平成28年(2016年)2月8日日本学術会議から、提言 これからの高校理科教育のあり方 が報告された。物理、化学、生物および地学の4教科をまとめた「理科基礎(仮称)」の必要性を提言している。総論はその通りだと思う。具体論が全く無いのが残念だ。何年後に実現するかの筋書きが消えた提言だ。教科書を執筆する専門家が4分野に分かれているから、全てにわたった基礎をまとめるのが困難だからであろう。それは初めから気付いていただろう。だから子供たちに広く自然現象・科学技術を理解して、科学リテラシーの問題を解決しなければと言うのであろう。日常生活における科学的認識力と大学の専門への橋渡し知識と二つが別物の理科の内容だと言うような認識があるようで残念だ。「基礎」ほど深くて、理解困難でしかも有用である事を勘違いしているように思う。基礎は表面的で、深みが無いと?
一つ例題を考えて見ました。
水とエネルギー 理科の問題としては日常的に経験する極めて平易なものと思う。最近はロケットが打ち上げられ海に残骸物が落ちるなどはよくある問題だ。崖から物体を海に向かって打ち出した。物理の運動の理解に取り上げられる問題と余り変わりがない。ただ海に物体が落下した以後、どのような自然現象が起こるかを考える理科の問題になろう。海面に落ちた瞬間の物体Mのエネルギーは幾らか。次に海底に沈んでゆく訳だが、その間どのような海中の現象が起きるだろうか。こんな問題は誰でも頭で思い描くことが出来る日常的な自然現象であろう。『教える事は考える事』である。教える先生はこんな問題は良く分かると思うが、少し気掛かりがある。「波」の物理的解釈の問題である。基本的に「波」とは何か(?)である。何が伝播するのか?先ず、「波」の波形、波長および波高値は何が原因で決まるか?「水の波」は縦波か横波か。物理教育では「横波」と指導しているようだが、何が原因で、何が伝播しているかの解釈の問題が、物理教育、理科教育の教育側の問題と考える。水中の現象を理解しない限りは間違った教育である。衝撃波の文字を記した。それは、隕石突入の衝撃波と同じ水中現象が起こる筈です。
波のエネルギー 余り教育現場ではエネルギーの意味を考えていないように思われる。図の『波』の一波長分を取上げて、そのエネルギー分布を考えているでしょうか。波動現象解釈では、周波数や振動数がエネルギーの解釈の基礎条件と考えるような場合が殆どでしょう。一波長では、余りエネルギー評価はしないように思います。しかし水の波は一波長で十分なエネルギーの分布を持って伝播しているのです。水面が高い部分は海底までその水圧の影響が及んでいるでしょう。水圧のエネルギーが教育で取り上げられなければ、片手落ちの間違った理科教育です。