月別アーカイブ: 2017年5月

光量子の波動関数形と作用

はじめに(過去と光量子像) 過去のファイルから光量子像を拾い出す。

光量子像 光は質量的な粒子ではない。横波の振動体ではない。曖昧な波動ではない。『エネルギー』の空間密度分布の光速度の縦波流である。

光量子と指数関数 雷様の光エネルギー放射現象の衝撃波形からの類推による導出波形関数が(1)式である。決して科学実験により証明は出来ない光量子像であろう。実験での証明が科学論の本質だと言われれば、この光量子像は科学論の範疇には入らないことになろう。自然現象に対する個人的『勘』に基づく提案でしかない。この式の導出過程などについては光とは何か?-光量子像ーに述べてある。

求められる人間像に程遠い未熟の人間のまま、科学常識から程遠い非常識の自然感覚から求める世界を彷徨う。見えない物を見たような嘘を言うと非難されるような光量子概念の提案をして来た。目で見えない物を見たとは言えない。しかし、心・感性で観ることもあろう。物理学理論のある時は「粒子性」でまた或る時は『波動性』で同じ現象を解釈し分ける。「粒子性」という場合の粒子とは質量の塊のような物を言うのか、そこに電荷という得体の知れない物を纏った電子のような粒子を念頭に描くのか、なかなか素人には理解できない。時には電子を雲のような捉えどころのない波動のようなものと言うようだ。そんな不明確な捉え方に満足出来ずに、2001年『プランク定数の次元と実在概念』を未熟な内容のまま発表した。その基には雷様の衝撃波形が自然現象波形のモデルとして意識に在った。電力設備の管理上雷の衝撃波は重要な研究対象でもあった。雷の衝撃電圧波形は急峻な立ち上り波頭の指数関数減衰波尾長の波形で認識している。決して正弦波には成らない。しかしその衝撃波表現法にも不満足である。指数関数表現式は時間が無限大に成っても決して現象がゼロには成らない式である。自然現象解釈式には指数減衰式が基本的に使われる。原子核分裂崩壊現象も半減期が幾らと言うように同じ指数減衰関数式で解釈される。プルトニュウムの半減期が何万年と言うような場合の解釈式なら問題にしなくて良かろう。普通の一般的自然現象では無限にゼロに成らない事はなかろう。そんな無限大に続く現象は自然界には無い。宇宙もすべて変転の中に在る。星座も消滅し、新たに産まれ来る天体の星座もある。光の一粒と言う空間エネルギーは波長と言う周期で必ずゼロに成らなければならない。その意味を指数関数式に含めた結果の式が(1)式である。

指数関数と波動関数形 エネルギーの縦波波としての光の表現。

波動関数形 変数xに対する波動関数形として③を選んだ。ただし、変数xの範囲は1≧x≧0で定義する。この変数については、光量子の(1)式では変数ζを使っている。それは無次元数で、波長λや周期τで正規化している。無次元の変数xで、③の場合にx^2^e^(x-1)などと高次とすると、関数波形はもっと急峻な形状となる。なお指数関数についての関連記事がある。指数関数の形と特性(2013/07/03)、指数関数の微分・積分(2015/02/10)および周期関数(科学技術と自然と数学) (2016/01/13) 等である。

光量子の作用性と波頭エネルギー密度H[J/m^3^] 光量子の波動関数形(指数関数)で光を認識すれば、光の一粒の波頭Hが光の作用性に大きく関係していると見做される。

波長λと波頭値H 光量子ε=hν=hc/λで、xに比例する。しかし作用性、波頭値のエネルギー密度で観れば、xの4乗に比例することに成る。光の波長が短くなれば、いわゆる振動数が高くなれば、その作用性は波頭値のエネルギー密度で効いてくると言う解釈ができる。なおここでは変数x=1/λで無次元ではないが、空間距離x/λのようにζは正規化した光量子表式(1)の無次元変数で解釈する。

まとめ 眼で見ることもできない、実験で証明することもできない科学認識は専門的には多分認められないだろう。しかし曖昧な粒子性と波動性の混合解釈論では、その論理は自然の眞髄では通らない話ではなかろうか。見ることが出来ない物には『電荷』も同じ事のように思う。雷が水蒸気の熱の放射現象だと言っても、専門的には、学説では理解されないかもしれない。雷は決して実在しない『電荷』などの現象ではない。上に一通り光量子の自己流(自分にとっては確信論)の解釈をまとめた。しかし大きな矛盾も抱えている。それは光の作用性で、波長の寸法が数千オングストロームで、原子、分子寸法との兼ね合いでの関係性が理解できていない。水素原子H2の放射スペクトラムと言う物理学の最初の解説で、1Åの寸法とその水素原子放射光の寸法の関係を論じることが出来れば良いのだが。追究しようと思うと、光の波長の意味が理解困難にもなるのだ。波長λに対してエネルギー分布空間の長さが波頭部分に集中している場合への解釈が残されてはいよう。

トランジスタのオン・オフ機能と理論の間に?

(2020/11/16)追記。この記事で述べた疑問。

トランジスタがスイッチング機能を持つ訳が理解できないという点である。実際に極めて高速の回路スイッチング機能を発揮する。上の図の(3)のような機能で捉えている。しかし、NPN型トランジスタのコレクタ側はダイオードのoffの向きである。何故そのようなダイオードoffの向きであり乍ら、onするのかと言う疑問である。コレクタ側はスイッチング動作時、吸熱現象による電圧電流の積の電力は負となる。この現象に対する理論は完璧なのか?どう考えても理解できない。そんな意味を述べた記事である。

突然理解不能の事態に遭遇する。電力用トランジスタは相当大きな電力でも自由に高速でスイッチング素子として制御可能な優れた機能素子である。半導体理論を余り学習して来なかったから、トランジスタのスイッチング機能に何の不思議も気付かなかった。

トランジスタとは スイッチング機能の優れたトランジスタの動作機能については簡単に解釈して納得していた。ところが不図気付くと大変な誤解であったのかと理解不能に陥った。

トランジスタとは トランジスタのスイッチング機能を利用する面から単純に感覚的に認識していた。その回路をベース側に電磁石コイル制御電流でコレクタとエミッタ間の接点制御回路として理解していた。スイッチング機能の理解にはこれで充分であった。しかしトランジスタのN型、P型半導体の接合体として捉えると、二つのダイオードが逆向きに接合された構造であることが分かる。コレクタ側からベースを通してエミッタへ電流を流すとすると、どう見てもコレクタ側のダイオードは電流の流れない逆方向である。どのような製造過程でN-P-N構造の半導体接合部ができるかは知らない。しかしN-P-N型の積層構造であると説明されているから、基本的にダイオードが逆向きで接合されていることになる。ダイオードの機能を解説する時、N型からP型へは逆向きだからダイオードは決してONして電流が流れることはないと言う。謎(p n 接合は何故エネルギーギャップ空間か)でダイオードの意味を考えたので、トランジスタはどうかと考えて見た。

トランジスタはオンするか トランジスタのオン・オフする機能の原理が分からなかったことに気付いた。

オンするかオンするか トランジスタに印加する電圧の極性でスイッチング素子としての機能が働くかどうかが分からない。考える頼りはダイオードの機能であるPN接合とそこに掛かる電圧の極性だけである。難しい量子力学の電子運動論は、自分にとっては、理解できる範囲を超えているから無理である。上の①,②と③の各場合の印加電圧の極性でどうなると考えれば良いか。

③が何故オンするか 何故オンするか不思議だ。

何故オンか?何故オンするか 一通りそれぞれの場合のB-C間に掛かる電圧Vbcを考えて見た。Vbcが正ならコレクタ側のダイオードはオンすべき順バイアス電圧である。①と③はB-E間はオンである。②はB-E間が逆バイアスでオフである。さて、①は勘ではオンすると思うが実験してみないと。エミッタ電流と逆向きの兼ね合いでB-C間を通る導通か。②もB-C間での導通のオンになるか。従って①と②はスイッチング機能はないことになる。問題は③が何故スイッチング機能を発揮するかである。理論解説では、ベース電流に対応するエミッタからの注入電子がp型半導体のベース領域を通過中に殆ど90%以上がコレクタ側に注入されるとなっているようだ。それがB-C間の逆向きダイオードの逆流電流を可能にすると説明されている。そんなダイオード機能の逆向き電流を流す理論はどこから生まれたのかとても不思議だ。どんな解説でも、ダイオードの本質的原理を打ち消すようなことだけは言って欲しくない。仕事が無い(1939/12/01 舞鶴鎮守府へ?職歴も書けない故)哀しさから時々、御免なさい(お恥ずかしいことです)。P-N junction 内のエネルギーギャップが解釈の要になろう。『電荷』ではなかなか理論の矛盾を取り除けない。現在まで科学漫遊の旅を経ても、特別研究対象と言える専門もなく、光量子の空間エネルギー分布概念や三相交流回路の瞬時空間ベクトルと何とも取り柄のない始末に負えない存在の浮遊体のようなままに在る。少しトランジスタのスイッチング機能のエネルギーに特化した見方を展開してみたいと思って筆を置く。

光に関する記事 しばらく離れていたが、大事な知って欲しい光の概念がある。もう一度まとめてみたい。

アッツ桜

アリュウシャン列島のアッツ島も今アッツ桜が咲いているのだろうか。

アッツ桜 1943年(昭和18年)5月19日アッツ島の戦いで日本軍が玉砕した。丁度今頃の季節だった。御冥福を祈る。父も昭和17年5月2日第三特別陸戦隊附同年7月1日第五警備隊、北潜?隊進駐援護作戦に従軍。キスカ島での1年以上に亘る作戦後、昭和18年7月29日キスカ島撤退作戦で帰還した。帰還と言っても父は帰れなかったようだ。シュムシュ(占守島)島に深い因縁があったかもしれない。同年7月29日鳴神島発ー8月1日占守(シュムシュ)島着とあるが、8月5日第51警備隊附天寧派遣の命令により8月17日占守島発(日帝丸)19日天寧着。9月17日天寧発(和光丸)19日室蘭着。20日同発22日舞鶴海兵団入団。この時は既に衰弱し、立つ事も出来ずに実家の父(信策爺さん)に背負われて帰る。父からはキスカ島での戦闘の話や、ネズミを食べて過ごしたなど。また撤退時の雲に隠れての幸運の話等を聞いた。軍歴票は墨で塗られて不明の部分がキスカに関係している。敗戦後の9月2日ミズリー号の後も、その年は暮まで帰られない仕事があったようだ。何時帰ったかも覚えていない。

舞鶴での思い出がある。舞鶴東港は平成5年に訪れた時、兵舎があるようだった。敗戦前にはそこに本館があり、入口の広間には大きな鯉の滝登りの額が掲げられていた。館の正面には飛行機があった。父と偉そうな軍人が居て、その飛行機に乗ることを許されて乗った。席は一つか二つしかなかった。父は帰還後、新兵教育の教班長をしていたようだ。終戦後、舞鶴国民学校から、おそらく貝野小学校に転校の手続きは成されていなかったのではと?すべては昭和24年4月の貝野村役場での中央からの行政官が来られての処理行政に因ってどうなったか?

戸籍転籍の不可解 昭和14年12月1日(1939/12/01)舞鶴鎮守府所管(所管という意味が不可解である。権力による強制的な仕打ちか?その日付で第一国民兵役編入とあるが、戸籍転籍は法律に因らない不法行政?)へ轉籍 父は召集されるのを危惧して、10月1日に日本発送電株式会社へ就職した。それを内務省が計って轉籍にしたと思う。戸籍附票の筆頭者頭の「亡」の字の意味。しかし軍には昭和16年9月2日に、『充員召集ヲ令セラレ』で舞鶴鎮守府から発令されているから、それまでの2年間は日本発送電株式会社の社員として送電線路保守業務にも務めていた筈だ。昭和36年交通事故で亡くなり、東京電力社長 木川田 隆一 氏の弔辞には、昭和14年から一貫して21年間送電線路保守員として働いた云々・・と有り軍歴は無いことになっている。舞鶴鎮守府の前は、大正15年12月13日横須賀海兵団 舞鶴練習部入団。軍艦 『加古』その後『多摩』乗り組み。軍艦多摩乗組員代表で昭和天皇の御大礼に参列。菊の紋入りの大きな勲章が家に在った。軍歴の記載の不可解。第一国民兵役満期 昭和21年9月5日。帰休 26年3月31日。とは?

我が存在 私は偽者か

水泳の検定結果をpcに入力すると、「不合格」と打ち出されて、認定証の作成が出来ない。と作成関係者から説明された。名前が認識されないと言う事は存在が否定されていると同じ意味に思える。昭和14年12月1日以降にどのように舞鶴鎮守府から戸籍が回復したか?(2019/02/12)追記。氏名は漢字をGoogleで翻訳すると必ず[Yoshihira]でなく[Kihei]と翻訳される。

謎(p n 接合は何故エネルギーギャップ空間か)

(2022/07/13)。訂正。大きな間違いに気づいた。pn接合のエネルギーギャップが逆であった。現在修正中である。N型半導体側が高エネルギー領域で、P型半導体側が低エネルギー領域であると気付いた。この事で、他の記事にも多くの訂正が有る為、訂正にはしばらく時間を頂きたい。

『エネルギー』の存在形態を尋ねる旅。半導体はエネルギー変換制御に欠かせないスイッチング素子である。電力制御とは『エネルギー』制御である。三相交流回路の瞬時空間ベクトル解析で、スイッチング機能を回路定数サセプタンス化して解釈する意味を考える。その基礎考察で半導体の意味を理解したい。電力系統のスイッチング機能を担う半導体のp n 接合 とはどんな物理的意味を持っているかが分からない。その動作原理を『電荷』に頼れないとすれば、『エネルギー』に頼るしかない。専門家は良く解って居られることだ。しかし私は理解できないから困っている。何とか、まとめ に結論と覚悟した。

‐下のエネルギーギャップの図で、Diode のエネルギー分布が逆であった。‐

以下に、訂正図を挿入。

ダイオードのpn接合面で、『エネルギー』の分布状況が逆になる。それは、半導体の前の真空管時代で、二極管が検波機能を担っていた。その陰極側とダイオードのN極側とが同じ意味を持ったいると解釈できる。整流機能要素の原理 (2022/01/04)で訂正で示した。その意味から当然 N極側が『エネルギー』レベルが高密度である事になる。だから、下の エネルギーギャップ(訂正)になる。

『エネルギーギャップ』と『電圧』の物理的概念関係。 p n 接合の意味をダイオードを例に考えた。p型半導体とn型半導体の接合部にどんな現象が起きるのか。pn接合部のエネルギーギャップの電圧分が電源電圧との極性とによって、負荷側の回路空間に及ぼすエネルギーギャップとの間の関係でダイオードのオン、オフが決まる。エネルギーは高密度部から低密度部へ流れると考えたいが、乾電池に蓄えられる『エネルギー』は内部では消耗しないで、必ず外部負荷を通して消費する。その訳も重要な意味を秘めているのだ。乾電池の『エネルギー』の供給機能も、決して『電荷』では理解できない現象である。『電源電圧』という意味の物理現象もおそらく今までの物理学理論では説明できない筈だ。それが『電子』では電気回路現象の物理的意味を解釈できないという事である。『電子』概念から離れない限り、電気回路現象を理解できないという事だ。電源端子に現れる『電圧』が回路空間内に生み出す『エネルギー』の分布は結局回路空間構造の回路定数 C[F/m]、 L[H/m] によって決まる現象と理解しなければ、端子電圧の意味さえ理解できないのである。『電圧』という単純と思える概念さえも、その本質の物理的意味を理解するには『エネルギー』の空間に展開する現象を深く認識しなければ理解は無理である。(新しく書き換えた。)

まとめ 過去の記事をまとめて確認しておきたい。エネルギーギャップという意味に至るまでの過程も見たいから。最近の記事から古い記事の順で。単1乾電池もエネルギー貯蔵庫で、そのエネルギーギャップが内部で炭素陽極と亜鉛陰極間に保持された状態と言える。電池自身が、その内部の『エネルギーギャップ』によって、外部回路空間へ『エネルギー』を放射する物理的機能を保持した要素という事である。しかも陰極電線路空間側への放出によって。

(2019/04/02)半導体追加。

  1. 半導体とバンド理論を尋ねて (2018/05/14)
  2. トランジスタのオン・オフ機能と理論の間に (2o17/05/23)

半導体とエネルギーギャップ

  1. ダイオードの機能 (2016/09/17)
  2. 電気回路とスイッチの機能
  3. 物質のエネルギー準位
  4. 問答実験
  5. 半導体とバンド理論の解剖
  6. トランジスタの熱勘定 (2013/01/30)

電圧とエネルギー

  1. 電圧ーその意味と正体ー (2016/05/15)
  2. 電池電圧と『エネルギーギャップ』
  3. 電池の原理を問う
  4. 電圧ー物理学解剖論 (2011/12/14)

 

 

三相交流回路の電圧ー電気回路技術を越えて―

オームの法則や単相交流回路の学習を通して電気回路の基礎を理解する。その時電圧と電流という技術量の概念と意味に触れ、その指導内容に従順に従い理解に努める。はじめは伝統に慣れ親しむ事からその道の技術者としての自負を持つことに憧れて精進する。その技術者仲間ではそれで十分であろう。その学習の途上で、『電流』とは何かなどとは考えない。電子の逆の流れを電流と言うと説明されれば、それでその通りの解釈に従い、納得して進む。物理学が自然の真理を説き明かす科学理論の根幹を成して、その理論で『電流』とは何かとは問わないから、学習するに疑問を抱く訳にはいかないし、そんな余裕はない。電気回路解釈法は、結局電圧・電流という電気技術概念量の計測量に基づいて解釈する以外他に無いのだから。それだけ電圧・電流の計測技術が優れていると言えよう。しかし本当は電線の中を電子など流れてはいないのである。この事を理解し、認識するには深く電気回路現象に関わり、多くの経験と訓練を積むことに依って初めて分かることであろう。真の学習は覚え習得した知識を、その先で疑い、理解できないと疑問を抱くところから始まるものかも知れない。知識を超えて、捨てることで新しい領域の自分なりの学習が始るものであろう。そんなことで、一通り単相交流、三相交流回路について学習した方がもう一度学習内容の意味を確認する作業として考えて見てはどうかと思った。

『電圧』と極性 その辺を三相交流回路を通して考えてみたい。

図1瞬時ベクトルの極性 電圧、電流で回路現象を理解するに、その大きさだけでなく極性、その値がどの方向の値として捉えるかがベクトルとして解釈するには重要である。特に瞬時空間ベクトルに表現するには極性を決める必要がある。線間電圧が電線路電圧という場合の電圧であり、相電圧では言わない。三相交流回路には、線間電圧と相電圧がある。回路解析の理論では相電圧での取り扱いが一般的である。しかし、現場技術者の間では線間電圧での捉え方が普通である。電力系統の公称電圧として、その線間電圧が系統規模を認識する基準となっている。その電圧をベクトルとして捉える時、その極性を例えば図のように決めて考える。線間電圧の総和はゼロになる。しかしその極性の採り方に因ってゼロとは成らないことにもある。上の線路上に決めて表示したA相とC相間の線間電圧v_acの極性では代数和はゼロにならず、v_ca(= – v_ac )の極性でなければならない。なお図の方向・極性は二電力計法の方向性を考えて、C相基準にした極性である。さて線間電圧から相電圧ベクトルを算定するには、その線間電圧の瞬時値から算定した代数計算値に各相ベクトルの単位ベクトルn_a等を採ることで得られる。

線間電圧と瞬時空間ベクトル 瞬時電力理論による電力補償法等の実用に関しては十分研究されているだろう。しかし、瞬時空間ベクトルに因る回路解析法が新しい交流理論の手法として一般化されるだろうと思い、その基本的な意味を深めて見ようと考えた。一つの方法として、線間電圧を基準にした瞬時空間ベクトルがどのようになるかを検討した。その結果、従来の相電圧を基準にした三相ー二相変換の空間ベクトルe と位相関係は同じであった。

三相瞬時空間ベクトル  ベクトル円 三相交流電圧が平衡電圧の場合は相電圧の総和も、線間電圧の総和もゼロである。その時の電圧ベクトルは円周上を等速度で回転する回転ベクトルになる。線間電圧と相電圧のベクトル和v_s =v_ab+v_bc+v_cae_s =e_a+e_b+e_cの間の位相関係を示した。なお図の電流ベクトルiの位相φは負であることを理解願いたい。sin φ <0である。

電圧と位相(図2)の電圧瞬時値で、線間電圧v_ab=V_m sin ωt を基準電圧として、ωt=π/3 の位相の場合を取上げて、各電圧のベクトル関係を(図3)に示した。なおこの時、線間電圧v_ca=0である。(図2)の電圧の値を(図3)のベクトル円上にプロットすれば任意の時間における瞬時空間ベクトルが決まることが確認出来よう。三相電力系統の瞬時空間ベクトル解析の解釈の基本はこのベクトルを描く事から始まる。電圧基準を相電圧にするか、線間電圧にするかは自由である。結果はベクトルの総和は同じ位相の位置に得られることが分かった。

瞬時空間ベクトルのベクトルの意味 ベクトル円上におけるベクトルの意味には少し数学的なベクトル解析と異なる点がある。(図1)の電線路に表示した相電圧、線間電圧のベクトルの極性から勘違いしないように注意したい。

ベクトル相互間の関係 線間電圧と相電圧の間のベクトル関係についての留意すべき事。線間電圧ベクトルv_ab=(e_a-e_b)n_a であって、相電圧ベクトルの差e_ae_b ではない。

電圧は保有エネルギー技術評価量 電圧という電気技術評価量は結局電線路空間に保有されたエネルギー量の規模を認識する概念であると言える。その電圧は実に優れた技術概念であり、その電圧に因る回路現象を解析するにベクトル円が有効であろうと考えて、少しその瞬時空間ベクトルの意味を掘り下げて見た。

電圧は保有エネルギー技術評価量 電線路が無負荷の状態で考えて見る。電圧を印加すれば、電線路全体は静電容量の回路と等価と看做されよう。コンデンサ内に貯蔵されるエネルギーの電源周期に因る周期的変動の負荷回路である。電線路全体の線路間の総容量をC[F]とした時の貯蔵エネルギー量を示した。

『問題』 瞬時空間ベクトル図に関する簡単な問題を考えてみよう。

極端な例題かもしれない。発電所の同期発電機はStar結線である。Δ結線にすると、巻線間の僅かな電圧差で、内部循環電流が大きな過熱原因となるからであろう。そこで、Star結線のA相だけ電機子巻線を不平衡にした場合の例でベクトル円上の電圧ベクトルがどのような軌跡を描くかという問題である。当然一般の相電圧間の条件、e_a+e_b+e_c=0は成り立たないことになる。しかし線間電圧の総代数和はこの場合もゼロである。

まとめ 電気回路を考える時、電圧と電流がその回路解析の基礎概念である。しかし科学技術として確立した電力供給エネルギー機能設備も、その深い奥では自然現象の眞髄が根底にあることを理解すべきであろう。電圧という技術概念の意味を探れば、それも『エネルギー』の一つの人間の評価解釈量であると言う意味が観えてこよう。そのような深い自然の意味を考えるのが理科教育の目標ではなかろうか。