電気回路要素のエネルギー(数式と意味)

(2020/07/28)追記。最近の考察結果として、電気回路要素の『エネルギー』処理機能 (2020/04/12) が参考になるか。今日「超電導現象」の理論的解説記事を読んで知った事はあくまでも『電子』の挙動の解釈であった。磁束と『電子』となれば、『Electrons』の紋所と科学理論 (2020/04/07)とThe electron did not exist in the world. (2020/05/11) 。

電気回路要素と言えば、コンデンサ、コイルおよび抵抗が浮かぶ。いつものように研究と言えるものではないが、教科書の電気回路論の基礎を少し深く考えてみようと思った。『電荷』の概念を否定する視点から、回路要素における『エネルギー』の意味を考えてみよう。黒板にチョークで板書しながらの講義の心算で、進めてみよう。実は、コンデンサの強誘電体特性について、電気回路論の従来の要素解釈では理解困難であることに気付いた。その事が基に在って書きだした。即ち、『電荷』による誘電分極という解釈に無理があると考える。その事からエネルギー貯蔵要素の機能を根本から考えてみようと思った。内容は教科書の中味の話でしかないが、科学・理科教育という面からは大切な問題を含んでいるだろうと考える。

線路の回路要素と電力。 街中の配電線路に電気回路要素が繋がれているとする。

回路要素とエネルギー電線路の要素エネルギー。 電線路には電源から電圧というエネルギー密度分布の規模でエネルギーが供給されている。回路技術論としては電圧、電流で誠に巧い概念構成が理論的に構築されている。回路要素で基本的には『エネルギー』の処理が問題なのであり、電流や電圧が欲しい訳ではない。その回路要素の『エネルギー』の状態を理解する必要があろう。理論的に評価するには数式で表現する手法になる。

電圧と電力電圧と電力。 電圧という電線路空間内のエネルギー分布の場に回路要素を繋げば、その要素にその場の空間からエネルギーが供給される。交流電圧であれば、空間エネルギー分布も電源周期に従って、常時変化する。コンデンサやコイルの場合は、内部損失がなければ、電源周期に従って要素と線路空間の間で『エネルギー』の吸収・放出が繰り返される。それに対して抵抗の場合は、内部に吸収されたエネルギーは線路空間にエネルギーが戻されることなく、すべて熱や光として変換消費(動力機械ではモーターなどの等価抵抗負荷分の消費エネルギーとなる)される。図①の抵抗のエネルギーWr[J]に?を点けた。抵抗体には内部貯蔵エネルギーを評価する方法はないだろうと言う意味である。

電力と貯蔵エネルギー。 回路要素の貯蔵エネルギーは線路電圧とその周期によって決まる波形に依る。正弦波電圧波形で、波高値V[v]、周波数f[Hz]、角周波数ω[rad/s]とする。

コンデンサ、コイルの電力コンデンサ、コイルの電力。

 

 

 

抵抗の電力

抵抗の電力。

 

 

電力と供給エネルギー供給エネルギー。 電力の積分で供給エネルギーが計算されるだろうと式で表した。各エネルギーwc,wlおよびwrは単位[J]である。数学的には不定積分で、積分定数が必要と指摘される。積分定数の意味は実際の技術計算では殆ど意味を持たないとしか言いようがない。三角関数による表式の意味を波形上に示そう。

コンデンサのエネルギーと式コンデンサの関係波形。 ここでは各波形の形状だけを示すので、大きさ・振幅は1とする。コンデンサの貯蔵エネルギーWc[J]は当然ながら負の貯蔵エネルギーということはない。それは図の青い色の波形になる。

 

 

 

コイルのエネルギーと式コイルの関係波形。 (漢字の式の字に間違い)この図には、コンデンサの場合も同じく、多くの問題がある。電源電圧v=Vsinωt において、時刻t=0の時間基準は書けないのである。回路電圧に対して、回路要素をスイッチオンして接続してから、どれ程の時間が経過したらこのような定常状態に達するかを計算できないのである。だから無限の時間経過後の波形である。それは微分方程式を解く段階で、電源電圧周期のどの時刻にスイッチを投入するかで過渡現象が変化する筈であるが、それは微分方程式では答えが得られないのである。従ってコイルの貯蔵エネルギーWL[J]を算定するには、定常状態の電流値il[A]に基づいて計算する以外ないのである。それでは、電力の積分で計算した結果のwl[J]は波形では、cos 2ωt のように、コイルの貯蔵エネルギーが正負に振動する結果になってしまうが、求める結果でない。このwlは、cos2ωtの正負の脈動波形でコンデンサと同じく求める貯蔵エネルギーが負になる筈がないから、貯蔵エネルギーではない。求める貯蔵エネルギーは青色のWLの(cosωt)^2^の波形である。

抵抗のエネルギー。 抵抗体はコンデンサ、リアクトルとは異なったエネルギーの意味を持つ要素である。エネルギーを内部に取り入れる点では同じであるが、その内部で熱の形で貯蔵し、電源に回生・返還することはない。

抵抗のエネルギー抵抗のエネルギー。 抵抗への電力は時間積分で、消費エネルギーが単調に増加する意味になる。

電気現象解析における数式の意味。 ⑥、⑦の波形で、電力の不定積分wcおよびwlは一体どんな意味を表現していると解釈すれば良いのだろうか。数学的な計算処理によって得られた結果は数学的に自然現象を説く鍵になっているのだろうか。最近『電荷』概念を否定せざるを得なくなって、『クーロンの法則』で表現する数式の意味にどれ程の自然現象解釈の有効性があるのかと、数式の論理性を疑わざるを得ない心境になってしまった。身近な電気現象解釈に数学的解析手法がなくてはならないことは確かである。それ以外に理解の手助けになる便利な方法がないのである。数学は自然解釈に金科玉条的な、特別の優位性で取り扱われるようであるが、数学で『電荷』の存在を証明できる訳ではないことを考えれば、自然に向き合う場合の数学的意味合いを考え直してみたくなった。さて話を元に戻して考えよう。エネルギーwc、wlの不定積分式は電気現象としては殆ど何の意味をも表していないようだ。回路要素のコンデンサ、リアクトルの貯蔵エネルギーの任意の時刻における瞬時値は、Wc=(1/2)v^2^/C   および  WL=(1/2)L il^2^の電気現象解釈法を知っている事によって理解認識している。このエネルギーの瞬時値についてもそれを直接『エネルギー』として観測する方法はないのだろう。この式で表される貯蔵エネルギーは決して負には成らない訳で、不定積分の式の意味とは違う。

電力の定積分電力の定積分。 不定積分の下端(積分の始点)の時刻t0の選び方で、それぞれの要素の貯蔵エネルギーになることが分かった。確かにこのように定積分を求めれば、貯蔵エネルギーの瞬時値を示す式になると考えられるだろう。数学的感覚の能力のない頭では上のような導出法が理にかなっているかどうかも判然としないのではあるが。以上で一応貯蔵エネルギーの電気現象の解釈については結論とする。

L-C回路の過渡現象。 少し数学的な意味で、電気現象の解析法に疑問を提起しておきたい。

数式と電気現象数式と電気現象。 電気現象は数学的な手法がなければ解析できない。数学的な威力は他に比べようがない程有効である。しかし全ての自然現象が数学的に解釈可能かと言えば、それは無理であろう。最近は、電子計算機の高速計算で簡単に求められるが、便利な数式に表現できないだろう。簡単な上のような例題を解こうとしても、式で求められないと思う。当然コンデンサに電源電圧を掛ければ、そのスイッチ投入時の瞬時現象は回路全体の空間エネルギー分布によって、解析不能な要素が入る事から無理なのではあるが。この回路定数が確定できない、定数不明の回路現象になれば、計算機でも無理である。ただ微分方程式の解法で、スイッチ投入時刻tsは考慮されないようだ。

『エネルギー』ここで論じたエネルギーはすべて「質量」には全く関わりのない空間に実在する『エネルギー』である。物理学で論ずる運動エネルギーや位置エネルギーでない空間エネルギーが世界には満ちている。

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