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渾沌の坩堝にマッチの火

御無礼の段ご容赦願います。最近頓に思うことは、物理学の基礎概念を掘り下げてきたら、科学研究の現場から程遠い辺境を彷徨っている感を強くする。そんな我儘論を記事にすることが社会的混乱にならなければ良いがと、そんな思いもない訳ではない。しかし、特に「熱エネルギー」に対する検索記事を見ると、とても私が理解できる内容ではなく、本当にそれで良いのかと半分怒りにも似た思いがする。『熱』に対する気分が標題に近いかもしれない。
渾沌の坩堝 こんな言葉を標題にした訳はその意味が表しているようだ。

渾沌・坩堝渾沌、坩堝 辞典から拾い出してみた。物理学理論と言うと、そこには高等数学が理解できない自分の入り込めない壁がある。まるで混沌とした世界に彷徨うような気分だ。その煮え滾った科学の坩堝の中を覗いて、マッチ棒の火で照らすような気分かもしれない。
質量ーエネルギー変換原理 アインシュタインが唱えた有名な原理がある。その単純な表式の意味を理解している心算でいたが、科学の世界の解釈と異なる認識のようで誠に渾沌とした思いになる。

質量エネルギー変換質量エネルギー変換 私が理解している意味は、質量はエネルギー(空間の中に独立した)に変換し、その変換した質量分は消滅すると解釈していた。何十年も前からそう思っていた。ところが分からなくなったのは、科学理論では質量はどこまでも質量のままで変換しないと解釈しているように思える。陽子も中性子もさらに電子も変換しても質量は変化しないと解釈しているように思える。全く異なる理解であったと、今頃になって戸惑う。自然世界は輪廻転生、原子も陽子も変転流転の世界の姿で、常に変わり続ける。先日、ネーチャーダイジェストでアルカリ金属の爆発の秘密が明らかに の記事を見た。アルカリ金属が水と反応する時の爆発の現象が水素反応でなく、核の陽子の『クーロン爆発』現象だという意味であった。要するにナトリウムなどの原子核の陽子のプラス電荷間でのクーロン力による反発力が原因であったという意味と解釈した。不思議に感じたのは、そんなに簡単に原子核が分裂するものなら、原子などそれこそ変転流転の元素変換が常に起きている筈だと。しかし本当に理解できない意味がある。アルカリ金属の水との反応で、発生する『エネルギー』は相当の量であろう。原子当たりの放射エネルギーは何ジュールなんだろうか。そこでもし、陽子一粒が質量ーエネルギー変換で消滅したとしたら、その発生エネルギーは如何程かと計算した。その結果は示した通り、熱のネの字の量にもならない。それでは爆発時のエネルギー量は何がどのような機構で発生させたのだろうか。質量がエネルギーに変換する以上の発生原理は理解できない。不図、マッチ一本の発火時の放射エネルギーと比べてみたくなった。皆さんも、『エネルギー』の量は熱量カロリー1[cal]とか仕事量の単位ジュール1[J]などで、高等学校でジュールの法則として教わった事がありましょう。科学について考える時あるいは料理をする時『エネルギー量』の事を少しは頭に思い描いて欲しい。やかんで湯を沸かす時、水1リットル(1[kg])の温度をただ1度上げるのに熱エネルギー1[kJ]、1000ジュール必要です。アインシュタインが唱えた質量エネルギー変換の原理によれば、それと同じエネルギーを得るためにどれだけの陽子が消滅する必要があるかという物理学の基礎問題になるのです。1×10^13^個という途轍もない数で初めて水1リットルを1.5度温度を上げるだけのエネルギーしか得られないことになるのです。原子核分裂の理論で、ウラン235の『結合エネルギー』を開放する原子力発電技術の『エネルギー』の意味もとても不思議なものに思える。その『結合エネルギー』解放という意味さえ分からなくなってしまった。少なくともマッチ一本の発火エネルギーでも数ジュールの熱エネルギーには成っているだろう。エネルギーの単位を感覚的に捉える意味で、アルカリ金属の発熱現象の意味をもっと詳しく知りたいとネーチャーの記事で思った。
マッチ一本の火 マッチ売りの少女。ハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805/04/02~1875/08/04)が1848年に出版した。安全マッチ(塩素酸カリウムと赤燐を分離した)が1855年に発明されたとある。「マッチ売りの少女」が出版された時には、未だ今見かける箱入りのマッチはなかった。黄燐のマッチで、すぐに発火する危険な物であったという事を検索から理解した。出版から7年後に初めて『安全マッチ』が発明されたという。さて本筋に戻す。マッチ一本の発火に伴う放射エネルギー量を現代科学計測技術で測定が可能であるかと。科学が市民に身近な存在であって欲しい。そんな意味で、科学研究の高度な現代物理学の世界がとても高度で、深遠な技術のものに思えるが、そんな進んだ世界なら、マッチ一本の放射エネルギーなど簡単に測定できるだろうと考えてもおかしくはなかろう。原子核の陽子一個の消滅時に発生するエネルギーとマッチ一本の放射エネルギー位は比較出来なくてはならないだろうと思う。

クーロンの法則を斬る記事を書いた事もあり、『電荷』の科学論など遥かに遠い世界になってしまった事もこの記事を書いた基に在る。

電気抵抗のエネルギー論

「電気抵抗のエネルギー論」などと言うと大げさな事と顰蹙(ヒンシュク)を買いそうだ。しかし、電気物理は『電荷』がその論理全体の根本を支えている訳だから、その『電荷』概念を否定する意味を解説するには、単純な電気抵抗の意味とそのエネルギーに関する現象をひも解くのが分かり易かろうと考えての標題である。電気抵抗と言っても、その回路要素としての機能は深い意味を兼ね備えている事を理解する必要があると思う。一般に抵抗が示すエネルギーに関する現象を理解しようとすれば、抵抗以外の電気導体から成るコイルや電気絶縁体から成るコンデンサ等のエネルギーに関わる現象を合わせて考えることで、より深く抵抗の機能が理解できるだろうと考える。

単純な電気回路の例。

①コイルと抵抗 ②コンデンサと抵抗 ③導体と絶縁体と抵抗体の混成回路 の三つの回路でエネルギーと電圧の関係を考えてみよう。

①コイルと抵抗回路。 コイルが示す電気現象はそのエネルギーと電圧の関係で不思議だ。導線は電気導体である。その導体をコイル状に巻くとそのコイルの内側の空間にエネルギーが貯蔵される。導体の中にエネルギーが蓄えられる訳ではない。あくまでも導線のコイル状に巻いた巻線で囲まれた空間にエネルギーが蓄えられるのである。その電気回路でエネルギーが変動しない、定常状態ではコイルにはエネルギーが蓄えられているにも拘らず、全く回路的には電圧には無関係の独立したエネルギー貯蔵器になっている。

②コンデンサと抵抗回路。 この場合は、抵抗には全く電圧が掛らない。すべて絶縁体のコンデンサに電源電圧が印加される。丁度回路を開くスイッチと同じ意味をコンデンサが担っているのだ。

③立体模型での導体、抵抗体と絶縁体回路。 ②と同じくコンデンサで電源電圧が保持される。抵抗体はエネルギー、電圧には何の機能も持たない。導線全体には定常状態に達するまでの過渡現象でのエネルギー(電圧時間積分)の導線周辺周りのエネルギー貯蔵が微かになされていよう。しかしそれは電圧には無関係であるのは、①の場合に同じである。

①コイルと抵抗回路のエネルギーと電圧。

抵抗体周りのエネルギーと電圧の関係を示す。『電流』が流れる訳ではない。電源が供給する『エネルギー』が電気回路全体の空間を通して、その電線路電圧の保持に対応するために光速度で充填される。そのエネルギー密度δ[J/m^3^]で光速度に近い速度のエネルギー流が抵抗体表面から侵入する。エネルギーの流れが光速度に近いということが重要な意味を持っている。如何にエネルギー密度が小さくても僅かな時間でさえ、その間に流れるエネルギー量は途轍もなく大きな量になり得る訳だ。そのエネルギー流がポインティングベクトルSi[J/m^2^s]である。抵抗体はエネルギーをその内部空間に取り込み、定常状態では、入射エネルギーと平衡してその同じエネルギーを熱・光エネルギーとして放射している。抵抗体は内部空間構造がエネルギー貯蔵、変換そして放射するエネルギー変換器の機能要素と考えるのが分かり易かろう。さらに電源電圧を抵抗体が担う訳であるが、それは抵抗体の表面の空間エネルギー密度δの電気技術評価概念の『電界』√(δ/ε)[(J/F)^1/2^]=[V/m]に基づいた意味だと解釈すれば良い。エネルギーで観る線路電圧 にその意味を記した。電気抵抗Rの意味は『オームの法則』で電流との関係で理解することで十分であり、便利である。しかし、例えば大学で電気物理として抵抗を意識する場合には、それだけでは電気現象を理解したことには成らないと思う。エネルギーを運動エネルギーと位置エネルギーで解釈しようとする物理学的論理には、そこに潜む矛盾を取り除けないだろうと思うからである。自然は如何に基本が単純であり、それ故に現象の複雑な姿に戸惑うかを考えるのにこの抵抗体のエネルギーの意味は示唆を与えるだろうと考える。ただその空間のエネルギー分布を数式で表現しようとしてもなかなか困難である。数学が自然を完全に表現することには成らないから。数学や式は一つの理解の方便と心得るべきであろう。さて、この抵抗体のエネルギー機能を考えるに、コイルの貯蔵エネルギーについてもその意味を考え併せることで役立つだろう。コイルの巻線内部空間に貯蔵されるエネルギーはどのようなものと考えるか。決して空間のエネルギーは静止した状態ではないだろう。コイルの磁気はそのコイルの軸方向には磁界が生じている。図の方向に磁極のNが現れる。磁極、磁気とは何かを磁界・磁気概念の本質 に述べた。磁極N極の方向に対して、その軸性ベクトルに左ねじの向きにエネルギーが回転する方向性で解釈すると考えた。その方向性が電磁気現象の全体像を捉えるに極めて重要である。その方向への確信を得るに長い年月を要した。コイルのエネルギー貯蔵の形態と次に考えるコンデンサのエネルギー貯蔵の形態は、同じエネルギーを貯蔵する意味でありながら、状況が異なる訳も考える必要があろう。回路からの切り離しによるエネルギー貯蔵の可能性で異なる意味を持つ。

②コンデンサと抵抗回路。 コンデンサもコイルと同じくエネルギーを貯蔵する。しかしこの場合は抵抗は電圧を担わず、すべてコンデンサが受け持つ。コンデンサのエネルギー保存機能は電極版間の誘電体・絶縁物によってその特性が決まる。絶縁物が空気では殆どエネルギー貯蔵の意味で、その機能を考える程の特性を意識できない。直流の電気回路としては電源電圧を負荷から遮断するスイッチの機能素子に見える。

エネルギー貯蔵と等価回路。 コンデンサは絶縁体内にエネルギーを貯蔵し、回路から負荷抵抗を切り離す役割に見える。①のコイルの場合も併せて考えれば、コイルにエネルギーを貯蔵し、そのコイルを回路から切り離すように、コイル端子をスイッチオンした回路に等価と見える。コイル内で損失が無ければ、空間にエネルギーを放射しなければ、図のような等価回路と看做せる。この回路ではコイル電流を仮定したとしても、電源とは無関係のものとなる。

電源からの切り離し。 エネルギー貯蔵器にエネルギーを貯蔵したまま、回路から切り離すことを考えてみよう。②のコンデンサの場合は既に回路が遮断された状態だからコンデンサを回路から切り離すことは問題なく可能だ。切り離したコンデンサには、エネルギーが貯蔵されたままであると考えて良かろう。特に電解コンデンサではその意味が顕著である。①のコイルの場合はどうだろうか。この場合もコイル端子をスイッチで短絡しても電圧が掛って居ないのだから基本的には問題ない。その状態であれば、既にコイル端子はスイッチで閉じられているから、電源回路からは切り離された独立の状態にある。従って、もう一つのスイッチで、抵抗を電源に直接つないでも回路としては変化が無いから、ネルギー貯蔵したコイルを切り離せる筈である。しかし、②のコンデンサと異なり、実際にコイルのエネルギーを長く貯蔵したままに置くことは難しかろう。エネルギーが空間を通して放射され易いからと考える。それをコイル内の抵抗損失がある故と看做すのが普通である。磁気材料の鉄心を利用すれば、鉄心の永久磁石としてエネルギー貯蔵が保持される事もまた事実である。様々な電磁気現象は、その基本に『エネルギー』と言う空間に実在する物理量が関わっていることを理解すべきである。

周期律表と抵抗率で、上の抵抗体でのエネルギー変換現象を考える上での根拠に元素構造と抵抗率の関係を取上げた。外殻電子の周回運動としての元素構造論ではなかなかエネルギーの変換現象を理解し難いとの思いから、抵抗体の内部空間構造を考えてみたい。抵抗の次元が[Ω]=[(H/F)^1/2^]である認識からの空間構造が大切であろう。それは光の色調を決める color cell の構造にも通じるものである。

周期律表と抵抗率

(2020/4/21)追記。ようやく“抵抗”の物理的構造解釈に辿り着いた。電気回路要素の『エネルギー』処理機能に抵抗の次元[(H/F)^1/2]と繋がった。

長年電気現象に向き合い、その意味を考えて来て、今改めて考えてみようと思った事は『オームの法則』で対象とする『電気抵抗』とは何かと言う『問答』である。電気回路に使われる回路要素として、その電気材料に思いが行くのも止むを得ないかと。導電材料、抵抗材料、絶縁材料あるいは半導体材料と様々の物がある。そこで周期律表の中での元素の抵抗率を比べてみた。

周期律表内の抵抗率

周期律表と抵抗率周期律表と抵抗率 各元素の抵抗率をIT検索で調べて、その大まかな値を周期律表に書きこんだ。その中で、際立っている元素を丸○で囲んだ。炭素、ケイ素そしてゲルマニュウムのダイヤモンド結晶構造元素そこにセレンの半導体系元素。さらに、絶縁性の元素燐、硫黄に丸印を点けた。なかでも半導体元素の珪素Siが殆ど絶縁材料のような高抵抗率である点に注目したい。

抵抗率とは 各種物質の性質:金属の電気抵抗 に様々な元素の解説がある。それは所謂体積抵抗率とも言われる抵抗体の体積からの意味である。

抵抗率とは抵抗率とは 一言付け加えておきたい事がある。図の抵抗体の構造から、抵抗体の内部断面を電流が流れるという解釈からの抵抗率の定義である。電流は流れずという新しい解釈からすれば、抵抗体の意味は抵抗体表面からエネルギーが内部に流れ込むと解釈しなければならないことになる。その抵抗に掛かる電圧の意味はどのような『電気物理』の解釈でなければならないかとなろう。そこには空間エネルギー分布の解釈が要請される筈だ。

抵抗とは何か それを考える為に先ず周期律表でまとめてみた。

電気回路とスイッチの機能

電気回路に欠かせないものにスイッチがある。エネルギーを負荷に供給したり、遮断したりする役割を担うのがスイッチである。一般には電線路に流れる電流を切ったり、流したりする役割として理解しているだろう。その考え方で『オームの法則』を理解するには十分である。しかし、電流とは何か、電子とは何かと電気現象の本質を物理的に理解しようとすると、単に電線路のオン、オフというだけの捉え方では十分その意味を捉え切れていないと言わなければならない。前回電圧ーその意味と正体ーで電気回路の電圧の意味を捉え直した事により、電気現象の本質に迫れ、より感覚的に納得できるようになった。その空間のエネルギー分布からスイッチの機能を考え直してみたい。多寡がスイッチと言うけれども、その奥には深い意味が隠されているのだ。そこにこそ、科学技術と自然現象との間に横たわる人間を理解する哲学的真理が垣間見えると思う。

『エネルギー』の空間実在性の認識 『エネルギー』とは決して『運動エネルギー』と『位置エネルギー』だけではない事を認識すべきである。ややもすると、科学論の基礎認識としてエネルギーは『運動エネルギー』と『位置エネルギー』であるとの認識から論説が始るように思える。それは、現代物理学の教科書的教育の現状に原因がある。私はその自然科学論にとても違和感を抱くのである。例えば「空間のエネルギー」と検索する。そこには驚くような意味不明の精神論と関係付けるような記事まで現れる。科学論を論じる方は、電気磁気学にも十分精通しているものと思う。電気回路でコイルを思い描けば、そのコイルの巻線内の空間に『エネルギー』が蓄えられるというのが電気工学では常識となっていると思っている。しかし『空間エネルギー』がそのコイルに存在しているとの認識が無いなら、その『エネルギー』はどこに在ると考えるのだろう。どうも理論物理学では、『運動エネルギー』と『位置エネルギー』の二つのみで『エネルギー』を解釈していて、空間に存在する質量無しの『エネルギー』の実在性を認識していないからであると考えざるを得ない。そうでなければ空間に『エネルギー』が存在すること位は日常生活で、感覚的に分かる筈であろう。このコイルのエネルギーには『質量』はない。『運動エネルギー』と『位置エネルギー』は必ず『質量』をその拠り所としている。『質量』の無い空間の『エネルギー』を認識しているかどうかの問題である。その『エネルギー』認識のために、この電気回路のスイッチとその機能と言う視点で考えてみたい。

電源から負荷へのエネルギー供給 乾電池などの電源から負荷(懐中電灯など)に『エネルギー』を供給する。それは懐中電灯を点けることになる。スイッチを閉じて(オンして)、そのままにして置けば、いずれ電源(電池)の『エネルギー』を使い切ってランプは暗くなる。その時何を使ったのかと言えば、それは電流でも電圧でもなく、『エネルギー』を使い果たしたのだ。その時の『エネルギー』とはどんなものかを電気回路の中で理解しているかという問題である。電気回路のスイッチとは、『エネルギー』を取り扱う機能だという事である。電気回路のスイッチの機能を『エネルギー』との関係で考えてみよう。

直流回路の空間エネルギー

回路とスイッチ回路とスイッチ  スイッチ二つの単純な回路である。この回路を見てどのような事を思うでしょうか。先ず二つのスイッチがオフの時。考えて欲しい事はどこに電圧が掛っているかです。当然スイッチの間の空間に電圧が掛っている筈です。何故そこに電圧が掛っている事に成るのでしょうか。その意味は『電圧』とは何かと言うことです。それは空間のエネルギー分布によって決まる技術的評価量である。

 

写真298

等価回路とエネルギー分布 スイッチがオフのときの電気回路の状態は回路導体で囲まれた空間にエネルギーが分布しているのである。

 

 

その静止したエネルギー分布は電気回路としては、スイッチを含め、空間にコンデンサが分布し、それぞれそこにエネルギーが保有されているとも見做せよう。その様子を表現すれば、色付けしたエネルギー分布の図のようになろう。あくまでもおおよその分布表現でしかなく、正確な分布を書き記すことなど出来ない。このスイッチオフの状態から、スイッチ投入したらどのようなエネルギーの流れが生じるだろうか。回路空間の様子を考えてみよう。

写真299スイッチS2投入 回路導体で囲まれた空間全体が『エネルギー』の流れの過渡状態に成る。回路空間全体がコンデンサとコイルの分布した過渡現象状態を経る。 直ちに定常状態に入り、普通の抵抗の回路になる。

交流回路のスイッチ

交流回路とスイッチ交流電源電圧をスイッチでオン、オフ制御する場合を取上げて考える。正弦波交流電圧に対して一定周期でスイッチを制御するとする。次の記事への橋渡しの意味も込めて、『半導体素子』のスイッチング機能を含んだ動作を取上げた。

(2020/08/29) 追記。

上の回路の中に『半導体素子』のスイッチング機能を含んだ云々とあり、その具体的な意味が示してなかったので、サイリスタ(SCR)でのスイッチング回路構成を示す。なお、サイリスタの動作機能は制御整流素子として優れている。その機能を電磁コイルで表現してみた。点弧角αで瞬間オンすると、オンが自動的に続く。オフはダイオードと同じ回路状態で自動的に遮断する。回路状態とは下に示した意味である。半導体では機械的スイッチと異なり火花は発生しない。以上追記。

上の制御はスイッチをある位相αでオンし、電圧値が零でオフするものとする。しかし負荷が誘導性負荷の場合には、誘導性リアクトルの貯蔵エネルギー分の処理に問題が生じる。即ちスイッチを切って接点が離れても、負荷の保有するエネルギーがある限り負荷を切り離せない。その為スイッチの接点間に火花が発生し、少し回路のオフが遅れる。その遅れ分の角度βを消弧角と言う。

交流回路の空間エネルギー分布 直流電源の場合と異なり、電線路空間のエネルギー分布はその電圧周期に従って常に変動し続ける。その空間のエネルギー変動はほぼ光速度に近い即応性で対応する。スイッチ接点間の電圧も電源電圧とは周期の遅れと値で異なるだろう。

スイッチ機能のまとめ 『オフ』は接点間で『エネルギーギャップ』を支える。『オン』は『エネルギーギャップ』を零とする。

ダイオードの機能 (2016/09/17)

トランジスタのオン・オフ機能と理論の間に (2017/05/23)