変圧器のエネルギー伝送現象

変圧器はファラディーの法則の適用によって解釈する科学技術設備である。大電力の伝送は変圧器に因る高電圧化が欠かせない。

ファラディーの法則。
その原理はコイル内の磁束φ[Wb]の時間的変化率によって、端子に発生する電圧が決まる事を示している。コイルの巻き線数nに比例する電圧vが発生する。
  v=n(d φ/d t) [V]
と表される。この式によって、電磁誘導現象の理解が容易だ。しかし、この法則は磁束と言う技術概念が使われているから、その意味を理解することが必要になる。もし自分が、初めて先生から磁束がコイルの中に発生すると電圧が生じると聞かされた時、簡単に理解できるだろうか。コイル内の空間に、磁束と言う線束が貫通するという磁束の物理的概念に疑問を抱くか、抱かないか。殆ど疑問など抱く余裕が無いからその言われたままを記憶して、磁束が自然界にはあるのだと理解する。

変圧器の構造。
基本的には、巻き数の異なる二つのコイルと鉄心からなる。

自然界に磁束は実在しない。
鉄心の役目は何か?鉄心が無ければ変圧器の機能は望めない。その鉄心の物理的役割は何か。技術概念としての磁束は鉄心の中を空間より多く通せるからと解釈する。技術概念ではそれを飽和磁束密度と言う言葉で捉える。磁束の飽和値が高いと解釈される。変圧器の役割は二つ以上のコイルの間で、異なる電圧を発生する電圧変換設備と言えよう。電圧という科学技術量を変換し、電圧を変えながらも『エネルギー』をコイル間で同じ量で伝送する機能を持っている。磁束は無くても『エネルギー』は自然界に実在する。それなら磁束でなく『エネルギー』で変圧器の現象を理解すべきではないか。科学技術法則はとても便利に自然現象を利用する手法を提供する。とても分かり易い。しかし、技術法則と言う物は、自然界に無い概念を定義して、自然を利用しやすく取りまとめる理論と言えよう。だから専門技術者は、簡単に技術概念を駆使して利用技術理論を使いこなせる。しかし概念が専門的な定義に因っているため、なかなか一般の市民には採りつくことの難しい理論となっている。もっと自然の本質に迫った解釈法なら、市民も理解し易い筈なのだ。理科教育はその考え方に基づく方向性を採るべきである。みんなが未来の科学技術に、その安全性や安心への意見表明による責任が発揮できるように。変圧器のコイルを巻く中心に鉄系の鉄心が使われる訳は何かを考えただけでも、その自然の特性や機能を理解することは難しい。しかし、自然現象が全て『エネルギー』がその主役を担っている事に思い至れば、必ずや分かったと安堵できる筈である。其処に科学技術と自然現象との関係を見つめる魅力がある筈だ。鉄心の内部に『エネルギー』が侵入するに時間を要するから、1次側の電源からの印加電圧による『エネルギー』供給に対して、十分対応できることになる。コイル電圧はコイル内部貯蔵の『エネルギー』が飽和したら『ゼロ』となる。鉄心内部に『エネルギー』が流入している限りコイル短絡には成らない。

自然の本質は分かり難く、複雑である。経済的効果を求めるなら、あまり役立たないかも知れない。しかし、精神的な安心感を得られる。複雑な技術概念は分からなくても、自然現象としての奥深くに秘められている不思議を心で体感できるから。その上で、技術法則を学習すれば、その技術的解釈法がとても優れている結晶だという事も解る筈だ。技術屋さんの専門性がなくても、大よその利用概念が分かって技術への理解で、未来科学技術の安全への自分なりの責任を発揮する基礎を身に付けられる。それが理科教育への大事な眼目と考える。

『エネルギー』で見る変圧器。
変圧器の機能は『エネルギー』の状態を1次と2次で変えて、伝送する電気設備である。この『エネルギー』を物理学理論ではどのように捉えているかを筆者は知らない。残念ながら、その認識が物理学理論には無いとしか思えない。電気磁気学で、電界と磁界の概念を空間電磁場に適用して理論が構築されている。その電界とか磁界と言う概念の意味を深く突き止めれば、必ず『エネルギー』に行き着く筈なのだ。それは光の半波長も空間の『エネルギー』の分布の認識に行き着く筈なのだ。しかしその解釈はどうも物理学理論には無い。それは自然を深く突き詰めて考えていないからではないかと勘繰らざるを得ない。電磁場を電界と磁界と言う概念で理解できたと解釈する限りは、空間に実在する『エネルギー』には届かない。宇宙論で高尚な理論を唱えても、足元の電気回路内の『エネルギー』が観えない限りそれは未来の世界観には届かない。単に変圧器の内部の電気現象でも、そこには『エネルギー』がその機能の主役を演じているのだ。上の図に大まかな変圧器の中の巻き線周りでの『エネルギー』の分布とその電気要素コイルとコンデンサ機能からの捉え方を提示した。

 

まとめ。

空間エネルギー分布が変圧器巻き線空間を支配している。その様子を上の図に示した。その『エネルギー』が変圧器外部回路にどう表れるかを右にまとめた。(2020/12/03)修正した。巻き数比a の関係も示した。このエネルギー電線路分布量δxx[J/m]はその電線路回路定数 Cx,Lxによって電圧から決まる。伝送エネルギーと反射エネルギーは負荷整合からのズレによって自動的に決まる。

変圧器の機能解釈で、ここまで辿り着くまでに、変圧器‐物理学解剖論‐ (2011/09/13)。変圧器の奇想天外診断 (2015/06/03) 。変圧器の技術と物理 (2019/04/12)。などがある。中でも・・奇想天外診断は思い付きの単純な実験ではあるが、それ以降の電気回路解釈に決定的な指針となった。『エネルギー』論への確信となった。

導体と空間とエネルギー (2020/11/28) をこの変圧器の現象説明のために先に示した。

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