三相交流瞬時空間ベクトル

はじめに 電気現象を理解するには、先ず『電気エネルギー』とは何かを知って欲しい。現在の教科書にはその基本が示されていない。だから専門家にこそ理解して欲しい。決して『電荷』論では理解できない筈だ。電気エネルギーは電線路を張り巡らすことで、どこにでも供給できる目に見えない不思議な『エネルギー』である。『電荷』が流れると言われても、その『電荷』はどのように『エネルギー』を運ぶと言うかの説明ができるのか。不思議と言う意味は、教科書で説明されていないから殆ど教えられていないと言う人間の思考上の不思議と言う意味をも含んでのことである。科学論の不思議は人間の不思議でもある。このような文章も本当にその意味が伝えられるかと言う疑問がある。この『エネルギー』は全く質量など無関係で空間に存在するものであると言う意味を理解して貰わなければ、上の文章の意味が伝わらないと言うことである。この『エネルギー』の意味を物理学という学問で認識しているのかという疑念があるのだ。物理学という理科あるいは自然科学の根本原理であると考えられている学問分野で、『エネルギー』という用語の本質を捉えていないという現実をみんなに理解して、教育のあり方を考えて欲しいと願う。今までに論じた『電荷』否定の関連記事を挙げさせて頂く。クーロンの法則を斬る ドアノブの火花ー熱電変換ー 雷は熱爆発だ 『電荷』否定への道など。

三相交流回路の電気現象 三相交流回路の電気現象を理解するには、その三本の導線で供給する『エネルギー』が基本的には直流の一定値であると言うことを知って欲しい。二本の導線で供給する単相交流回路の三倍の『エネルギー』を導線一本追加するだけで可能だと言う技術的効率の有効性を。すべて『エネルギー』に注目して欲しいのだ。その上で、瞬時電力理論で論じる瞬時空間ベクトル(文献1,2)とはどのような意味があるのかを説明してみたい。確かに制御するのは『電流』という電気技術量であるが、その目的は瞬時電力という『エネルギー』の時間微分量を制御しているのである。その『エネルギー』を効率良く伝送するには無駄を省きたいから、無効電力という厄介な『エネルギー』の流れを抑制したいと言う技術的手法として瞬時電力理論が提唱された。その理論は電気現象を瞬時空間ベクトル上で解釈する手法で理解し易いと言うことである。三相交流電圧が平衡の場合はその瞬時電圧の総和は常にゼロになる。しかし空間ベクトル上で表現すると、一定の回転速度の電圧ベクトル(文献3に基本説明)として捉えられることになる。何故そのようになるのかを初心者にも分かるように説明できたらと願う。

三相交流電圧

三相交流電圧三相交流電圧と位相 三本の導線で構成される電線路には、線間電圧と線路電流でその電気現象の状況を知るしか方法がない。電線路の空間には何も検出できるものはない。送電鉄塔の懸垂碍子の劣化状態を検査する検出(電圧、電界)器具などを子供(日本発送電株式会社の姿散宿所)の頃見た記憶があるが。需要家は線間電圧(vab、vbcおよびvca)しか使えないが、発電所の発電機は相電圧のStar結線で、相電圧(ea、ebおよびec)である。瞬時電力理論で解析する場合は、相電圧を基本に取り扱う。負荷は線間電圧負荷であるが、相電圧に変換して解釈する方が取り扱い易いからであろう。瞬時空間ベクトルでは基本的に相電圧に変換して取り扱う。変圧器をStar結線にして電圧を検出すれば、相電圧が得られる。また次のような線間電圧と相電圧の関係があるから、相電圧は算定できる。実際に電圧と電流の瞬時値を検出するには、電線路に変圧器(Tr.)や変流器(CT)を接続して測定することになる。

線間電圧と相電圧

三相ー二相座標 平面空間に三相と二相の電圧ベクトルを展開して解釈する。

単位ベクトルと三相ー二相座標単位ベクトルと座標 三相交流電圧が平衡であれば、位相が120度(2π/3)ずれた電圧である。そのA相、B相、C相の各相電圧を平面上に2π/3角度ずつ位相差を持つ軸を設定する。その軸上に単位ベクトルを設定して各相電圧の瞬時値を反映すると、その各電圧は平面上のベクトルとして捉えることができる。その各相電圧ベクトルのベクトル和を採ると、ベクトルes=ea+eb+ecが得られる。

三相電圧ベクトル 空間ベクトルの回転する意味が分かり難いかもしれないので少し説明をする。特別難しいことではないが、初めての人にも分かるようにと考えて、ただ具体的に突き詰めて見ることで分かると言うことを示したい。

空間電圧ベクトルの回転位相と電圧ベクトルes 三相の電圧位相(時間t)の経過に従って、各相の瞬時値をベクトル軸上に投影してみる。A相の電圧を基準にして、ωt=0の時刻ではB相電圧は負、C相電圧は正でA相電圧はゼロである。その状態の電圧分布が0あるいは12の位相の場合に当たる。位相を12等分して一サイクルとすると、丁度電圧ベクトルesは一回転する。

三相電圧ベクトルes  総和電圧ベクトルesは相電圧の最大値をEmとすれば、その大きさ(3/2)Emの回転ベクトルesとして捉えられる。図はある時刻ωtでの様子を示した。

二相電圧・電流ベクトル 標準的な理論は三相交流を二相座標上に変換して解釈する方法である。三相のままでは、その電圧と電流から電力系統に潜む電気エネルギーの本当の姿は捉え難いのである。二相座標変換解析法は優れて、技術と芸術の融合した手法にさえ思われる。電気現象の本質を理解するには三相交流回路の二相座標変換した空間ベクトルによる論考が欠かせなかろう。

二相電圧・電流ベクトル 三相電圧・電流ベクトルをα―β二相座標上に分解したものである。ただし『エネルギー』あるいは電力値との整合性を得るための変換係数√(2/3)倍となる。電圧ベクトルeeαの直交電圧ベクトルの和に分解できる。電流も同様である。なお、この電圧ベクトルeの2乗はe^2^=V^2^となる。Vは線間電圧実効値。図には電流ベクトルiを電圧ベクトルeの同相分と直交分との二つに分離した意味も欲張って示した。α相の瞬時有効電流iαpと瞬時無効電流iαqの意味をも示した。以前単相交流電流の瞬時電流分離について論じた事が三相交流でも同じ意味で理解できる訳である。

瞬時空間ベクトルと瞬時電力 二相電圧・電流ベクトルに因る瞬時電力は次のように定義される。しばらくは文献3.のはじめの内容が参考になろう。(続く)ここにもう少し説明を加えようと考えたが他の記事で述べたい。

線間電圧と瞬時電力 上の二相空間ベクトル表現を三相線路の線間電圧によって表現すると次のようになる。二相瞬時空間ベクトルで基本的概念が理解できれば、実際上では三相電圧と電流で瞬時電力が評価・検出できるので、その意味を示す。

線間電圧と瞬時電力、瞬時電流 三相交流回路は線間電圧によって解釈するのが一般的である。瞬時電力のpおよびqは線間電圧で表現できる。従ってその電力から直ちに各相の瞬時有効電流及び瞬時無効電流も算定できる。三相回路の電流分離の意味である。

瞬時有効・無効電流 瞬時実電力pと瞬時虚電力qから線路電圧により直ちに三相各相の瞬時電流が算定できる。なおVは線間電圧の実効値である。この分離電流から各相の瞬時有効電力、瞬時無効電力も相電圧との関係で直ちに算定できる。

瞬時虚電力の意味 瞬時電力理論で最も重要な理論の要は瞬時虚電力qに集約されよう。電線路空間の『エネルギー流』で瞬時実電力pは電線路観測点で、電源側と負荷側の間での実際の流れを捉えた電力である。しかし瞬時虚電力qはpのような『エネルギー』の流れを評価する技術量ではない。観測点ではどちらにも流れている訳ではない。差引ゼロである。それが無効電力の意味である。しかし三相の三本の導線の導体近傍を『エネルギー』が流れているのである。いわゆる三本の導線で囲まれた空間内を『エネルギー』が循環して流れているのである。しかしその空間内をまとめてみれば、どちらに流れていると言う訳ではないのだ。差引ゼロである。その『エネルギー』の流れが無効電力という技術量の意味である。流れていない『エネルギー』の還流状態を評価する技術量が瞬時虚電力qという概念である。電線路空間内全体をまとめて観た時、『エネルギー』は電源と負荷間を往復する実際の流通量の実流と還流して差引ゼロの無効流(虚流)との二つしかない筈だ。それで全ての『エネルギー流』を捉えた筈だ。電線路空間内の『エネルギー』を認識することにより、その電気現象の状況が分かり易く捉えられると思う。『電荷』では電気現象を捉えられないと思う。当然『電流』概念でも十分分かったと納得できないだろう。すべては『エネルギー』の実在性を理解する事から始めたい。

まとめ (続く) 「三相交流回路の電圧」等の記事でまとめを追加したい。結局『電圧』という技術概念の意味を『エネルギー』でどう解釈するかという物理的問題、自然哲学になろうから。

(関連記事) 電気現象は『エネルギー』とその光速度伝播現象である。光と電線路空間のエネルギー分布・伝播に統合した解釈に至るまでの思考の主な関連記事を挙げておく。電流や電圧の電気工学概念と電磁気現象の物理学としての眞髄は異なるのである。物理学で『電荷』の否定できない電磁気学は理論としての物理学の存在意義が疑われる。電気工学としての瞬時空間ベクトル解析を論じるに、電線路空間を伝送する『エネルギー』の実在性を認識したうえで、ようやく今安心できる感覚に在る。8.は瞬時空間ベクトル解析の一つの具体例と言えよう。

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  6. 変圧器の奇想天外診断
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  8. pq理論のリサジュー波形を見つけて

(文献)

  1. 赤木他:瞬時無効電力の一般化理論とその応用 電学論B 103,483 (昭58-7)
  2. H.Akagi,Y.Kanazawa,and A.Nabae : Instantaneous Reactive Power Compensators Comprising Switching Devices without Energy Storage Components IEEE Trans.Ind.Appl.,Vol.IA20,no.3,1984,p.625. (恥ずかしながら、著者紹介欄で人の書き方をそのまま真似た為、助手の身分(実際は教官でなく事務官扱いだったかも知れない?)を間違った。)
  3. 金澤:空間瞬時ベクトル解析法と交直変換器への適用 電気学会 電力技術研究会資料 PE-86-39 p.71.(1986/08/04)

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