寒い冬が去り、陽射しも強くなる。日向での布団乾しの光景が目に入る。日常生活の中にこそ、本当に求められる「理科基礎(仮称)」がある。地球温暖化が人々の生存環境さえ脅かす恐れ問題に発展している。しかし、『温度』と言う物理概念も余り具体的な意味が捉え切れないようだ。気温と言うと物理学理論では、気体分子運動論でボルツマン定数kが取りざたされるが、生活空間の空気の保有エネルギーがいくらなのか具体的な問題になると、学識経験者からは余りお答えが得られないようだ。理想気体でないと理論が適用できないのかもしれない。そこで、日常生活の布団乾しに温度の物理的意味を探ってみようかと考えた。初めての事で我儘な論理の展開に成るが、結構面白そうだ。前に『温度とは何か』が問うもの で少し論じた。今回の布団乾しの中で、少し『温度』の意味が分かったように思う。
布団乾しと熱 乾した布団はふんわりとして、太陽光線を浴びた独特の匂いがする。布団の中まで熱が通り、暖かい。布団は日光を浴びても『光合成』をする訳でもなく、布団の内部にそのエネルギーが浸透するだけである。光が布団の中に入り込むことは間違いない。布団の中に入る時、光はいわゆる物理学の『光子』のままでは無理であろう。まさか振動数のまま布団の中に入れてはもらえないだろう。玄関で靴を脱ぐと同じく、身支度を変えなければ入れないと思う。布団に御這入りいただくには『熱』姿に身支度を変えて頂くことになる。姿は変わっても、本質の『エネルギー』が変わる訳ではない。布団の中では『光速度』と言うエネルギーの姿は採れないのだ。布団の中の物質的エネルギー伝播媒体が変わるのだから、光のままではお通り頂けない。媒体の中に身を留め、周辺環境のエネルギー分布との関わりに因って自ずから留まるか、伝播するかあるいはエネルギー蓄積が進み、布団外部空間に再び光となって輻射・放射するかが定まるであろう。そんな意味を図の②の絵に表した。光が熱に、そのエネルギーが変換するだけであるから『エネルギー保存則』は守られよう。ただエネルギーの変換過程で影響するのは、布団綿などの材料の『比熱』であろう。布団綿の比熱と言っても綿の繊維とその空間の空気との混合物体であるから、これこれだと言う物理学理論に乗せられるような代物ではない。しかし基本的な意味は物の『比熱』と同じ次元の意味である。ボルツマン定数はk=1.380×10^-23^[J/K]であるが、比熱の単位はc[J/kg k]で、単位質量当たりあるいはモル比熱c[J/mol K] 等である。ボルツマン定数は理想気体において、絶対温度T[K]との積でエネルギーE[J]が得られるが、気体分子の運動エネルギー(3/2)kT[J] などで評価するが、水蒸気を含む気温の生活上のエネルギーをどのように算定するかで学術的価値が示せるかが課題であろう。その点『比熱』は理解し易い概念と思う。そんな意味を布団内部の温度分布で考える図が③である。実際に布団内部の温度分布がどのようになるかは全く分からないが、エネルギー分布の高低差の微分が一定であれば、エネルギー流は一定になると思う。そのエネルギー流(ベクトル)をS={d(ρA(-gradE)) /dt} [Js^-1^ m^-2^] と表した。
温度とエネルギー 評価絶対温度T[K]の媒体の比熱をcとすれば、そのエネルギーはE=cT[J/kg] と解釈できる。従って、『温度』とはその媒体の持つエネルギーを比熱で除した評価概念だ。と大雑把ではあるが、そう言える。エネルギー[J(ジュール)]とJHFM単位系 で温度の物理的意味がエネルギーとの関係で捉え切れなかった。しかし、比熱に因り温度のエネルギーとしての意味が理解できた。ただ『比熱』が実際に数値で評価できるかどうかはまた難しい。『比熱』も温度あるいは圧力の関数であろうから。