半導体のバンド理論が理解できない。筆者には、そもそも半導体の特性が理解できていないからだ。そこで、半導体とは何かを物性から考えて見ようと思った。問答の対象として、『問答実験』を取上げる。
『問答』の文字を良く使うので、隷書体を調べた。文字がはみ出し、欠けてしまった。『答』の文字に、竹冠の字体が無く、草冠しかないことを知った。だから無い竹冠で書いてみた。『問』の字は人が『門』前で、『たのもう』と問い尋ねる意味を『口』の文字を入れて表現したと解釈する。『実』の文字は昔人の食糧で、貴重な「貝」の実を意味したのかと?『験』の文字は難しく意味を解釈できない。
半導体の特性を理解するには専門家が見向きもしない、道端の片隅に隠れている『疑問』に光を当てて観るしかないかと思う。そんな実験を拾ってみようか。思考実験ではあるが。
半導体とは 半導体の最初の、ささやかなしかし偉大な発明がこの点接触ダイオードであったのだろう。今でもガラス封入で使われているようだ。ゲルマニュウムGeの結晶に、タングステンWの針を刺した単純な構造の製品だ。タングステンは白熱電球のフィラメントとして優れた熱特性を持っている。この電気的特性がダイオードの整流、検波作用を備えている。特に微弱信号に対して優れているらしい。さて、このダイオードの整流原理をどのように解釈するのだろうか。解説には、ゲルマニュウムはn型であるように説明されている。それならダイオードの順バイアス方向は、タングステン針が『正』ゲルマニュウムが『負』となるのかと思う。しかし、何か気掛かりだ。上の図はそれと逆極性で表示した。細く尖った方がエネルギー噴射の強度が強いと思う。エネルギーは電源の負側から流れ易いと解釈している。上図が順バイアスの方向であると確認したいが術がない。間違っているとしても、『整流作用』の半導体原理が解らないことには変わりがない。初めにこの点接触ダイオードの機能をどのような視点から気付き、発見したかを知りたい。フェルミレベルなどと言う概念はなかっただろう。
関連元素と周期律表 殆どの半導体元素は表のように、3,4,5および6価の価電子(その本質は不明で、磁気と考える)のようだ。主体のシリコンSiを中心にして、その周りにある元素が関係している。セレン整流器は6価の元素だ。窒化ガリュウムGaNは青色発光ダイオードの基らしい。その不純物分子が混入すると、半導体特性が何故n型になるかp型になるかは分からない。Siにホウ素Bが入るとp型半導体、ヒ素Asが入るとn型半導体となると言う。
問答実験
『電子』の導体中の速度は? 初めに導体中の『電子』の速度について考えておきたい。電気材料は良導体、絶縁体および半導体の三つに電気伝導性からは分類される。その特性の違いを何によって判断するかと言えば、導体中を内部伝導する『電荷(電子)』の通過の良し悪しで評価する。半導体の電気伝導性の物理的評価基準が本当に電気材料の中を『電子』が通過すると解釈することで良いと論理的に、感覚的に納得できるのだろうか。電気信号は、海底ケーブルでも、宇宙通信でも、ほぼ光速度で伝播する。電気導体の中を『電子』が光速度で伝播するとは誰も信じてはいない筈だ。電気信号が『電子』の導通速度(光速度)で伝播すると解釈するなら、その信号源の『電子』が送電元に戻るには光速度でも二倍の時間が必要だ(?)。この矛盾を避ける為に、『電子』の伝播速度では解釈せず、意味不明の波動伝播で解釈する。『電子』が導体中を移動すると解釈するなら、情報信号の光速度伝播をその『電子』の運動から解説できなければ、科学的論理性は無い。その『電子』の捉え方が論理的でない事は量子力学の半導体を研究している専門家の方々は光速度で考える必要は全く無く、極微寸法しか考えの基には無い筈だから、『電荷(電子)』の概念で理解できるのだろう。。科学論は本来矛盾を抱えて構築されている。粒子性と波動性の解釈にその意味が現れている。この時は『粒子性』で、あの時は『波動性』でと矛盾をそのまま抱えたまま構築された論理性である。「不確定性原理」も粒子で解釈しようとするところに速度を捉えられないという本質的矛盾を抱えている点に、その原理の真の意味がある。光子、光量子も粒子ではなく、エネルギーの空間分布流でしかないのであるから、速度の中心位置が何処と捉えられないのは当然のことである。少し論がはみ出してしまった。
半導体とは? 右に挙げた具体例で、半導体の特性とはどんな意味かを考えて見よう。特に、エネルギーの具体的具現量の一つが『熱量』であることを基本的視点として考えて見る。光は空間に極限として存在するエネルギーの形態であり、熱は物質に集積されたエネルギーの形態である。熱も光も一つの『エネルギー』の姿である。このエネルギーをどんな「素粒子」で解釈するのかを素粒子論の専門家に聞きたい。世界は全て『エネルギー』に集約される。半導体をその熱に着目して考えて見よう。
①n型と炭素棒 n型半導体とSi上(周期律表)の炭素Cとを接合して、電圧を印加した。電流は流れるか。当然n型は純粋のシリコンではないから、導電性はあるだろう。どの程度の固有抵抗率かが知りたいが、単独での測定実験など実用的な意味がないから、なされてはいなかろう。純粋の物理的特性測定となる。そこには、不純物原子の含有率と結晶構造との関係がその伝導性に影響するだろうが、技術的・経済的利益に結びつく研究ではないから、誰も行わない。しかし、半導体とは何かを明確にするにはそんな利益に結びつかないかもしれない実験が必要であろう。どの程度の不純物濃度で導通性が生まれるのか。その特性で炭素棒の放熱が決まろう。
②順バイアス pn接合のダイオードに順バイアス電圧を掛ければ、ダイオードがオンしてその順電圧分に因るエネルギー消費が起きる。そのエネルギーが熱として放熱現象に現れる。不純物濃度の量的変化に対して、どのような電気的特性の違いを生むのだろうか。余り変化は無いのかもしれない。この熱損失(放熱)はpn接合面で空間に放射される。pn半導体内部の結晶構造空間をエネルギーが通過しうるか。Si原子の寸法と比べて、通過エネルギー(縦波)の空間的面密度と寸法をどう理解するかの疑問が解けない。n型半導体内部から接合面を通して、p型半導体内部を通過すると解釈できるか。導線の場合はその導体表面の外側をエネルギーが光速度で流れると解釈できるが、半導体については判断がし難い。長野県松本に『佐久間周波数変換所』が有る。日本全体の送電系統の50サイクルと60サイクル間での電力融通を行う電力変換所である。そこでは電力用半導体素子によって制御している。その制御素子(SCR?)の接合面は相当の面積である。導線と半導体のエネルギー通過面を同じとは考え難い。『電荷(電子)』を否定すれば、熱、光を含めた『エネルギー』の一つの流れで解釈しなければならない。単独のn型半導体内をエネルギーが流れるなら、p型内部でも同じ流れになる。接合面でのエネルギー通過に障壁が存在すると考えたいが、その障壁の意味が捉えきれない。
③逆バイアス ダイオードのスイッチ機能オフ状態である。②順バイアスと逆の極性で、接合面がエネルギー通過を遮断する。接合面のエネルギー流をオン、オフする障壁の結晶構造にその原因が有ると考えるが、疑問のままである。
④ペルチエ効果 物理現象の一つに『ペルチエ効果』が有る。それは解説によれば、pn接合半導体で、順逆の電圧バイアスで接合面での放熱と吸熱現象が起きるというものである。この場合の半導体は、p型n型の半導体結晶は一般的ダイオードの半導体と何か異なる特質の結晶構造を持ったものなのだろうか。ペルチエ効果を発揮する半導体接合面はダイオードと異なる空間結晶構造を持っていると解釈しなければならなくなる。エネルギー通過障壁が異なると。何故かに答えられない疑問のままである。
⑤トランジスター トランジスターは能動素子として現代技術文明を支えている基本である。その製造工程は厳密な環境制御空間で、高度な工程(ドーピングなど)の基で製造される。その工程で完成される半導体組成について、どのような半導体内部結晶構造になっているかは知る術がない。Si(高純度の)結晶基盤に、順次不純物を重ねて、npn型結晶接合面を造るとあるようだ。このトランジスター制御は、順バイアスのベース・エミッタ間のpn接合面の制御で、逆バイアスのコレクタ・ベース間のnp接合面が逆バイアスであるにも拘らず、エネルギー通過するという理解できない現象になる。これは丁度『ペルチエ効果』と同じ意味が有るとすれば、少しは理解の糸口に繋がるかもしれない。現代生活を支えている科学技術の根幹であるトランジスターの動作の意味も、その物理的現象として十分理解できない自分を知るのみかと。