気体を考え、「風とは何か」と考える時また、古い疑問にぶつかり進めなくなる。何度この「アボガドロ定数」に関する疑問を取り上げようかと思ったか。1811年にアボガドロが提唱した「仮説」であるようだ。分子論の基礎定数で、誰もが異論を差し挟めない程、権威ある「化学論」の基本中の基本である。気体分子運動論や温度の論理的基礎定数である。
「mol と体積」 化学論の基礎概念は「分子」である。しかも1mol と言う量的概念なしには取り組めない程の複雑な専門用語としての特徴に裏付けられている。その体積は、1モル分子が占める体積が、 22.4 [l] である。MKS系単位に慣れている者にとっては、それがとても取り付き難い代物であることには変わりがない。22.4 リットルと言う体積が、何故基本量の基準体積として選ばれたのかが全く理解できない。古代的、業界専門用語としか言いようがない。基準体積なら、 1 [m^3] で取り扱えば、理解し易い筈だ。アボガドロ定数Na=6.02×10^23 [個]の数量が最初(1811年)からの定数値であったかも気掛かりだ。分子1モルの分子の数量を表して、 その数量分の分子の質量が「分子量」だと言う事を定義している。例えば、酸素分子O2のアボガドロ数分の分子の分子量が32 g である。その酸素分子一つの質量は32 g をアボガドロ数で割れば、得られる。だから、5.31×10^-23 g が酸素分子の質量となる。酸素原子はその半分と看做される。
本当に「アボガドロ定数」の概念は正しいか こんな事を言い出すと、とても相手にされないだろう。しかし、疑問を放置して、『風』の話も進められない。風は空気の流れであり、そこには多くの分子が混在し、その温度と分子との関係で決まる。教科書の論理は「分子運動論」で温度が決まるが如き解釈である。その論理の基に成る、気体定数やボルツマン定数等に「アボガドロ定数」が欠かせない。気体分子には様々な物がある。揮発性のベンゼンなどが本当にアボガドロ数の概念で捉えられるだろうかと疑わざるを得ない。そこで、幾つかの気掛かりな分子を拾い上げてみた。ヘリュウムや、ネオンは不活性ガスと言われ、気体での分子は原子のままと思われる。酸素は代表例の分子であろう。窒素は挙げてないが、空気中の78%程を占めるらしい。特別の気体として、「水蒸気」の水を挙げなければならない。水は空気の環境温度でとてもその変化が際立っている。温度に対する「湿度」として捉えている。 『温度とは何か』が問うもの で少し述べたが、分子が運動する速度エネルギーで、温度を捉える解釈は無意味な論である。水蒸気の加熱特性を考えた時、分子運動ではなく、水蒸気分子の圧力と空間占有体積の積に加熱エネルギーが貯蔵されると解釈する。ナフタリンなどの芳香族高分子を採り上げるまでも無く、水蒸気を考えただけで、アボガドロ定数が示す概念が気体分子論に正しい解釈を提示しているとは信じられない。