三相交流回路の瞬時電流分離

瞬時電力問答で瞬時電流分離を取上げた。その後三相瞬時空間ベクトルを、過去を振り返りながら再確認しようと考えた。しかし、単相交流回路現象でさえ、改めて気付くことが生まれる。単相瞬時空間ベクトルと瞬時値で回路電流の分離を考えた。この電流分離の解釈が三相交流回路に於いても同じ事であると分かった。それは瞬時電力理論のα―β座標の二相空間ベクトルの瞬時実電力、瞬時虚電力に関わる意味でもあった。二相空間ベクトル解説の前にそのことを報告する。

三相交流回路の電力

三相交流回路と電力 平均電力で言えば、図のように有効電力P[W]と無効電力Q[Var]で捉える。(注意)少し説明して置かなければならない事がある。一般的な電力ベクトル図では無効電力Qの値を誘導性で『負』容量性で『正』として取り扱うかの疑問がある。ここでの解釈では、誘導性負荷ではsinφが『負』であるから、Qは『負』として解釈しないと混乱するかもしれない。負荷変動の瞬時電力でない場合には、この平均電力で解釈すれば十分であろう。瞬時電力で解釈する場合は、三相の各瞬時電力の総和p=ea・ia+eb・ib+ec・icは瞬時実電力と言い、それは瞬時有効電力と瞬時無効電力の両方の電力成分を含んだものである。また瞬時無効電力は三相電圧、電流からは算定することが出来ない。三相各相の瞬時無効電力を検出することは瞬時電力理論によらなければ出来ない。瞬時虚電力と言う空間ベクトル概念を定義したことで初めて、各相の瞬時無効電力を算定できることになった。それは結局各相電流を瞬時有効電流と瞬時無効電流に分離することが出来ることが可能になったからである。負荷変動しない三相平衡定常負荷の場合で、瞬時電力理論の意味を適用すれば、三相有効電流と無効電流に分離することができる。三相交流電圧、電流(二相座標変換せずに)のみで有効・無効電流に分離してみよう。

瞬時実電力・瞬時虚電力表式 二相座標変換しないでの瞬時実電力と瞬時虚電力。

三相瞬時電力

三相回路電流の分離 電源電圧が三相平衡電圧の場合で、負荷も三相平衡定常負荷の場合には負荷電流を有効電流と無効電流に分離できる。

瞬時電流の分離 図ではa相電流iaの有効電流iap と無効電流iaqへの分離式を示した。ただし、sinφの符号は誘導性で負、容量性で正。

瞬時電力理論に因る分離

各相瞬時電流算定式 各相の電流を有効電流と無効電流に分離した表式である。有効電流は各相の電圧位相と同位相の電流であり、無効電流は電圧とπ/2だけ位相差の電流となる。単相回路での電流分離の手法がそのまま同じ方法で適用されることである。ただ、三相電圧・電流で算定する式に表現したが、元は二相座標変換の空間ベクトルの概念を書き換えただけである。ただし、Qは誘導性負荷では『負』である。それはsinφが『負』だから。

参考文献(*1)(*2)

 

参考文献

(*1)  赤木他、瞬時無効電力の一般化理論とその応用 電学論B103,p.483(昭和58-7)

(*2) 金澤 空間瞬時ベクトル解析法と交直変換器への適用 電気学会、電力技術研究会資料PE-86-39,P.71.

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