1864年マックスウエル電磁場方程式が世に現れた。ファラディの電磁誘導の発見から30年程経った。1887年、ヘルツの実験(感応コイル間での火花放電信号の空間伝播)で証明されたのが、ヘルツは無線通信の可能性を否定していたという#文献#。イタリアのマルコーニが1896年3kmのモールス信号による無線送受信に成功。無線通信は海軍の軍事利用や、1912年タイタニック号沈没事件で、無線通信の義務化などの話が#参考文献に面白い#。
1930年半ば過ぎには、アメリカ全土にラジオ商業放送が行き渡ったと。テレビ放送から、衛星放送更には携帯通信器、IT通信と現代生活に電波通信は必須の科学技術となっている。その通信技術の理論的原理はマックスウエル電磁場方程式をその根拠にしている。学校教育ではその方程式が電波信号伝播の欠かせない知識として教えられている。結構難しい偏微分の数学的素養を要求されることになる。本当にその方程式しか電磁波の伝播現象を理解する方法が無いのだろうか。
マックスウエル電磁場方程式の意義 今まで、長い科学技術の理論的根幹として、歴史の中で学校教育を通して世界の模範であった。しかし、もうそんな難しい微分式を使わなくても、光の縦波の伝播現象と同じ見方で理解できる筈である。星の姿を捉えるのに、電界や磁界など全く関係ないのである。星の光は、何も星が放射信号を制御して放射している訳ではない。ただ光の量を歪みなく反射望遠鏡(パラボラ球面鏡か放物面鏡かは知らない)で多く取り入れるだけで鮮明な星の姿が見えるのだ。それは光がただエネルギーの縦波でしかないからである。光と電磁波は同じエネルギーの縦波でしかないのだ。
衛星放送電波 衛星放送を例に、その電波送受信機能を電磁場伝播方程式の電気的概念でどのように理解できるかを考えて見よう。衛星放送の特徴はその電波送受信方式の基本にパラボラアンテナを使う事である。パラボラアンテナは反射望遠鏡の反射面と同じ放物線の曲線から成り立つ球面に成っている。その様子を図で上に描いてみた。衛星も電磁波の送受信にはパラボラアンテナが使われる。勿論衛星放送の受信にはみんなパラボラアンテナが必要である。
放射電磁波 衛星からの放射電磁波はパラボラアンテナの中心軸に対称な球面波として放出される。その電磁波の有る立体角の波面を受信パラボラアンテナで捉える。その僅かな球面波の部分で、もしマックスウエル電磁場方程式を考察対象として取り上げるとすれば、その面で変位電流、電界および磁界の空間ベクトルを決めなければならない。元々衛星からの電磁波の電界、磁界のベクトルを決めなければ、受信面の電磁波の電磁界ベクトルを決める訳にはいかない。衛星からの放射電磁波は先に言ったように、軸対称の球面波である。放射源からの立体角内ならどこからも同じ電磁波を受信できる。従って、電界、磁界および変位電流のベクトルが軸対称に描けなければならない筈だ。衛星のパラボラアンテナから放射された電磁波の球面に、その電磁波の変位電流、電界および磁界を描けるだろうか。中心軸上の電磁波が一番強い筈だ。中心は軸に対称に電磁界は分布している。その最も強い中心軸の変位電流が描ければ、マックスウエルの方程式の有用性も理解できる。電界、磁界の模様が空間に描けないと私は理解できないのである。難しい数式よりも、目の前に空間を仮想して、そこに電磁界などの様子を描く事から始めて、それを数式に表現する手順を踏むのが日頃の思考方法である。だから抽象的な数式表現は能力不足で、不可能なのである。
電磁波の形 放射された電磁波は要するに縦波のエネルギー密度波でしかないのだ。そのエネルギー密度は軸対称の電球の配光曲線の球面の分布面と同じでしかない。ただデジタル信号波によるエネルギー波の縦波である。だからどこで受信しようとそのエネルギーを捉えれば同じ放送が見られる。何も電界,磁界など理論は要らないのだ。エネルギーの強さだけである。放送技術はその中に想像もできない技術革新の積み重ねによって可能になっている事は忘れてはいけない。その恩恵を受ける事に依って、現在の生活が成り立っているのだ。技術への感謝と、マックスウエル電磁場方程式の意義は全く違うのである。光のエネルギーの縦波伝播を理解すればそれで十分である。空間エネルギー波は数式に表現できないから、理論式化としては難しいかも知れない。空間分布波形は厳密には、正弦波形とは異なるだろうから。
#文献#電気の技術史 オーム社(山崎俊雄、木本忠昭共著)。