とんでもない(コイルのエネルギー)

とんでもないの意味:思いがけない、意外である、また途方もない。等とある。昔、「風をつかまえる様なとんでもない問ひ様かな」などと使う例がある。なかでも、途方もないが意味深長だ。1.手段が尽きて迷う。2.条理に外れている。途轍もない。さらに、3.ずば抜けている。と吉凶の意味を含んでもいる。電気回路に日本語を織り交ぜた標題にしてみたい気分で。
電流計の仕組みを記事にした。そこで、電流計の解説記事はどのようかと調べさせて頂いた。そこには、コイルのエネルギーについての踏み込んだ解説はなかった。それは止むを得なかろう。電気の教科書ではコイルのエネルギーが何かを明確に捉えていないように思える。巻線のコイルに電流 I [A] が流れると、(1/2)LI^2 [J] のエネルギーが蓄えられると考える。その時の、『エネルギー』とはどこに実在するのかと言う基本的疑問に答えられるだろうか。電流はエネルギーではない。電流で磁束を造るから磁束がエネルギーかと言ってみても、そうではない。じゃあエネルギーはどこにどのように存在するのかである。みんなが『エネルギー』とは何だと認識しているのだろうか。「質量」が無くてもエネルギーが在ると認識出来るだろうか。夕餉のご飯支度で、味噌汁の臭いが立ち込める。水が沸騰し、材料が煮るのはエネルギーが加えられるからだ。それを熱と言うが、その鍋を通して入り込むエネルギーには質量など無い。エネルギーとは何かと言う、こんな単純な疑問にも答えられない筈はなかろう。そこには難しい数式など必要ではない。誰でも分かる単純なことの筈だ。だから「とんでもない」と言う意味の吟味が必要になるのだ。

コイルの実験で見えた謎 再び今夏の実験の意味を考える。それは科学実験といえる程の事でなく、余りにも単純すぎる電気回路実験である。しかしその結果に含まれる意味はとんでもなく重要な事柄と言わざるを得ない。実験供試回路は実験供試コイルである。コイルと電圧とエネルギー で取上げた再実験(1)の③コイルとランプの直列回路。その一つの実験結果を再び取り上げて、吟味しようと思う。その実験結果を再掲する。

実験と電圧

電源電圧108V、負荷ランプ電圧107V である。殆どコイルへの印加電圧はない。コイルは赤い線、難燃性架橋ポリエチレン絶縁電線1本とポリウレタン銅線2本を揃えて、29回(ポリラップの紙巻き筒に)巻いた。回路を図の右に展開図に書き換え、そのコイルの問題としたい電圧値を示した。展開回路と電圧の謎―含意『電流は流れず』-と説明を付けた。

電圧の謎 何を謎と観るか。コイル2-2’と3-3’は同じポリウレタン銅線で、隣同士で巻かれている。電圧はコイル1-1’と2-2’に印加した。コイル3-3’は電源電圧から自由である。勿論コイル3-3’の電圧は0.0V である。そこで、コイル3-3’の端子3’と他のコイル端子1’および2’との間の電圧を測定した結果を図に記した。2’との間の電圧は22.8V 、1’との間のそれは62.1V である。この二つの電圧の値の違いが謎である。既にこの意味は元の記事で吟味し、更に天晴れ(コイルと電圧とエネルギー)で結論も述べたようだ。それを再び取り上げた訳は、電気回路解釈の基本である電流の意味をはっきりさせたいからである。電圧の何が謎か。3つのコイルには電圧は殆ど掛かっていない。それなのに、3’と1’の端子間に62.1Vの電圧が検出されることが謎である。交流電線路で、誘導電圧ということは知られている。その事なら、端子2’と1’との間での差が大き過ぎる。3つのコイルは接近して巻いてあるから、コイル3-3’はコイル1-1’と2-2’に挟まれた位置関係に在る。その線の配置関係を等価的に平面上に表現するのが難しいので、分かり易い図面解説が出来ない。

コイルのエネルギー 実験結果を検証するにはコイルに蓄えられるエネルギーとはどこに存在するかが理解できなければ無理である。インダクタンスL[H]に電流が流れてコイルにエネルギーが貯蔵されると解説される。その文章は極めて抽象的な表現である。コイルは空間にその形状を思い描くことが出来る。それは具象的である。しかし電流が流れると言う言葉を分解したとき、どこに流れて、その為にコイルのどの部分にエネルギーが電流に因って貯蔵されるかは具体的に描きようが無い。その電流に因る解説は抽象的解説である。抽象的な表現は表現者と鑑賞者の間に厳密な理解のつながりが出来る保証はない。あくまでも「エネルギー」がコイルの空間に対してどこに存在するかを示す必要があろう。コイル導体の金属中には無理であることは分かろう。エネルギーの空間的実在性を理解できれば、それはやはりコイル導線の中ではない筈だ。その意味をはっきり示したい。

コイルのエネルギー

コイルのエネルギーを緑色で示した。δ(r,t)はコイル近傍空間のエネルギー密度[J/㎥]である。コイルに印加する電源電圧を方形波波形とした。それは半周期ごとに電源電圧が反転するので、直流電圧がプラス、マイナスで極性が切り替わることと同じ意味も含ませて、エネルギー流の流入電線の切り替わりも考える為でもある。極性の影響がマイナス側で流入が強いかとの意味でもある。また、線路電圧は電線路間の空間に存在する空間エネルギー分布によって決まる値であり、その意味が上の実験結果の考察に欠かせない。そこで、実験結果を理解するにコイルのエネルギーを先ず示した。なお、電流iの波形も付記したが、コイルが空心であるため、電圧時間積分に従って、比例的に増加することになる。

実験結果の電圧の意味 電源電圧の殆どは負荷のランプに掛かっている。従ったコイルに掛かる電圧分は僅かである。そのコイルの終端の端子1’、2’と3′ 間の電圧を測定した。コイル3-3’には電源電圧は掛かっていない。端子2’より端子1’との間の電圧が際立って大きい値だ。その訳をどのように解釈するかがこの実験が含む重要な問答の要である。コイルの意味を考える為の展開回路を示す。

展開回路とコイルエネルギー

コイル3-3’は絶縁体の架橋ポリエチレン電線1-1’と隣り合わせの位置に在る。さて、電源電圧は端子1と2’間から印加され、その線間の空間のエネルギー分布として負荷にエネルギー供給がなされる。そのエネルギー分布は絶縁誘電体の誘電率特性によって決まる。その結果、コイル1-1’の電線近傍にエネルギー密度の高い分布を来たし、端子3’と1’間の電圧測定値が62.1Vと大きな値となったのである。このコイルは、観方で電線間でのコンデンサ素子と同じ機能と看做すことが出来る。この解釈は今までの電気回路理論では理解できない筈である。だから、とんでもないだ。電気の眞相(3)ー電圧と負荷ーおよびコンデンサ型配線とエネルギー伝送に関連記事を記した。

電流は流れず  ここで具体的なコイルの実験によって得られたことが何を意味しているかと言えば、それは金属導体の中を流れると考えている「電気磁気学」の理論の『電流』が間違いであることを示したのである。導線の中を『電子』も『電流』も流れてなどいないのである。電磁エネルギーの発生・伝播・反射および吸収に関する考察(1987年10月、電気学会電磁界理論研究会資料、EMT-87-106)で、電磁気学の『電流』基本概念を考察し、p.149、150でその概念の曖昧な矛盾を指摘し、5.むすびで、「・・、結果的には電気磁気学の基本概念である電荷や電流までも疑い、棄却さえしなければならなくなってしまった。」と結論付けた。その当時は、事件ただ中で、議論を深める余裕などなかった。丁度28年程前の事である。こんな『電流は流れず』の一言を説明するにも長い期間が必要なのだと科学研究とは何かの示唆には成ろう。今の日本の科学研究体制は短期決戦の将来性の危ぶまれる状態にある。「電気物理」の一端としたい。

電流計は電圧計だ 電圧計が計るもの 電流と電圧の正体

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