現代生活で電気・水道は欠かせないライフラインに成っている。3.11震災の自然災害に対して、混乱の極みに立たされているのが人工技術の崩壊の惨状である。人間の智慧の浅はかさは、その回復処理に未熟さを露呈している事である。原子力発電に依存した電気エネルギーの危なさが生活に意識変革を迫っている。市民の科学技術意識が日常に無縁ではない事を示した。電気の事を少し考えてみようと、目に付く技術を取り上げてみたい。電気エネルギーは1、発電所で作る。
送配電設備と電源。それを2、超高圧の電圧(500kV)送電線で遠方に運ぶ。それが送電線路と言う鉄塔の仕組みである。電気を使う市街地には、3、変電所がある。そこで電圧を下げて高圧配電線(6300V)で市街地にくまなく配電している。そこで、鉄塔の様子を図に示そう。市街地を外れて、田園地帯では鉄塔が見える。電気エネルギーは利用に便利であるから、その規模の拡大を続けてきた。系統電圧も1000kV以上が話題に成る。そんな超高圧も絶縁碍子で支えられる磁器製品の威力に拠る。今回の震災で、鉄塔まで倒壊した。安全な送電系統にエネルギー消費生活が依存している。
市街地の高密度エネルギー消費地では、地下ケーブル配電が主流になるが、高電圧6300V 配電線路から変圧器で、100V/200Vの低電圧で家庭に供給される。②図にその変圧器の内部の様子を合わせて、配電線路の電
圧の概要を示す。現在の電力消費量が拡大した為、家庭用の配電線も単相100Vと200Vの両方を使う場合が増え、単相三線式配電に成っている。その変圧器の巻数比は30で変圧されている事を③図に示す。家庭に入る配電線は2線式でも、3線式でも必ず1線は第二種アースされたものである。まさかの時の変圧器事故で、高電圧が家庭配線に侵入して、高電圧感電事故を防ぐための安全設備、第二種アースが施されている。6300Vの高電圧が事故で侵入しても、せいぜい150V以下に抑えられる接地抵抗が決められている。
交流電圧と負荷と電流。さて、電気回路の話をするには、電圧と電流の意味を考える事に成る。何を題材に選ぶか、まとまりが無いが洗濯機でも取り上げてみよう。手書き図で誠に醜いが御勘弁下さい。分電盤の分岐ブレーカーから部屋のコンセント(和製英語で、outlet 、socketあるいは power pointが英語らしい)までの配線はFケーブルである。意外に洗濯機の負荷容量は小さい事を知る。旧式であるが、350Wの消費容量はコーヒー沸かしに比べても小さい。電熱変換器のクーラー、電子レンジ等はエネルギー消費が大きいのである。ついでに洗濯機のモーターの付近の事を図に書き入れた。
洗濯機の図が表示されなくなった。誰の指図か?何故か分からないが再度載せる。多分乱雑な絵だからかも知れない。それにしても勝手に誰が記事を書き換えるのか?
回転技術はモーターを使う。扇風機も隈取り型の小容量モーターが使われる。モーターは回転する軸の部分:回転子とそれを回す外側の固定子から成り立つ。モーターの回転機能を得るには固定子側で回転磁界を作りださなければならない。電源が単相交流だから磁界の回転をさせるには技術的工夫がいる。洗濯機のような消費容量(水流の回転では、機械的回転エネルギー率で百数十ワットを必要とするらしい)に成ると、コンデンサなどを使って回転磁界を作るようだ。こんな詰まらない事も技術としては重要な意味を持っていると言う事である。洗濯機の単相誘導電動機の誘導と言う意味も電源の交流の周波数に基づく回転磁界に誘導されて回転すると言う意味ではないかと思う。固定子の巻き線の構造で4極が普通で、モーターの回転数も毎分1500回転(50Hz)、1800回転(60Hz)の同期速度に近い速度で回転す る。同期速度 N=120f/p[rpm] で表される。周波数f[Hz] 、極数p極。毎分回転数の単位表現[rpm]である 。そこからギヤなどで減速して、水流の回転数まで10分の1位に落としているらしい。どのように纏めようかと考えているうちに、モーターは何故回るかと、不図疑問が浮かぶ。この意味を考えている内に、変圧器に考察が飛んだ。『モーター』が何故回るかをこの最後に纏めたい。その解釈はエネルギー流に基づくものであり、教科書には無い。その前に、洗濯機負荷を基に、電圧などの『実効値』の意味を記しておきたい。④の波形を再掲すると、右のように成る。
実効値 電圧vに対して、電流iは波形のように、少し遅れるのが普通である。図では、その遅れ位相θである。この洗濯機の電力pは平均値でP=VIcosθ [W]と表される。ここで、VおよびIはそれぞれ電圧、電流の実効値である。cosθは負荷力率と言う技術表現量である。そこで、この実効値とは何であるかを波形を基に考えてみます。家庭の電源電圧波形は図⑥のような最大値V_m_の正弦波で、その実効値V(100ボルト等)は「瞬時値vの二乗平均の平方根」と言う計算で定義される値である。瞬時値の二乗v^2^の平均値V^2^は(1/2)(V_m_)^2^となる。その平方根だから、実効値V=(1/√2)V_m_となる。電圧に対して、この実効値は洗濯機のような負荷の電流の場合には、単純ではない。洗濯機は負荷がモーターの正逆転による水の搔
き回しである。電流値は過渡現象の連続運転で、回転切り替わり時の大きな始動電流と定常電流値の複雑の変動波形になる。そんな電流実効値I[A]は洗濯機の『定格表示項目』にも書きようが無いのだろう。実効値が何故使われるかは、その負荷の消費電力、ひいては消費エネルギー量「電力量(kWh)」の計算に便利であるからだろう。電気エネルギーの供給側の電力会社と、その消費者の間では取引計算は「電力量」だけが基礎になる。供給側は波形の瞬時状態で監視・制御しなければならない。常にエネルギーの需給バランスは負荷側の要求に追従する制御が課せられる。『実効値』の物理的意味まで踏み込めないまま一先ず終了する。