『エネルギー』の一つの形態に対して人が定義した解釈用語だ。

 前に、『温度とは何か』が問うもの (2011/05/07) がある。
 

 考えてみると『温度』と言う数量は本来の自然界に在るものではない。

 それはあくまでも人がある基準として決めた技術評価量でしかないのだ。電気回路の『電圧』や『電流』と同じく、人が電気回路現象を解釈するに便利な手法として決めたように。自然現象は人が利用しやすいために存在する訳ではない。

 さて上の図は、『温度計』が指示する『温度』とはどの様な物理量を表ししたものと言えるか?

 水は地球上に存在する極めて特異な物質である。『熱』を加えると水蒸気と言う気体になって目に見えなくなる。冷却すれば、固まり「氷」と言う物になる。その水が『熱』と言う『エネルギー』によって状態が変化するその状態の切り替わりの様子から、誰もが分かり易いことによって、『温度』と言う評価基準を設定した。「氷」と『水蒸気』に状態変化する過程を100等分したのが摂氏温度の1「度」である。1気圧の環境で、純水の1グラムを1「℃」『温度』を上昇させるに必要な『エネルギー』の量を 1[cal] と決めて、温度評価での捉え方を確立した。簡単に考えれば、以上の解釈の『温度』の意味の捉え方で良かろう。

 『温度』とはどの様な物理現象を解釈したものと認識すれば良いか。『温度』の評価基準1「度」の差とは何か。改めて、更に考えてみる。物は必ず『エネルギー』と切り離せない。その状況をなかなか理解できないが、絶対温度、零度と言う状況は『エネルギー』も零の状態と言う。しかし、その絶対温度「零度」と言う状況は永遠に創れなかろう。そのような状況が創れたとしても、その周りはそこに向けて『エネルギー』を放射し続けることになる筈だから、決して「零」には成らない。『温度』とは『エネルギー』の放射強度を解釈した技術概念でしかない。『比熱』と言う物質特有の持つ特性の差もある。物質の何処かに『エネルギー』が吸収され、同時にその『エネルギー』の放射も伴うから、その物質による形態・特性が『比熱』と言う違いに成るのであろう。

 『物』『物質』は如何なる時も、常に『エネルギー』の放射と吸収のバランスの中に在る筈だ。その物体が放射する『エネルギー』が大きければ、その物体は高温度と捉えることになる。

 ここで何を指摘したいか。それは、『温度』を「気体分子運動論」で解釈する自然世界と隔絶した、物理学理論業界の具体性の欠落論であることを指摘したかったのだ。

 そこに横たわる本質的科学者の意識の構造的問題が在るのだ。『運動エネルギー』と『位置エネルギー』と言う『エネルギー論』の専門家特有の基本概念が強固に意識化されている事に問題が在るのだ。全て『エネルギー』は『質量』が自然世界の基本であり、その『質量感覚』から科学理論が構築されている。『質量』に関わりのない『エネルギー』がこの自然世界に存在するとは先ず考えないのだろう。

 だから電気回路現象、半導体理論なども、『電荷』を創造してみたものの『質量』が無ければ伝統的理論との整合性で、物理学理論にならない矛盾から、『電子』は必ず『質量と電荷』の混合物体として取り扱わなければならなくなる。理論とは誠に都合よく如何にも、確からしさを回りくどい論理の複雑性との嚙み合わせで創り上げられるのだ。

 そこに構築された物理学理論は、無意味な物理学理論特有の自然解釈論の世界を論じる業界論となる。

熱エネルギーと温度
 日頃の誰も食べたいと思わない様な、筆者の鍋料理および解釈論。鍋底に火を当てる。何とか具材も煮上がった。鍋底も炎の気体の空間を通しての加熱だ。炎の『温度』はどれ程かと温度計を近付けてみた。もしこの『温度計』の指示値 t[℃] を気体分子運動論によって解釈したらどのような『温度』と捉えるだろうか。

 気体分子が何故運動あるいは振動しなければならないのか。『温度』がどの様な意味で『運動エネルギー』と関係付けられると言うのか。気体分子が運動しなければならない必要性・理屈等どこにも無い。上の図の鍋底の炎の中で、気体分子が運動したと仮定しても、その運動エネルギーが鍋底に衝突して鍋にその『エネルギー』がどの様な仕組みで『熱』を供給する事になると言うのか。漠然とした抽象論が得意な専門業界解釈論は余りにも説得力・理屈に欠けた漫然論に成っている。

 『温度計』の指示値に影響を及ぼす物理量は何だろうか?温度計の表面に、気体分子が持つ、その運動エネルギーを移す物理的原理はどの様な物と言うのか。その辺の分かり易い解説の具体的意味が全く見えないのが専門業界論である。