眼球の網膜像入試問題を見て

先日の大学入試のセンター試験問題で、物理に眼球の網膜像の問題が有った事を新聞で見た。昨年春、日本物理学会第65回年次大会で、生物物理分野に『眼球の光ファイバーと光量子』と言う標題の発表をした。それは正しく、今回の入試問題のカメラ機能で人間の目を解釈する事の間違いを指摘したものであった。昨夜はその網膜上の反転像を再び考えた。学会で発表した概要で「・・カメラのような反転像ではなく、正立像と解釈すべき事を示している。」と記述した。最終的には、医学の専門家・眼科医の解釈がどのようであるかを論理的に、誰もが納得できる説明がなされることが必要であろう。私には実験も、解剖の確認も出来ない。昨夜考えた、幾つかを指摘して、正立像と判断した根拠を示したい。なお、当ブログ「眼球の光ファイバーと色覚」を参照いただきたい。

人間の眼球の中心軸には光ファイバーが貫通している。眼に入射した光の画像は上の図の眼球内の④のファイバーに入る水晶体のレンズ③との接続部で像が結ばれると解釈する。そもそもカメラのような機能で眼球の機能を解釈する教科書的認識を納得できないとした原因はレンズがカメラのように境界面で空気に接している訳ではない点である。眼球内は硝子体液で満たされていて、水晶体レンズとの境界での光の屈折など起きないと解釈した方が理解しやすい。

眼への光の入射、入射画像の屈折について考えてみよう。図の①の角膜表面が瞼の瞬きにより、液体の薄い膜で潤っている。入射する可視光線の波長は長くて7600オングストローム(千分の0.76ミリメートル)程度らしいから、入射光の屈折は角膜表面の薄い液と角膜の球面曲率で基本的に決まると思う。角膜通過後は虹彩で絞られた瞳から、水晶体レンズに到達するまでに、眼房水と角膜の境界での屈折がその光伝播媒体の分子空間定数(透磁率と誘電率)の差で起きるだろう。①の画像入射について、蛇足話を一つ。人間は空気中でないと物が見えにくい。一昨年100m自由形水泳競技で自己記録(1分26秒81)を出した。しかし、ゴーグルが外れて眼が水中の視界になった。魚と違い殆ど見えなかった経験で、強く実感している。

焦点調節と水晶体。④のファイバー入射面に視野像を結ぶには毛様体小帯の働きに拠るだろう。この働き加減で、水晶体の変化だけでなく、角膜とその間の眼房水にも影響が及ぶだろうと思う。それらの全体的な構造の変化と狭い瞳からの入射光に対する水晶体のレンズ調節効果によって視野像の焦点調節がなされると解釈する。また蛇足と思うが、水晶体の蛋白質がどんな成分か興味がある。実は、烏賊とか鯛とかの魚介類の目玉の構造が面白いと思っていた。魚の煮付けをして、その目玉を乾燥させる。それを剥くと玉葱のように膜の積層構造になっている事が分かる。魚眼の焦点調節がその積層構造からどのように成され得るかも面白そうだ。人間の水晶体も、上の図のようにタンパク質膜が積層上に成っていて、毛様体小帯の伸縮作用が効率的に働くのだろうと勝手に解釈する。

人の視力。ランドルト環の円環の切れ目を見分ける能力で視力を判定する。視力 1.0 の人はそのランドルト環の切れ目の長さが 1.5 mm で、5m の距離から見分けられると言うことらしい。その視野角度θを計算してみると、tanθ=0.0004 から、度で求めれば、 0.00716 度程度になる。また、人の視野は物を凝視するときその一点に視点が注がれ、周りの視界はぼんやりと感じられるだけに成るように思う。自分の視野を考えるとそう思う。周りの危険を察知することが出来るように、ぼんやりの認識で済ますと思える。凝視する視力で、視野像の光は殆ど平行光線として目に達すると解釈したい。だからファイバーの入り口で反転像に成るとは解釈し難いのである。人間の目について、教科書的な網膜上の反転像と言うカメラ機能解釈は受け入れられないのである。

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